新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

血迷った権力者を即刻退陣させることが日本国民の責任

2022年12月23日 12時16分32秒 | 岸田文雄

取り締まる側と取り締まられる側が、「同じ穴のムジナ」だったらどうなるのか、といった典型的な事例が、日本の今後の原発政策を大いにゆがめてしまった。
 
原発政策大転換 60年超運転、建て替え推進の基本方針を決定 議論わずか5カ月 事故の教訓から目を背け


それにしても、60年を超えての運転と簡単にいっているのだが、老朽化への対処は全く触れずに話がすすんでいるらしい。
 
原子炉は運転停止していても劣化は進むものであり、いくら「審査などで停止した期間を運転期間から除外」したところでそんなのはただの気休め程度であろう。
 
 次世代原発に至っては、廃炉が決まった既存の原発を対象にするというのだが、廃炉するまでの期間と費用をどうやって見積もるのか、そもそも10年経っても福島第一原発の後始末が遅々として進まない中で、どうやったらリプレース(建て替え)という発想が出てくる
のか不思議である。   
 
同じように安全保障戦略を国会が閉会した後閣議決定だけで大転換してしまったのだが、それはもはや「専守防衛」からは大きく離れてしまい、ついに防衛相がこんな本音を漏らしていた。
 
敵基地攻撃『被害受けることを待たず、行使可能』 浜田防衛相が見解」 
 

浜田靖一防衛相は20日、閣議後の記者会見で、相手の領域内にあるミサイル発射拠点などを攻撃する「敵基地攻撃能力(反撃能力)」を行使できるタイミングについて、「他国が我が国に対して武力攻撃に着手した時」と述べた。政府は「反撃能力」としているものの、攻撃を受けていなくても、着手した段階で可能との見解を示したものだ。
 政府が16日に改定した国家安全保障戦略(NSS)では、敵基地攻撃能力は「我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合」に「必要最小限度の自衛の措置」として行使できると定義した。
 浜田氏は会見で「他国が我が国に対して武力攻撃に着手した時が、武力攻撃が発生した時である以上、現実に被害を受けることを待たず、我が国が自衛権を行使しうる」と述べた。ただ、相手が攻撃に着手したという判断を誤れば、国際法違反の先制攻撃になる可能性がある。


