自称「アイドル評論家兼経済学者」、さらには「韓流好きのリフレ派」・「韓リフ」、デフレ脱却政策支持する上武大学ビジネス情報学部教授の田中秀臣が、数日前にこんな記事を投稿していた。
<「桜を見る会」7つの疑惑、モリカケ化が止まらない> 2019/12/03 iRONNA 首相主催の「桜を見る会」は、いまや単なる安倍晋三政権批判ありきの「政治ゲーム」と化している。ゲームの主要プレーヤーは、一部メディアや立憲民主党、日本共産党などの野党の大半であり、さらに「反権力」「反安倍」を信奉する識者が相乗りしている。 この方々の発想は簡単で、「箸が転んでも安倍政権批判」とでもいうべきスタンスであり、論理の跳躍、ゴールポスト(論点)の移動などはお手のものである。 10月の消費税率の引き上げ実施前には、「国会が再開されれば、最大論点として戦う」とあれだけ公言していたのだが、その主張は後退している。元々、消費増税や経済問題で、現政権に本気で対決するよりも、テレビや新聞で受けのいい話題に食いつくことで、内閣支持率の低下を狙う方が割のいい戦略に見えるのだろう。 確かに、森友・加計学園問題と同様に、報道されればされるほど支持率は低下の傾向を示す。ただし、テレビなどで取り上げられなくなると再び回復するかもしれない。 これは支持と不支持を決める人たちの、近視眼的な行動によるものだろう。近視眼的になるのは、やはり報道の在り方に大きな責任がある。 今まで「桜を見る会」に関する「疑惑」は主要なものでも6点、細かいものを足すと十数件に及び、五月雨式に報道されている。その顛末(てんまつ)がどうなったのか、そしてそれが本当の疑惑なのか、道義的な問題なのか、法的な問題なのかをいちいちチェックしていったら、さすがに時間の制約のある一般の人では情報処理が難しくなるだろう。 同様の状況はモリカケ問題でも起きていた。このため、多くの人たちが「なんか安倍政権は怪しい」「安倍政権は支離滅裂だ」と思うのも無理のない側面がある。 われわれはみんな限定された合理性の中で生きていて、場当たり的、つまり近視眼的に自分を納得させてしまうのだ。だがそれゆえ、マスコミの責任もまた大きい。 それでは、筆者が気付いた「桜を見る会」の主な「疑惑」を整理してみよう。 (1)「桜を見る会」には、後援会や支援者、さらには社会貢献が不明な人が増えており、「私的な催し」と批判されるほど税金の使途としておかしな点がある。 (1)に対して批判の側面が出るのは、もっともである。ただし、安倍内閣だけが後援会や「議員枠」などで招待客を募っていたわけではなく、民主党政権を含む歴代の内閣が同様の運営を行っていた。この批判を受け、政府は来年の会中止を即時に決め、招待客の基準もより明確にするという。 通常の合理的判断ならば、この問題はこれで基本的に終焉(しゅうえん)するはずだったが、そうはならなかった。いわゆる「モリカケ化」の始まりである。もちろんその風潮を、筆者は批判的に見ているのは言うまでもない。 (2)「桜を見る会」前日に行われた安倍首相の後援会関係者が集まる夕食会(前夜祭)で、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)が設定した1人当たりの会費5千円は安すぎる。有権者に対し、安倍首相側が利益供与した公職選挙法違反の疑いがある。 いつの間にか、「桜を見る会」からゴールポストが移動している。(2)については、ホテルの設定価格としては特段に不思議なものではない、というのが社会的常識であろう。 パーティー形式についても、それまでの顧客との信頼関係などでどうにでもなる。ちなみに産経新聞などの報道では、立憲民主党の安住淳国対委員長の資金管理団体が、やはりニューオータニで前記の夕食会に近い料金で朝食セミナーを開催しているという。もちろん、このセミナーは適法に行われており、何の問題もない。 ならば、なぜ安倍首相関係のパーティーだけが疑惑の標的にされるのだろうか。その答えはやはり「安倍政権批判ありき」なのだろう。 