新・定年オジサンのつぶやき

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ウクライナ戦費で「ロシア経済が破綻することはないらしい

2022年04月14日 11時44分50秒 | 戦争と歴史

「ロシアのウクライナ侵略一色の新聞・TVにはさすがにウンザリしてきた」という声がネットから聞こえてきたのだが、身近で分かりやすいニュースがあった。
 
4月から自民党の神奈川県連の会長に就任した小泉進次郎前環境相。
 
会見では「一人ひとりが持てる力を最大限発揮できる、日本一結束力の固い県連にしたい」などと抱負を述べ、どうやら本格的に再始動をするようだ。
 
精力的に動き出した小泉進次郎だが、早速その発言をめぐってネットでは批判が殺到し、以前のように小泉進次郎の“珍発言”がまた報道を賑わせそうである。 
 
小泉進次郎氏、菅前首相の勉強会発足に期待感 『政策実現に私も共に汗かきたい』
 

11日、横浜市内で取材に応じた自民党の小泉進次郎前環境相は、「今こそカーボンニュートラルだと、菅前首相には発信していただきたい」と述べ、菅義偉前首相による政策勉強会の早期発足に期待感を示した。
ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーの安定供給が焦点となる中、「カーボンニュートラルは一休みのようなことはまったく違うと思う」と指摘。小泉氏は「政策を前に進めたいという純粋なものだと思う」と勉強会について説明し、「私も全力で政策実現に共に汗をかきたい」と語った。

 
岸田政権が発足してからすっかり存在感がなくなってしまった小泉進次郎。これまで“期待の若手”だった小泉進次郎のメッキは剥がれ、今やただの“冷や飯議員”に様変わり。
 
そんな小泉進次郎が再び脚光を浴びようと動き出したのは、やはり環境関連の話題だったようだ。
 
小泉進次郎が発言した「カーボンニュートラル」とは2050年までに温室効果ガスをゼロにするという取り組み。 あのコロナ対策が急務といわれていた2021年の中でも「地球温暖化対策計画」は着々と準備が進められ、岸田政権に引き継がれている。 
ウクライナ情勢の影響で耳にしなくなったカーボンニュートラルだが、エネルギーの安定供給が焦点となる中で、小泉進次郎はこれを“くすぶっている自分”の突破口に考えているのかもしれない。
 
とはいえ、小泉進次郎といえば、自らが環境大臣として推進したレジ袋有料化が国民から大不評だとわかると、「レジ袋有料化を決めたのは僕ではない」、「有料化したのが僕だと思っている方が多いですけど、決めたのは僕の前の大臣なんです」と発言するなど、責任転嫁して大炎上となった。
 
それ以来、すっかりレジ袋に関する発言は聞かれなくなったが、やはり環境問題には関心があるということなのだろうか。
 
しかし、今回の発言は他にも気になるところが。それは菅義偉前首相に向けてメッセージを送っていたことでる。
 
本気でカーボンニュートラルの問題に取り組もうと思うなら、現政権である岸田首相に発信すべきであるところ、菅義偉に対して「今こそやろう!」というのはただのパフォーマンスにしか見えず、いささか違和感を抱かざるを得ないどころか、くすぶる人間同士、「機を見るに敏」とでも伝えたかったのだろうか。

4月1日からは「プラスチック新法」が施行された。プラスチックごみがもたらす環境負荷を減らすため、削減・リサイクルの推進を目的とする法律だ。環境大臣時代の小泉氏の肝いりだといわれている。
 
プラスチック新法の施行により、私たちの生活が大きく変わることは明白で、不自由を強いられることも多いとみられる。そのたびに、小泉進次郎の発言がほじくり返されるに違いない。
 

 
 
同じ「小泉」でも“冷や飯議員”の小泉進次郎とは「雲泥の差」があるのが、ロシアのウクライナ侵攻以来、テレビ各局で顔を見せない日がなかったくらい存在感が強くなった外務省国際情報統括官組織で専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO RAN)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所特別研究員などを務めたのち、現在は東京大学先端科学技術研究センター特任助教になっている小泉悠。
 