 
防衛費の大幅拡大のためには国民が負担する増税やむなしと岸田文雄政権は言っていたが、その裏には財務省の魂胆が隠れていたという。
 
財務省のウソを垂れ流す岸田文雄の魂胆。年間1兆円の防衛増税など必要ない理由」 
 

■防衛費倍増と増税をめぐる嘘八百
ウソがまかり通っている。「国家安全保障戦略」など3つの文書を閣議決定したあとの記者会見。岸田首相は言った。防衛力を5年かけて抜本的に増強するために、毎年4兆円の安定財源が必要で、そのうち3兆円は歳出改革で賄うが、あと1兆円は税負担をお願いしたいと。
3兆円が予算の組み換えでなんとかなるのなら、なぜ4兆円までがんばらないのか。無駄な予算は掃いて捨てるほどあるだろう。それを削って回すのにわざわざ3兆円までという限度を設ける。そして、その数字に確たる根拠があるわけではない。どの予算を切るかの検討は今後の作業であるからだ。
つまりこれは、財務省のウソである。岸田首相は言われるがままに垂れ流し、メディアはメディアで、どうしても1兆円足りない理由を問い詰めようともしない。不思議な物語を素直に受け入れ、せいぜい、国債発行で賄う手もあるのではないかと言う程度なのだ。
いうまでもなく財務省の“力の源泉”は、各省庁が要求する予算を査定する権限にある。そういう立場からすると、財源となる税収は多いほどいいわけで、理由が見つかりしだい課税し、取り立てる。
一方で、国債発行について財務省が嫌がるのは、税収という限られた財源のなかから予算を捻出するありがたみが失われ、財務省の権限低下につながるからであって、必ずしも「財政健全化」というお題目のためだけではない。
防衛増税に対して安倍元首相のシンパ議員から反対の声が上がっているが、これもまた国民のためというよりは「防衛をワルモノにするな」というのが本音であろう。要するに誰もかれも、自分たちのことしか頭にないのである。
岸田首相は自民党本部で開かれた党役員会で防衛増税について「責任ある財源を考えるべきで、今を生きる国民が自らの責任として、しっかり重みを背負って対応すべきものだ」と語ったと報道された。実は発言を紹介した茂木幹事長が、今を生きる「国民」ではなくて「われわれ」だったと報道後に修正したのだが、大意はさして変わらない。
これを聞いて、終戦直後の1945年8月17日、当時の首相、東久邇宮稔彦王が敗戦の原因について語った発言内容を思い出した。
「事ここに至ったのは勿論政府の政策がよくなかったからであるが、また国民の道義のすたれたのもこの原因の一つである。この際私は軍官民、国民全体が徹底的に反省し懺悔しなければならぬと思う」
国民が政府の言うとおりに動くものと思っている。これに似たようなニオイを岸田首相の財務省的発言からも感じるのだが、どうだろうか。防衛力は必要だが、その膨張には賛否がある。「今後5年間で43兆円の防衛力整備計画を実施し、2027年度にはGDPの2%の予算を確保する」と岸田首相は語るが、選挙で国民に問うことも、国会での審議を経ることもなしに、「われわれ国民」に責任の重みを押しつけるのは、まさしく“おかみ”の発想である。
そもそも、防衛費を「GDPの2%」にするというのは、1%程度である現在の2倍であり、常識外れな軍備拡張策だ。憲法に基づき専守防衛に徹すると宣言している国が世界第3位の軍事大国化してしまう。これは一体どこから来た数字なのだろうか。
この国の政治家でいちばん早く「GDPの2%」論を唱えたのは2021年9月の自民党総裁選に立候補したさいの高市早苗氏ではないかと思う。安倍政権で始まった敵基地攻撃能力の議論を念頭にしており、この総裁選で安倍元首相の支援を受けるポイントになる主張だった。
高市氏に先駆けをつとめさせたうえで、おもむろに登場したのはもちろん、安倍元首相だ。今年6月2日の安倍派の会合で「NATO加盟国の正面にあるのはロシアだけだが、日本の場合は中国と北朝鮮も加わってはるかに状況は厳しい。本来であればGDPの2%を超える額が必要になる」と述べた。
GDPの2%」はもともとトランプ米大統領が2020年、NATO諸国など同盟国に要求した数字だ各国の軍事費を増やせば、その分、米軍の経費を減らせるし、米軍需産業の利益にも繋がるというわけだ。
おそらく日本に対しても同じような働きかけがあったに違いない。米国は中国を封じ込めるため、日本に大きな役割を求めている。台湾に中国が武力行使するようなことがあれば、自衛隊に働いてもらい米軍兵士の命や兵器の損害を最小限に抑えたいというのが米国の本音だ。全面戦争に発展することさえなければ、米軍の損失は最小限にとどまり、米中の経済関係も、一時的にはどうであれ、持続できると踏んでいる。
