新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

韓国と中国との対応が余りにも違う日本政府

2018年11月24日 11時50分31秒 | 安倍外交

10月30日に韓国の大法院(最高裁)が、元徴用工4人が新日鐡住金を相手に損害賠償を求めていた裁判で、元徴用工に1人当たり1億ウォン(約1000万円)を支払うよう命じた判決を確定した、というニュースが流れた。
 
これに対しては、安倍晋三首相は、元徴用工の個人賠償請求権は、(いつもの口癖なのだが)日韓協定により、「完全かつ最終的に解決」しているとして韓国に「毅然と対応していく」と言ってのけていた。
 
「これは明らかに国民世論をミスリードする発言である」と、川上詩朗弁護士は以下のように解説していた。
 

あたかもすべての請求権が消滅したかのような言い方ですが、2007年の最高裁の西松建設中国人連行訴訟の判決(西松事件)を意図的に無視しています。そこでは、日本と中国の間の賠償関係等について、外国にいる自国民が損害を受けた場合本国がその国に対して外交手続きで救済を要求する「外交保護権」は放棄されたものの、被害者個人が賠償を請求する権利は、「実態的に消滅させることまでを意味するものではない」との判断を示しました。西松建設は、裁判所では救済できないが、個人の損害賠償請求権は消滅していないことから、裁判外で日本企業が賠償金を支払い解決するのは法的には可能だとということを示しました。じつは日本政府も西松判決の論理とほぼ同じであり、韓国のケースにも当てはまるものです。(週刊金曜日 1209号より)


西松、強制連行で和解 中国人360人補償 2億5000万円基金

この記事では、「訴訟自体は、最高裁で2007年に原告敗訴が確定した。西松側は、最高裁判決が『被害者らの苦痛は極めて大きく、西松建設を含む関係者に被害救済の努力が期待される』と付言した点を重視。訴訟を起こさずに解決する『即決和解』を東京簡裁に申し立て、原告側も応じた。」と報じていた。
 
労働委員会や裁判での命令や判決で、国家間の協定や時効等で法的には原告側の請求は棄却するが、人権救済の見地から「付言」という形で暗に判決確定後の和解を促す場合がある。
 
かつては、三菱マテリアル(旧三菱鉱業)も、「企業の戦争責任 三菱マテリアル和解の意義」によると、こんな内容である。


▽三菱マテリアルは歴史的責任を認めて深甚なる謝罪を表明し、
▽和解のための基金を設立し“謝罪の証”としてひとりあたり10万元、およそ170万円を支払う、
▽事業所の跡地に記念碑を建て追悼行事を行う、
▽所在が分かっていない元労働者の調査を行う
という合意内容で和解している。
 
このような過去の経緯から、「【徴用工判決】韓国メディアが、三菱マテリアルと中国人の事例から韓国差別と不満」との声が出てくるのは当然と思える。
 
それでは、中国に対してできたことが、なぜ韓国に対しては拒むのかという理由としては、「韓国は植民地だったが、中国は占領地だった」という屁理屈をいう声があるという。
 
しかし、どちらも日本が加害行為を加えたという点では共通しており、被害者を救済すべき点では違いはないはずである。
 
先日、またもやこんな問題が発生した。
 
韓国政府、慰安婦支援のための「和解・癒やし財団」の解散を決定
 
これに対しては、安倍晋三首相の反応と合わせるように、「河野外相『日韓合意の実施は国際社会への責務』 慰安婦財団『解散』発表で」、「日韓合意に照らして問題であり、到底受け入れられない」と反発」していた。
 
日韓合意当時の外相だだった岸田文雄もこう韓国を批判していた。
 

     【“慰安婦問題”財団の解散に対し岸田氏が韓国を批判(18/11/22)】
 
ネトウヨと呼ばれている連中は皆な「嫌韓」であり「嫌中」であることは周知のことなのだが、書店でもその類の書物は平積みされていることもあるし、特別なコーナーを設けているところもある。
 