ウクライナ軍の激しい抵抗を受け、想定外の苦戦を強いられたロシア軍。一部ではその戦費でロシアという国家自体が破産するといったような「憶測」の元となった情報を探り当て、戦費増大によるロシアの破綻などありえないと指摘している。
 
小泉悠氏が解説。ウクライナ戦費で『ロシア経済が破綻』は無理筋なワケ
 
■「戦費でロシアが破産」論を考える
ロシア・ウクライナ戦争の戦費が「1日2兆円」?
一時期、日本のマスコミから集中的に問い合わせがあったのがこのテーマです。ロシアの戦費が1日に2兆円(3兆円という説もあり)かかっているという説は本当か?という電話が10件がとこは来たと思いますが(どうもマスコミは同じ時期に同じようなことを集中的に聞いてくる傾向があります)、私からは毎回同じようなことを答えていました。
すなわち、「金は掛かっているだろうが、1日に2兆円とか3兆円ということはありえないのではないか」ということです。後述するように、ロシアの国防費は人件費から装備調達費までひっくるめて年間3兆5,000億ルーブルちょっと、要するに日本円で5-6兆円ですから、こんなペースで金を使える訳がありません。
また、これだけの金を毎日何に使うのかということもいまいち想像がつきません。弾薬や燃料は激しく消費されるでしょうし、兵器も破壊されたり鹵獲されたりして損耗していくというのは分かりますが、それは過去に調達してあったものです。「X兆円相当の損失が出ている」とは言えても、それは「X兆円の戦費が掛かっている」というのとは別問題でしょう。また、軍人の給与とか糧食費とかは普段から国防費の中に含まれている訳ですから、戦時の危険手当みたいなものをつけるとしても、そう極端に増加するとは思われません。
では、この「戦費が1日2兆円」説は一体どこから出てきたのか。ちょっと検索してみると(便利な時代です)、「経済回復センター」などいくつかのコンサル会社が2月28日に出した合同レポートが元ネタのようです。

Finding Ways to Support Ukraine & End War in Europe, 2022.2.28.

そこでレポートの中身を見てみると、開戦後100時間の時点における「ロシア経済の損失」が70億米ドルだと書かれています(p.10)。つまり、ここで言われているのは戦争のために毎日出ていくカネの額ではなく、ロシアが被っている損害の規模だということです。
より具体的にいうと、(A)確認されたロシア軍の損失数とその平均価格を掛けた額と、(B)戦死した兵士がその後40年間に渡って生み出すはずだった価値と戦死者数を掛けた額が算出の基準になっており、内訳は次のとおりとされています。
(A)兵器の損失額:約42億ドル
航空機:8,500万ドル×29機=24億6,500万ドル
攻撃ヘリコプター:1,408万3,000ドル×29機=4億800万ドル
火砲:156万6,000ドル×75門=1億1,700万ドル
戦車:236万8,000ドル×191両=4億5,200万ドル
装甲車両:98万1,000ドル×816両=8億100万ドル
(B)人的資源の損失額
51万8,000ドル×5,300人=27億4,600万ドル
この計算根拠がどこから出てきたのだ、というツッコミは措くとして、仮にこれだけの損失を100時間で出したのだとすると、概ね1日あたりで17億ドルくらいということになります。さらにこのレポートでは、推定に含まなかったカテゴリーの兵器の損失額、傷痍軍人への補償、燃料・弾薬などのコストを含めると、ロシアの損失額はさらに大きくなるとしています。
こういうことならばわからないではないですが、やはりこれは「戦費」とは言わないでしょう。
さらに話をややこしくしたのは、コンサルタンシー・ヨーロッパという別のコンサル企業が出してきたレポートです(以下)。
 
Consultancy Europe, Research: ‘Ukraine war costs Russian military 20 billion Euro per day’, 2022.3.2.    
 