こうしたオフショア・バランシングといわれる米国の戦略を安倍・菅政権は積極的に受け入れてきた。2021年12月1日、安倍氏が台湾のシンクタンクが主催するシンポジウムにオンライン参加し「新時代の日台関係」と題して講演した内容の一部。
「尖閣諸島や先島、与那国島などは台湾からも100キロ程度しか離れていません。台湾への武力侵攻は、地理的、空間的に必ず日本の国土に対する重大な危険を引き起こさずにはいません。台湾有事、それは日本有事であり、すなわち日米同盟の有事でもあります」
岸田首相もまた、安倍氏の防衛政策を踏襲した。今年5月にバイデン米大統領が来日し首脳会談をしたさい、防衛費の大幅な増額を約束した。バイデン米大統領は、中国が台湾に侵攻したら米国は台湾防衛に関与するかと記者に問われ、「イエス」と答えた。今回、岸田首相が国民に十分な説明をすることもなく防衛3文書の決定を急いだのは、来年1月にも訪米し、バイデン大統領に防衛費倍増の報告をしたいからだと見られている。
しかし、いざ台湾有事となった際に、必ず米国が軍事介入するとは限らない。米国がウクライナ戦争に介入しないのは、第3次世界大戦に発展することを恐れるからだ。同様に、核保有国であり、経済大国でもある中国とコトを構えるのは避けたいはずである。中国だって、下手に台湾に手出しして米国の介入を呼び込みたくはないだろう。経済制裁や輸出管理によるダメージは計り知れないのだ。
それでも、事態が切迫していると考える日米の安全保障専門家は多い。元国家安全保障局次長の兼原信克氏もその一人。夕刊フジの記事に掲載された兼原氏の主張の一部を抜粋した。
習氏は、幅広い国際的知見や、複雑な現代経済運営のノウハウを持たない。鄧小平を超えたと自負する彼が、毛沢東を超える偉人となる方法は「台湾併合」しかない。自由の島となった台湾人のほとんどが、独裁中国との併合など望んではいない。ならば答えは武力行使しかない。
兼原氏は、習近平氏が力ずくで台湾併合をはかる可能性が高いと指摘。そのうえで、以下のような状況を予測する。
今、台湾有事になれば、無能に近い日本のサイバー防衛を突破した中国軍のサイバー攻撃が、沖縄や九州の電力をブラックアウトさせるであろう。(中略)米軍は、中国の「A2AD(接近阻止・領域拒否)戦略」の下で、ずらりと並んだ対艦ミサイルや爆撃機を恐れて、はるか太平洋の遠方から飛び道具で応戦する。(中略)前線にいる日本の自衛隊はそういうわけにはいかない。巨大な中国軍と正面で対峙するのは、わが自衛隊である。
米国が軍事介入したとしても、日本の自衛隊を前線に立たせ、米軍ははるか太平洋の遠方から参戦するだけだろう。だからこそ、日本を守る自衛隊の飛躍的な能力増強が必要だ、というのが兼原氏の結論である。
しかしこれは、米側のいいなりになって集団的自衛権の行使を容認した結果、日本は台湾有事の際に最前線に立たねばならないところに追い込まれた現実を物語っている。
安倍元首相を米国側から操ってきたのが「ジャパン・ハンドラー」と呼ばれる米国人たちだ。代表的なのが、米シンクタンク「CSIS」のリチャード・アーミテージ(元国務副長官)やジョセフ・ナイ(元国防次官補)、マイケル・グリーン(ジョージタウン大学外交政策学部教授)の各氏。彼らと安倍氏の親密な関係はよく知られている。
2020年12月7日に公表された「アーミテージ・ナイ報告」は、日本の防衛費について、「GDPのたった1%で、中国の国防予算に比べるとごく僅かな額である」と指摘した。ちなみに20年度の中国の国防費はGDPの1.75%だった。
こうした米国からの圧力と、自民党内のタカ派議員の突き上げを受け、戦後、政府が一貫して「持たない」としてきた「反撃能力」(敵基地攻撃能力)を持つことにしたのが、今回の防衛政策大転換だ。倍増させる防衛費の使途について、岸田首相は「端的に申し上げれば、戦闘機やミサイルを購入するということです」と言明した。
実際に攻撃を受けていなくとも、着手したと判断すれば、こちらから攻撃できる「反撃能力」の保有で、相手に攻撃を思いとどまらせる「抑止力」を得られると言うが、本当だろうか。日本にとっては単なる気休めに過ぎず、相手国から見れば、攻撃材料になるだけではないのだろうか。
日本を守るという観点からいえば、危機的状況にある少子化問題も、いよいよ切迫してきた。今年の出生数は過去最少を更新し、初めて80万人を割り込む見通しだ。このままでは国の衰退は避けられない。
岸田首相は子ども関連予算の「倍増」も目玉政策に掲げてきたはずだが、こちらの「倍増」は先送りされた。岸田首相は声の大きいほうにばかり「聞く力」を発揮しているのではないだろうか。