ちなみに、作家の門田隆将氏はツイッターで、「立憲・安住淳氏の“会費2万円で原価1739円のオータニパーティー”報道以来、桜を見る会の報道が激減」しているとインターネット上の情報を活用して投稿している。もちろん、安住氏にも安倍首相にもこの設定価格で何の疑惑もないことは明瞭だが、マスコミがその報道姿勢から明らかにこのネタが使えないと判断したのではないだろうか。マスコミの報道姿勢に関する疑惑はますます深まったと言わざるを得ない。 (3)上記夕食会において「領収書がないのはおかしい」疑惑。 これについては、報道で既にホテルから領収書が発行されていることが分かっている。 (4)安倍首相の政治資金収支報告書に、夕食会の収支記載がないのはおかしい。 この「疑惑」は簡単で、直接ホテル側に会の参加者が料金を払い、安倍事務所が介在していないためである。単に事務所のスタッフがホテルの領収書を手渡しただけのようだ。 これをおかしいと指摘する専門家も少数いるが、もし「おかしい」のであれば、「お金のやり取りには直接介在していないが、手渡しでホテルの領収書を代わりに事務所が渡した場合でも、政治資金収支報告書に記載する」と法改正すべきだろう。ただ個人的意見を述べれば、あまりに些末(さまつ)すぎて法改正の時間の無駄にも思える。 (5)ホテルの明細書がないのは不自然なので、ホテルニューオータニの責任者を国会に参考人で招致すべきだ。 パーティーなどで明細書を発行しない場合もあるのではないか。顧客との信頼関係など、それこそケース・バイ・ケースだろう。 そもそも価格設定が不適切だという話から、明細書や領収書問題が出てきたのではないか。(2)で書いたように、価格設定自体に不自然なものは特にない。個人的には、ニューオータニもとんだとばっちりを受けているとしか思えない。 (6)「桜を見る会」に反社会的勢力が招かれていた問題と、行政処分や特定商取引法違反容疑で家宅捜索を受けた「ジャパンライフ」元会長が招かれていた問題。 今度はまた「桜を見る会」に戻ってきた。そもそも報道などで暗に示される「反社勢力」がよく分からないという問題も指摘されている。今後、なにかしら具体的に出てくるのかもしれないが、現状ではよく分からないとしか言いようがない。 それはさておき、現在最も話題になっているのが、主に高齢者を対象にしたマルチ商法を展開して消費者に大きな損失を与え、経営破綻したジャパンライフの元会長を、2015年の会に招いたことだろう。ただし報道によれば、特定商取引法違反で消費者庁から最初の業務停止命令を受けたのは2016年で、さらに家宅捜索が入ったのは2019年4月である。 未来を正確に予測して、招待客をいちいち選別しなければならないとなると、政府もなかなか大変である。なお、14年に書面の不記載で行政指導を受けたことが問題視されているが、もし行政指導された企業を招待しないのであれば、マスコミ各社も該当するのではないだろうか。 また、ジャパンライフの広告に「桜を見る会」の招待状が利用されたり、加藤勝信厚生労働相とジャパンライフ元会長が食事したり、ホテルでジャーナリストや政治家を参加者に毎月懇談会を開催していたことが報道されている。ただし、朝日新聞はこれらの動きを安倍首相の責任問題にしたいらしいが、さすがにそれは筋違いであろう。宣伝に悪用したジャパンライフの問題が優先的にあるのではないか。 懇親会に呼ばれたメンバーには、テレビ朝日『報道ステーション』コメンテーターの後藤健次氏や、NHK解説委員長(当時)の島田敏男氏、毎日新聞特別編集委員(当時)の岸井成格(しげただ)氏(故人)といったジャーナリストが名を連ねている。また、同社顧問には朝日新聞元政治部長の橘優氏が就いていた。 朝日新聞では、このジャパンライフの宣伝活動を批判しているのだが、安倍首相や自民党議員に特に焦点を当てているようである。自社の元社員の責任などもあるだろうし、他のジャーナリストたちも体よく宣伝として利用されていたのだろう。だが、安倍政権批判ありきの前ではそういう指摘は通用しないのかもしれない。 ちなみに、ジャパンライフの広告は行政処分後もマスコミ掲載されていたというが、もちろんこの指摘も通じない。安倍首相の「責任」だけが取りざたされるのである。 (7)内閣府が招待客の名簿などをシュレッダーで廃棄処理したことに関し、「タイミングが怪しい」「隠蔽(いんぺい)だ」問題。 野党の大半が参加した内閣府のシュレッダー見学報道には、あきれたの一言だった。野党側は、今年5月9日に国会で名簿の存在について質問した直後に、資料がシュレッダーにかけられたことを「疑惑」として騒いでいた。 しかし実際には、国会質問前の4月22日に処分の予約が入っていた。国会質疑とは全く関係ないどころか、単に仕事の都合でしかない。 このようにいろいろ列挙したが、一つ言えるのは、無責任な「疑惑」自体こそシュレッダーにかけるべきである。経済や安全保障といった重要問題で、与野党の本格的な攻防を見てみたい、いつもそう願っている。 |
このサイトの特徴は、
「国内の各出版社等と提携することによって可能になった豊富な雑誌記事や論文を掲載、著名ブロガーのブログ、産経新聞論説委員やユーザー等による寄稿など、「オピニオン・解説」に絞った多彩なコンテンツを掲載します。
これまで雑誌のみに掲載され、オンライン上では読むことができなかった記事・論文をはじめ、「ここでしか見ることができない」コンテンツも多数掲載。政治・経済・国際情勢から生活、スポーツ、文化に至るまで、多角的な視野から日本・日本人にとって関心が高い問題に関する複数の分析、解説、意見を提供していきます。」
ということらしく、「執筆者一覧」には豊富な雑誌記事や論文に記事を投稿した人や、著名ブロガーたちで、今までに1度でも採用された600名以上に及ぶ人たちの顔写真と略歴が掲載されている。
ザット眺めると右から左まで多士済々の論客や、与野党の国会議員やオジサンが数年前顧問弁護士に推薦した人権派の弁護士や、護憲派の憲法学者も含まれている。
多くの筆者らは、ある意味では「広告塔」の如く扱われているようで、かなり古い写真のままや故人も含まれている。
しかしやはり目につくのは、「櫻井よしこ」、「百田尚樹」、「杉田水脈」、「三原じゅんこ」、「ケント・ギルバート」、そして歴史修正主義者等の名前であり、政治的には「親安倍政権」否、安倍晋三応援団たちのサイトであろうことは想像に難くない
。
もちろんわが国は民主主義の国で決して独裁政権ではないので「言論の自由」は保障されている。
しかし、担当テーマ別の「編集長一覧」を眺めると、月刊Hanadaの花田紀凱編集長、産経新聞出版社長の皆川豪志編集長、月刊WiLLの立林昭彦編、正論 前編集長小島新一編集長等の顔ぶれからは、彼らが編集を担当した記事はどのような傾向なのかは自ずと明らかであろう。
したがって、あくまでも上記のようなネット記事は読み手のリテラシーにかかっている。
さて、前記の田中教授の投稿内容を見てみよう。
「『国会が再開されれば、最大論点として戦う』とあれだけ公言していたのだが、その主張は後退している。」とある。
そもそも野党の最終的な目標は政権交代であり、そのためには現政権の「不正」とか「不平等さ」、もっと分かりやすい「いかがわしさ」を明らかにして内閣支持率を低下させ、安倍政権を退陣させることである。
したがって、そのための様々な戦略をいちいち批判しても意味がない。
「安倍内閣だけが後援会や『議員枠』などで招待客を募っていたわけではなく、民主党政権を含む歴代の内閣が同様の運営を行っていた」という記述は、安倍晋三が好んで使う「悪夢のような民主党政権時代」と同レベルな稚拙な手法である。
問題は「同様の運営」でも安倍晋三の場合は「度が過ぎる」ことなのであり、その招待客の内容でもある。
「『桜』昭恵夫人枠に新たなマルチ“北海道の闇紳士”招待疑惑」
【日刊ゲンダイより】
「政府は来年の会中止を即時に決め、招待客の基準もより明確にする」ことで「基本的に終焉するはずだった」と擁護している。
こんな子供じみた論法は、ドロボーが「盗んだ物を返し今後は真人間になるから見逃してくれ」とでも言っているようである。
「盗んだ行為」は罪でありそれなりに償うべきであるのだが、安倍晋三政権は、「証拠隠滅」を組織的に行い、なかったことにしようとしているから、「モリカケ化」の始まり」になるのであり、そのこと自体を批判的に見ているのなら、「モリカケ疑惑」がなぜ解明されなかったのかという点を振り返るべきであろう。