「経済回復センター」による上掲の推定(5日間で70億ドル)に触れつつ、そこからいきなり飛躍して「1日あたりのコストが200億ドル以上になる」と言い出したもので、その根拠はよく分かりません。戦争によるコストが1日に17億ドル分くらい発生していて、ほかにも捕捉できないコストがあるよ、という「経済回復センター」の主張は理解できるのですが、これと「200億ドル」がどうも結びつかない(20億ドルだというならまだなんとなくわかる)。
コンサルタンシー・ヨーロッパによるレポートにはさらに杜撰な点もあります。本文では「200億ドル」とされている1日の戦費が、タイトルでは「200億ユーロ」になっている点です。これを4月初頭のレートに当てはめるとたしかに2兆7,000億円くらいになりますが、ここまでみてきたように、「200億」という数字の根拠も曖昧なら単位もドルだかユーロだかさえはっきりしないのですから、真面目に論じても仕方ないでしょう。
まして「戦費でロシア経済が破綻」といった期待は持つべきではない、ということです。
さらにいえば、ロシアはウクライナ東部で8年、シリアで7年に及ぶ戦争を行ってきたことは忘れるべきではありません。今回の戦争とは規模が違うので直接には比較できませんが、この国は長期にわたって戦費を負担できるということです。
ロシア連邦予算法の読み方
では、実際の戦費はいくらかかっているのだというと、これはよく分かりません。軍事分野におけるロシアの情報公開度を考えると、正確な数字が出てくることは期待薄でしょう。実際、ウクライナ東部紛争やシリア作戦に関する戦費はこれまでも一切公開されてきませんでした。
代わりに、ここでは戦費を含めた軍事支出の「規模感」みたいなものをざっくり掴んでおきたいと思います。
国防費を含めたロシアの連邦予算は毎年、連邦予算法という法律で規定されており、ここには翌年度の予算に加えて、それに続く2年度分が「計画予算」として記載されています。計画予算分は一種の目安なので、そのとおりになるわけではなく、実際の執行状況や経済状態を見て修正を施された上、また次の年度の連邦予算法が策定されるというサイクルです。
また、連邦予算法には、省庁別の予算割り当てと、分野別の予算割り当ての双方が記載されます。例えばロシア国防省の省庁番号は「187」なので、ここを見れば国防省に割り当てられた予算がわかります。
そして、実際に見てみるとわかるのですが、国防省の予算は国防費だけでできているわけではありません。メインはそうであるとしても、保健、社会福祉、教育など、いろいろな分野の予算が割り当てられるからです。
逆にいうと、国防予算(分野別予算項目「02」)も全てが国防省に割り当てられるわけではなく、国防に関連するさまざまな象徴に配分されます。
したがって、ロシアの軍事政策といった場合には、
(A)国防予算
(B)国防省に割り当てられる、国防予算以外の予算
を少なくとも考慮せねばなりませんし、このほかには(C)準軍事組織(国家親衛軍等)の予算とか、(D)国防省や準軍事組織とは一見関係ないが軍事目的にも役立つ予算(宇宙関連等)も考慮する必要があるでしょう。こういう軍事政策の見積り方というのはどこの国についても困難であり、ロシアもその例外ではないということです。
ロシア軍の「本当の予算」
加えて面倒なのは、連邦予算法には実際の割り当て額の全てが記載されているわけではない、ということです。
例えば2022年の連邦予算法から国防(分野別予算項目「02」)の項目を参照してみましょう。

Федеральный закон от 06.12.2021 N 390-ФЗ “О федеральном бюджете на 2022 год и на плановый период 2023 и 2024 годов”

これによると、2022年度と2023-24年の計画年度における連邦予算の割り当て額とその内訳は以下のとおりとされています(カッコ内は2023年/2024年、1000ルーブル以下は四捨五入)。
「国防」(02)総額:1兆2,350億R(1兆3,393億R/1兆4,427億R)