 
ところで、「われわれは真実を泥土にゆだねてはならない。いいたいことを明からさまにいい、欺瞞のベールをひきはがし、そのことをつうじて、真に大衆的世論を力強いものにしなければならない。そのために必要なことは、いかなる権威にも屈することのない真に大衆的言論機関をみずからがもつことである。このことは、今日切実に要求されている」ことから「長周新聞」が徹底的に防衛費増大とそれに伴う大増税の明らかにされていない事情を暴いていた。 
 
武器買わされ戦場にされる選択 岸田政府の防衛費43兆円と大増税 米軍需産業のカモにされる日本」 
 

高齢者の介護や医療費、教育費など国民に不可欠な生活関連予算を無慈悲に削り続ける一方で、岸田政府が今までよりさらにばく大な国家予算を投じて米国製高額兵器を買い込もうとしている。米国政府との「不平等条約」である兵器購入契約・FMS(有償軍事援助)は直近6年間だけで2.6兆円に達し、「兵器ローン」(後年度負担)の支払額は約6兆円に迫る大赤字状態だ。それなのに2023年度防衛予算の概算要求は過去最多額(5.6兆円+事項要求)を計上し、来年以後5年間で43兆円もの軍事費をつぎ込むため、国民に大増税をかぶせる方針を決定した。岸田首相は、モリ・カケ、桜、統一教会問題、コロナ対策、ウクライナ戦争にともなう物価高、あいつぐ閣僚の辞任等、何一つみずからの責任で解決したためしがない。だが防衛費をめぐっては「今を生きる国民が自らの責任として、しっかりその重みを背負って対応すべきだ」と豪語し、国民から集めた税金を米国の軍需産業に際限なく垂れ流す売国的な本性をあらわにしている。
 

 
岸田政府は2023年度から2027年度まで5年間の防衛費を総額43兆円と勝手に決め、新たに必要な増額分17兆円を国民への大増税や建設国債などで賄う方針をうち出した。このうち増税では5年間で約1・2兆円捻出する方向だ。その内訳は法人税=約8000億円、所得税=2000億円、たばこ税=2000億円となっている。
 所得税は東日本大震災の復興財源ですべての国民から徴収する「復興特別所得税」の仕組みを転用するという。現在の「復興特別所得税」は所得税の税額に2.1%上乗せし、2012~2037年の25年間で約7.5兆円の「復興財源」を確保すると告知していた。ところがこの期間を延長したうえで税率は1%に下げ、それを防衛財源にあてる目的税に変えるというものだ。
 たばこ税は加熱式たばこの税額を5年かけて段階的に引き上げ、1本当たりの税額を3円引き上げる方針。法人税は「9割の中小企業は増税対象外になる」と主張し、5%課税するとしている。
 「建設国債」では5年間で約1.6兆円規模の確保を想定している。これまで歴代政府は戦前に戦時国債を発行して軍事費を拡大した反省から、建設国債を防衛費にあてることはしていない。だが、岸田政府はこの「禁じ手」を用いて「防衛財源」を増やそうとしている。「建設国債」は道路など将来にわたって恩恵が及ぶときに認められる国債だが、これを自衛隊の弾薬庫など軍事施設整備にあてる内容だ。
 加えて国民生活にかかわる予算を徹底的に削る「歳出改革」で約3兆円確保し、歳入と歳出の差額である「決算剰余金」で3.5兆円捻出する方向だ。同時に税外収入などによる「防衛力強化資金」を創設し、約4.6兆円確保する方針もうち出している。「防衛力強化資金」は外国為替資金特別会計、財政投融資特別会計、コロナ対策の不用分、商業施設大手町プレイスの売却収入などをあてる。それは国民への大増税と徹底した予算削減、さらには予期しなかった余剰資金をすべて防衛財源に回すことで、総額43兆円もの軍事費を確保するという内容である。
 だがこうしてかき集めた43兆円の使い道がとんでもない内容だった。主だった用途をみると、敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ防衛能力」の分野に約5兆円、戦闘機や軍艦の維持整備に約9兆円、自衛隊施設の改修整備に約4兆円、弾薬や誘導弾の購入に約2兆円と物騒な項目が並ぶ。無人機(1兆円)、宇宙分野(1兆円)、サイバー分野(1兆円)にも巨額投資をおこなう方向だ。