どういうわけか、日本のWikipediaには、「嫌韓(けんかん)は、韓国を対象とした嫌疑・嫌悪などから同国民と距離を置きたい、関与したくないとの感情をあらわす用語。国際的に認知されている事象である」と記載されていることには驚く。
 
一方、「嫌中」については、「嫌中(けんちゅう)とは、中華人民共和国に関連する世界の事象で中華思想・中国共産党による一党支配体制・中国人の現地のルールを守らない言動等を嫌悪する態度の総称であり、日本の場合は歴史認識や政策など、歴史的・政治的な様々な対立点から、中華人民共和国に対して不信感や嫌悪感を抱くものである。」と、若干イデオロギー的なところもある。
 
かなり説明トーンが異なることも、ある種の先入観が大きく作用しているかも知れない。
 
話を戻して、財団解散に関しては、現地のハンギョレ新聞の「[ニュース分析]結局消えた和解・癒やし財団…10億円の運命はまだ決まっていない」という記事のリード゙によるとこんな感じである。
 
◆女性家族部、財団の解散を正式に発表 
◆強制徴用判決が重なり韓日関係も冷え込む見込み  
◆慰安婦合意の破棄は宣言せず  
◆両国関係への影響は限定的という分析も 
◆日本政府が拠出した10億円の処理なども課題 
◆解散まで法的な手続きに6カ月~1年  
◆日本と外交的解決策を模索する方針 
 
元外交官の天木直人はスバリ「政治家もメディアも世論も、歴史を直視する勇気を持たず、隣国に対する反感、差別意識から抜けきれないという事である」と喝破していた。
 

・・・・前略・・・
報道を冷静に読むと、韓国政府ははっきりと述べている。
韓国政府は日韓合意を破棄するつもりはないと。
日韓合意を順守することに変わりはないと。
その一方で、すべての報道は教えてくれている。
元慰安婦のうち約7割は財団が支給した現金を受け取ったが、一部の慰安婦や市民団体が合意を批判して受け取らないままだと。
これを要するに、慰安婦財団の役割が終わったということだ。
受け取らないと決断した元慰安婦がいまさら受け取ることはない。
日韓合意に反対する市民団体が反対を止める事はない。
個人の拒否する意思や反対行動を、政府の合意で一方的に捻じ曲げたり、阻止する事は出来ない。
それが民主主義だ。
役目の終わった慰安婦基金の残りの財源を無駄にしないためにも、韓国政府の言う通り、他の目的に有効に使われるように日韓両政府は協議を始めるべきなのだ。
ここまで書いていくと、賢明な読者ならもうお分かりだろう。
韓国政府は日韓合意を一方的に破棄したわけではない。
あの日韓合意はもはやその役割を終えただけなのだ。
日本が一方的に約束違反だと怒り狂っているだけだ。
ついでに言えば、あの徴用工問題もそうだ。
個人の補償請求権は、日韓合意で消滅したわけではない。
このことは日本政府も認めている。
韓国最高裁の判決は、日韓両政府にあの時の不十分な日韓合意について善後策を考えろと命じただけだ。
そして文在寅大統領は安倍首相と違って司法の中立性を尊重し、最高裁の判断を尊重し、日韓両政府で善後策を考えようと安倍首相に提案しているのだ。
慰安婦問題といい、徴用工問題と言い、今度の騒動から見えたもの。
それは日本と言う国が、政治家もメディアも世論も、歴史を直視する勇気を持たず、隣国に対する反感、差別意識から抜けきれないという事である。
残念でならない(了)  

 
すべては、(じっちゃんが関わっていた)第2次世界大戦は、アジアの植民地の解放のための「聖戦」であったという、まさに東京裁判を否定する歴史修正主義者(Historical revisionist)である安倍晋三が諸悪の根源であることは言うまでもない、とオジサンは思う。
 
  
   


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