テレビのドキュメンタリー番組などで、「ヤラセ」疑惑が生じた時に、「過度な演出であったかもしれない」などと制作側が言い訳をすることがある。
視聴者から言わせてもらえれば、事実と異なれば「虚構」であり、ウソであると糾弾せねばならない。
わが国の最高責任者か「三権の長」かは定かではない男が、最近の言動から「嘘つき」と断定されている。
もちろん、その男は「自分の内閣で憲法を変える」と言い続けてきた安倍晋三であることは言うまでもない。
今年中に改憲発議ができなければ自分の任期中の改憲は不可能であることは本人が一番よく分かっている。
そのためには、全くの「デタラメ」ではないが、小さなことを大きく見せたり、自分が見聞きしたことではないことをあたかも最近聞いたことのように話してしまうのが安倍晋三。
特に憲法に自衛隊を明記するということの必要性を訴えるために、最近は2つの問題発言が注目されていた。
すでに紹介した、「『日本会議』のチラシを鵜呑みにしていた安倍首相の“改憲理由”」という記事によれば、
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“ネタ元”はなんと「日本会議」のチラシだった!!
昨年12月5日に開かれた日本会議系の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の大会で配られたチラシの裏に書かれていた内容とそっくり同じだというのだ。朝日新聞によれば、そこにはこんな文言があったという。
〈全国6割の自治体が、自衛隊募集に非協力的〉
〈自治体が円滑に業務を遂行するため、自衛隊の憲法明記を!〉
驚いた。一国の首相たるものが一民間団体のチラシに書いてあった「話」を鵜呑みにして、改憲の理由にしていた可能性があるのだ。
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ということは広く知れ渡った。
これは事実とは明らかに異なることを、あえて大げさに発したというよりは、詳細を調べずに飛びついてしまったということであろう。
軽率のそしりは免れないのだが、確信犯的なところも否めない。
もう一つは、「自衛官が息子さんから『お父さんは憲法違反なの?』と目に涙を浮かべながら尋ねられた」という逸話。
先週13日の衆院予算委で立憲民主の本多平直議員は、安倍晋三首相が自衛隊明記の改憲理由として、たびたび持ち出す逸話は事実か、いつどこで聞いたのかと質問すると、安倍晋三首相は「私はウソを言うわけない」とキレまくり、「これについて資料を出せと言うんであれば出させていただく」とタンカを切ったという場面があった。
当然、ネット上では、「もし資料が出てきたらそれも捏造資料だろう」という声があったが、昨日までにそんな資料は提示されなかった。
ところが、やはりその逸話にはネタ元があったということが明らかになった。
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<安倍首相またウソ “自衛官の息子涙目”逸話には元ネタあり>
2019/02/20 06:00 日刊ゲンダイ
・・・前略・・・
情報源も昨年8月の地元・山口県の講演では「ある自衛官」、13日の予算委では「防衛省」と変遷したが、今はネット社会。SNS上は「ネタ元特定」と話題だ。その人物は元航空自衛隊空将の織田邦男氏(67)。現在は東洋学園大非常勤講師を務め、保守系雑誌などに寄稿している。昨年1月公開の「KAIKENチャンネル」インタビューでこう語っていた。
「私の息子も小学校だったか中学生だったか忘れましたけど、帰ってきてね。『お父さん、自衛隊って違憲なの?』と聞かれた時、ショックを受けましたよ。先生が言っていると」
織田氏が「(前出の逸話を)私はあるところに書いたら最近安倍さんがそのフレーズを使うようになった」と語る別の動画も拡散中。織田氏の「正論」17年8月号への寄稿にも同様の話が出てくるが、「さすがに今はないだろう」との旨も書いている。織田氏が空自を退職したのは09年。現在の出来事のような安倍首相の口ぶりは怪しい。
確認した限り、織田氏は安倍首相が強調する「息子が涙を浮かべた」と語っていない。情緒的に話を盛り、何となく「自衛隊がかわいそう」というムードを醸造し、悲願の改憲に結びつける。一般人ならまだしも、権力者には許されないウソだ。
ましてや、自衛官の息子に心ない言葉を浴びせた教員が本当にいるのなら、行うべきは教員の指導だ。憲法を変える理由にはならない。
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【嘘じゃないよ!「お父さん、自衛隊って違憲なの?」って言われたこと】
鮨のネタは新鮮であることが必須であるが、自分が発した逸話があたかも最近聞き及んだかのように話すことは、それも場所が変わるたびに微妙に内容も変わってしまうというのは、余りにも脚色し過ぎた過剰演出であり、時には「作り話」となる。
もう長年言っている安倍晋三の「やってる感」の象徴ともいえるのが、「拉致被害者の政治利用」であろう。
「私が北朝鮮の金委員長と向き合わねばならない=拉致問題で安倍首相」
#NHK #NEWS7
— 但馬問屋 (@wanpakutenshi) 2019年2月19日
“キム委員長に伝達を”
安倍首相「トランプ大統領に電話して伝える。あらゆるチャンスを逃さない」
“恒例の”、というべきか…毎回、ハンを押したような同じ絵面にしか見えない。
「一丁目一番地」に嬉しい便りは一体いつ届くのか。
心強い言葉で期待させ、時間をムダにさせるだけ。 pic.twitter.com/sQbe4XziwX
最後に、過熱してきた菅義偉官房長官vs望月衣塑子記者の会見バトルなのだが、度々言っているように、定例記者会見では政府側の真意を引き出すことに意義があり、それは国民が望んでいることでもある。
特に質問の前提を言わなければ質問の主旨を相手に正確に伝えることはできない。
首相官邸側が東京新聞の望月衣塑子記者の質問を「事実誤認」などと指摘し、官邸の記者クラブ「内閣記者会」に対応を申し入れたことを巡り、弁護士や大学教授らが19日、東京都内で記者会見し、申し入れ文書の撤回を求める緊急声明を発表した。
「官邸の記者クラブへの申し入れ 弁護士や教授らが抗議声明」
執拗に質問を邪魔する様子が入っている動画。
【#望月衣塑子 #東京新聞 記者 Vol.219(2019.2.7)】
官邸記者クラブが「御用記者クラブ」化している現状に、少しでも風穴を開け果敢に菅義偉官房長官に挑んでいる記者を決して孤立させてはならない、とオジサンは思う。