 コロナ禍や物価高で経営状態が悪化した飲食店や小売店が行政窓口へ行き、切実に支援を求めても「財政が厳しいので…」と追い返されるが、「財政が厳しい」のは「財源が足りない」からではない。国民がきちんと収めた税金を政府が国民のために使わず、別のことに流用ばかりすることが最大の原因といえる。
トマホーク等も大量に 攻撃型無人機も
本側が発表する武器購入費の資料は極めて難解だ。一つの装備品購入の内容を数年間で分割したり、部品購入費と組み立て費を分けたり、装備品研究費を防衛費とは別の予算に組み込んだり、姑息な小細工が施してあり、全貌を把握するのは至難の業だ。
その点ではアメリカ議会調査局の方がずっと明快といえる。同調査局の報告では2016年段階で日本への売却額として「総額2兆円の武器セールス」と明記し、そこでの契約装備は、空中戦を想定したF35ステルス戦闘機42機(ロッキード・マーチン)、離島侵攻に使用する垂直離着陸輸送機オスプレイ17機(ベル、ボーイング)、空母に搭載するE-2ホークアイ早期警戒機4機(ノースロップ・グラマン)、滞空型無人偵察機グローバルホーク3機(ノースロップ・グラマン)、戦闘機にもヘリにも空中給油可能なKC46Aペガサス3機(ボーイング)など【表参照】。総額2兆円ですべて米軍需産業の装備だった。


 
 これに加えて近年は「いずも型護衛艦」改修による国産空母の配備を進め、垂直離着陸が可能な空母艦載機F35B戦闘機も買い込み、国産空母による攻撃体制を完備。さらに12式地対空誘導弾、高速滑空弾、極超音速誘導弾など攻撃を想定したミサイル配備も進めてきた。イージスアショア配備計画は中止したものの、すでに支払っていた関連費277億円はむしりとられ、来年度以後は「スタンド・オフ防衛能力」と称してトマホーク(米国製)等の長射程ミサイル、攻撃型無人機を大量に買い込む動きを見せている。
際限ない日本側の負担 不平等なFMS契約
 そして問題はこの米国製兵器購入に適用している不平等なFMS(対外有償軍事援助)契約である。FMSはアメリカが「軍事援助をしている」という位置づけで、同盟国に武器を買わせるシステムだ。このFMSについて米国の武器輸出管理法は、①契約価格も納期もすべて米側の都合で決める、②代金は前払い、③米政府は自国の都合で一方的に契約解除できる、と規定している。
 実際にFMSで調達したF35戦闘機の価格変動は日本政府を侮蔑しきった米国側の対応を象徴的にあらわしている。2012年の契約当初は1機96億円だったのに、翌13年は開発費などの増加を理由に140億円に値上げし、14年には159億円に値上げした。その後もアメリカは値上げを続け、16年には181億円と提示した。そして2020年7月に米国務省が追加分105機(F35A=63機、F35B=42機)の売却を承認したときの1機の価格は242億円だった。
 ちなみに2019年10月に米国防総省がロッキード・マーチン社と合意した478機の調達価格は1機が約78億円だった。つまり米国政府を通してロッキード・マーチンが日本にF35を売るとき、1機当り164億円ものマージンをつかみどりしていく構図である。
 しかもF35の整備は軍事機密であるため、部品は米国から調達し、技術指導者や技術者はみなアメリカから呼び寄せて整備する。その渡航費や滞在費をみな「技術支援費」として日本側が負担しなければならない。こうして試算されたF35戦闘機にかかる維持整備費は、1機当り約307億円(30年間)に達する。それはF35戦闘機1機当り最終的に約471億円もかかることを意味する。加えてF35戦闘機は最先端のデータリンクシステムは搭載しているが、機体が重いため40年以上前に開発されたF16戦闘機に模擬戦で負けるようなレベルでとても「最新鋭の万能戦闘機」といえる装備ではない。
 それでも米国に「買え!」といわれれば147機も買い込む契約を交わし、「真面目」に2.4兆円規模のピンハネ料と4.5兆円に上る維持整備費の支払いに勤しんでいるのが岸田政府にほかならない。
 オスプレイの17機購入も、防衛省は当初、5機で計611億円(1機当り122億円)としていたが、総経費はまったく違っていた。その後判明したのは機体購入費=1681億円と維持整備費=4394億円(20年間)が必ず必要で、最終的には合計6075億円になるというもので、結局1機当り357億円も払わされる羽目になった。しかもオスプレイは速度が速く航続距離が長いだけで、墜落事故は多く輸送能力も低い。そのため最初は米陸軍も海兵隊も採用しなかった。このような欠陥装備を「最新兵器」「国防に有効」と騙して日本に高く売りつけカモにしているのが米国である。
 FMSで日本が買い込んだ水陸両用車AAV7(BAEシステムズ)も米国では生産中止になった「骨董品」だった。ベトナム戦争時に開発され、大型で狙われやすく装甲はアルミで防御力も低いという評価だったが、そんな兵器を1両7億円で52両(364億円)も売りつけている。
 このFMS契約は米軍のリサイクル兵器や欠陥装備を新品以上の価格で売りつけるだけではない。「前払い」だけさせて武器を実際に収めない「未納入」が常態化している。2007年から2016年までの10年間で、未納入額合計は2481億円にのぼる。2000億円をこす売買契約を交わしておいて、商品を納入しないのは詐欺行為であり処罰対象である。だが日本政府はそれを米国にはっきり指摘することもできず、「未納入・未精算の縮減に向けて取組を推進していくことで一致した」と令和4年版防衛白書に記載しただけである。
 そのうえこうした詐欺まがいのFMS契約を減らすどころか、急拡大してきたのが自民党政府だった。FMS調達額は、第二次安倍政府登場前の2011年は431億円だった。ところが2013年には1179億円計上し、2017年度予算では3596億円へ増額した。そして2019年度予算では7013億円計上した【図参照】。その額は直近の6年間だけでも2兆5764億円に達している。
 