「ジャパンライフの元会長を、2015年の会に招いたことだろう。ただし報道によれば、特定商取引法違反で消費者庁から最初の業務停止命令を受けたのは2016年で、さらに家宅捜索が入ったのは2019年4月である。
未来を正確に予測して、招待客をいちいち選別しなければならないとなると、政府もなかなか大変である。なお、14年に書面の不記載で行政指導を受けたことが問題視されているが、もし行政指導された企業を招待しないのであれば、マスコミ各社も該当するのではないだろうか。」
この上記のようなくだりは田中教教授の不勉強振りそのものでありその記事の2日前の、「ああ金の世だ、金々節が泣いている安倍政権の黄昏」の中でオジサンはこんなツイートを紹介した。
スッキリ加藤浩次さん
— ネコおぢ (@necoodi) November 28, 2019
『ジャパンライフの元会長を呼んだのは、4年前の2015年。家宅捜索が入ったのは、今年の4月。招待した4年前の時点じゃ、分からんでしょ?』
印象操作をしてるんじゃねぇか?
野党の悪だくみを木っ端微塵にする加藤。
そうなんですよ、加藤さん、イカサマなんですよ。 pic.twitter.com/yHKofmZUE6
ふーん、テレビでは、野村修也、加藤浩次、志らく、と判で押したような「2015年はまだジャパンライフはまともな会社」説を振りまいている訳ね。興味深い。 https://t.co/YHsANGq1pP
— みんなのおとうさん (@minnnanotousan) November 30, 2019
おそらくこの教授もタレント芸人レベルであったのだろう。
「ジャパンライフの広告に『桜を見る会』の招待状が利用されたり、加藤勝信厚生労働相とジャパンライフ元会長が食事したり、ホテルでジャーナリストや政治家を参加者に毎月懇談会を開催していたことが報道されている。」
「朝日新聞では、このジャパンライフの宣伝活動を批判しているのだが、安倍首相や自民党議員に特に焦点を当てているようである。自社の元社員の責任などもあるだろうし、他のジャーナリストたちも体よく宣伝として利用されていたのだろう。」
おそらくは、ジャパンライフの広告塔としては安倍晋三だけではなくジャーナリストたちもいる、とでも言いたいらしい。
これも子ども騙しのような印象操作かも知れない。
「安倍政権中枢総ぐるみ ジャパンライフ汚染議員30人の名前」
【日刊ゲンダイより】
過去にはこんな動画もあった。
自民党とのズブズブが明らかになったジャパンライフ研修会は、まるでカルト宗教のようなヤバさ。
— ROCKiN REVOLUTION (@ROCKiN_REVO) December 5, 2019
こんな異常な詐欺集団の会長に、桜の招待状を出した安倍。
ジャパンライフはその招待状を利用し、詐欺をはたらき老人達を苦しめた。そして、安倍政権はジャパンライフの悪事を隠ぺいしようとしていた???? pic.twitter.com/F6BuxEPG6A
テレ東よくやった!! 秘蔵映像、30年前から続くジャパンライフと政界大物との関係。中曽根総理へは1000万円献金、安倍外務大臣とは1984年ニューヨーク訪問に山口会長が同行。安倍総理は当時、晋太郎氏の秘書。何が多人数の集まりで会ったことは否定しないだ。昵懇の間柄じゃないのか? pic.twitter.com/nTRhHe5UYK
— ryota (@ggzhmru2) December 5, 2019
田中教授は最後にこう結んでいた。
「このようにいろいろ列挙したが、一つ言えるのは、無責任な『疑惑』自体こそシュレッダーにかけるべきである。経済や安全保障といった重要問題で、与野党の本格的な攻防を見てみたい、いつもそう願っている。」
無責任な「疑惑」ではなく、無責任な「安倍政権」と置き換えるべきであり、安倍政権が隠蔽している事実を全て公開すれば、「経済や安全保障といった重要問題で、与野党の本格的な攻防」が実現することだけは確かである、とオジサンは思う。