ロシア連邦軍(02-01):1兆673億R(1兆1,184億R/1兆1,762億R)
動員及び部隊外での訓練(02-03):163億R(167億R/172億R)
軍事技術協力の分野における国際的義務の履行(02-07):65億R(68億R/71億R)
国防分野における応用科学研究(02-08):233億R(235億R/246億R)
国防分野におけるその他の諸問題(02-09):1,208億R(1,731億R/2,166億R)
このように、メインになるのはやはりロシア軍向け予算(02-01)なのですが、さらに内訳を詳しくみてみると、「ロシア連邦軍の物資・装備供給システムの改善」(02-01-31-4-03)に2,346億ルーブル、「軍人の給与、文民の給与、その他の手当及び補償の支払い」(02-01-31-10)に7,650億ルーブルなどとなっており、要するに物資補給と人件費しか書いてありません。年間約1兆5,000億ルーブルにも及ぶとされる装備調達費は秘匿されていて、全くわからない訳です。
また、「ロシア連邦軍」に次いで大きな予算が割り当てられている「国防分野におけるその他の諸問題」(02-09)については、宇宙関連予算(02-09-21)が106億ルーブル、インフラ建設費(02-09-31-2-01)が424億ルーブル、軍需産業への補助金(02-09-44)が60億ルーブル、その他(02-09-99-9-00)が555億ルーブルなどとされています。最後の02-09-99-9-00については何の予算だか全く手がかりがないのですが、これはもしかするとシリアやウクライナでの戦費かもしれません。
では、ロシアの軍事支出の中身を追うのはこれが限界かというと、そうでもない、というのが面白いところです。前述のように、ロシアの連邦予算は毎年連邦法として策定されるので、その過程では議会の審議が入ります。この際に提出される書類にはもう少し正直な数字が書かれるのです。
たとえば2022年度連邦予算法の場合は、原案が昨年9月30日に下院に提出されていますが、第一読会に下院国防委員会が提出した文書(「Федеральный закон от 06.12.2021 N 390-ФЗ “О федеральном бюджете на 2022 год и на плановый период 2023 и 2024 годов”」)をみると、2022年度の「国防」(02)向け予算及び2023-24年度の計画予算並びのその内訳は次のとおりとされています。
「国防」総額:3兆5,104億R(3兆5,572億R/3兆8,118億R)
ロシア連邦軍:2兆5,928億R(2兆6,133億R/2兆6,714億R)
動員及び部隊外での訓練:163億R(167億R/172億R)
経済の動員準備:29億R(29億R/29億R)
核兵器コンプレクス:498億R(492億R/562億R)
軍事技術協力の分野における国際的義務の履行(02-07):148億R(151億R/154億R)
国防分野における応用科学研究:4,045億R(3,549億R/3,369億R)
国防分野におけるその他の諸問題:4,292億R(5,050億R/7,118億R)
上掲の、連邦予算法に記載された額とはまるで異なることがわかります。最大のポーションを占める「ロシア連邦軍」向け予算は公表額の倍以上であり、この差額は装備調達費などであろうと想像がつきます。また、「国防分野におけるその他の諸問題」も実際には3倍以上支出されているのですが、2022年度は約690億ルーブルと公開額とそう変わらないのに対して、2023年度は2,058億ルーブル、2024年度には3,910億ルーブルといきなり1桁跳ね上がっているのが目につきます。
これが何を意味するのかについては詳しい説明がないのですが、仮に2022年に戦争を始めることが既定路線であったとした場合、まさに「経済回復センター」のレポートで見積もられたような戦闘による損耗分を補充するための予備費であるのかもしれません。


 
残念ながら、上記のレポートは「第172号(2022年4月10日)『戦費でロシアが破産』論を考える」という有料メールマガジンの頭出しの部分であるのだが、日本の国防予算(防衛費)の詳細な実態も国民は把握できることが困難にもかかわらず、他国の国防予算を調べるという作業は、外務省国際情報統括官組織で専門分析員ならではの仕事なのであろう。
 
到底素人には容易には理解できないのだが、少なくとも分かったこと世界各国がロシアに対する厳しい金融政策を行っても、さらに国連の経済制裁の決議の結果を見ても、「ロシアへの経済制裁に52カ国が同意せず。複雑怪奇な国際情勢の未来」ということから、ロシアを世界から孤立させることはかなり難しく、それ故に今回のロシアのウクライナ征服または分割統治という戦略はまだまだ続きそうである、とオジサンは思う。 
  
  

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