 
増える「兵器ローン」 ツケは次世代に
 こうした高額兵器の支払いをするため防衛予算を前借りし、すでに6兆円規模の大借金体質に変えたのも自民党政府だった。そのなかで2018年11月には、防衛省が国内軍事関連企業62社に装備品代金の支払延期を求める事態になった。このとき防衛省は「追加発注をするかわりに、2~4年後に今年度の代金も含めて一括払いする」と説明し丸く収めようとしたが、資金繰りに困る企業側が猛反発して表面化することになった。この「支払延期」を招いた原因こそ、戦闘機やミサイルなど高額兵器を買い込む場合に適用する「兵器ローン」(後年度負担=複数年度に分けて装備代を払う)が増えすぎていたことだった。
 国家財政に責任を持つ政府であれば、いくら米国が「武器を買え!」と迫っても、支払いができないほど巨額な兵器購入契約を結ぶという無謀なことはしない。しかし歴代首相は自分がいかに米国に対して忠実かを示すために、「台湾有事」や「北朝鮮のミサイル」を煽り立てて現行の防衛予算額では賄えない額の兵器売買契約を結び、ツケはすべて後継者に押し付ける「場当たり的な対応」を続けた。こうした「防衛費の前借り」を続けた結果、いくら返済額を増やしても追いつかない事態になっている。
 2012年以前の新規兵器ローン契約は年間1・7兆円規模だった。それが安倍政府になって以後2・5兆円規模に拡大している。そのため防衛予算で毎年過去最高を計上しても、毎年数千億円規模のローン未払いが蓄積する事態になっている。第二次安倍政府発足前の2012年段階は「兵器ローン」(新規ローンと既定ローンの合計)は3兆1583億円だった。それが2017年に4兆8726億円になり、2022年には5兆8642億円に達している【グラフ参照】。
 このような無謀で無計画な兵器購入計画を続けてきた歴代首相がなんの責任もとらないまま「国民の責任」といって国民や喫煙者や兵器製造と関係のない企業にまで大増税を押し付けるのは、岸田首相自身がいかに無責任かを自己暴露するものでしかない。
米軍駐留費負担も増額 たかりたい放題
 こうした攻撃型兵器買い込みに加えて大幅増額の動きを見せているのが「在日米軍駐留経費負担」思いやり予算、HNS)である。
 「思いやり予算」については、事前に米国政府と合意していた特別協定を今年3月の国会で与党と立憲民主党などが賛成多数で可決・承認し、4月1日から発効させている。これは米国側の要求に基づいて五年ごとの総額を決める仕組みで、2022~26年度の5年間で日本側が1兆551億円(前期比で年間約100億円の増額)を米軍に貢ぐ内容となった。しかも今回から呼び方を同盟強靭化予算と変え、今後の大幅増額をにらんで日米共同訓練費や日米共同使用施設整備費を肩代わりする訓練資機材調達費の項も新設している。
 今特別協定で新設した「訓練資機材調達費」は米側から「日本側負担をもっと増額せよ!」と迫られ、日本側から逆提案した「できるだけ反発を招かない形で増額を実現する手法」だ。それは批判の強い米軍基地の光熱水費負担を減額し、国民のなかでイメージがわきにくい「訓練資機材調達費」という新項目を設置し、この意味不明の項目の予算を際限なく増やしていく手法だった。
 そのため在日米軍基地の光熱水費は現行規模(234億円)を段階的に減らし、2025~2026年度は年133億円にする。その一方で「訓練資機材調達費」として5年間で200億円計上し、仮想空間で人工知能(AI)によって仮想敵を相手に訓練する最新システム等を購入する方針を決定した。こうすれば高熱水費を約100億円減額する目くらましで、200億円の機材調達費を確保し、100億円日本負担を増やすことができる。同時にこれは今後、もっと高額な訓練資機材を「日米同盟強化に必要な施設」と主張し、日本側に押しつけていくための地ならしにほかならない。
 さらに「訓練移転費」に「アラスカへの移転費を加えたのも特徴だ。この「訓練移転費」はもともと「在日米軍の約七割が集中する沖縄県の負担軽減」を予算計上の理由にしており、在沖米軍の訓練のグアム移転を対象にしてきた。しかし実際は、グアムへの訓練移転経費だけにとどまらず、米海兵隊の「グアム移転経費」と称してグアムにある米軍基地整備費まで日本側が負担してきた。それを今度はロシアと国境を接する米アラスカ州にも拡大し、年間約114億円負担することを明らかにしている。
 加えて在日米軍基地の機能強化に直結する「提供施設整備費」は5年間で総額1641億円とし、年間平均では約100億円増額した。思いやり予算を規定した特別協定の「日米合意」は、同盟国を盾にして中国に対峙させる米国の軍事戦略の具体化である。
 この「思いやり予算」は1978年に在日米軍基地で働く日本人の一部労務費を日本側が負担(60に億円)したのが始まりだ。だが翌年に隊舎や施設整備費の負担が加わり、1987年からは基地従業員の手当も日本負担にした。それ以後は光熱水費(1991年)、訓練移転費(1996年)まで加え、現在の在日米軍駐留経費負担は2056億円(2022年度予算)となった。それは開始当初の負担額の33倍以上に膨れ上がっている。
 しかも日本が負担する米軍関係費は「思いやり予算」以外にも米軍再編関係費、基地周辺対策費、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費等があり、防衛省管轄の経費だけで約8000億円規模になる。それ以外にも基地交付金等防衛省予算外の日本負担(約2000億円分)がある。これらを合計すると日本側はすでに年間1兆円規模の在日米軍関係費を貢いでいる。この日本側負担に加えて、さらに今後、増えていく可能性の高い「訓練資機材調達費」まで新たな負担項目に追加したというのが中心的な合意内容だった。
 もともと在日米軍基地は米軍が日本全土に残虐な爆撃を加えて日本から力ずくで奪った基地であり、「すべて返せ!」というのが日本国民として当然の要求であるところが歴代日本政府は基地撤去を要求するどころか「米国が日本を守ってくれている」と主張し、日本国民の税金を米軍基地関連経費に貢ぎ続けている。しかも岸田政府は日本が米国から散々たかられてきたにもかかわらず、まだ貢ぎようが足りないと、今度は国民から増税で巻き上げ、さらに米国から大量の兵器を買い込み、挙句のはては日本列島全体が米本土防衛のための巨大な地雷、もしくは機雷にさせられかねない危険な事態を引き寄せている。
 そもそも際限なく国民の予算を米軍産複合体に垂れ流し、不必要な武器ばかり買い込んで配備し続けてきたことが、近隣諸国との軍事緊張を高めていく最大の要因である。このような血迷った権力者を即刻退陣させることが、日本やアジア諸国の平和や安全にとって真の「日本国民の責任」といえる。
 
歴代の自民党出身の首相は米国の顔色を見ながらに日本国民に犠牲を強いてきた。
 
特に今回の防衛費の増大問題も米国の軍需産業を背景とした米国政府の言いなりであろう。
 
そしてわが身の保身のためにはいくらでも国民の税金を惜しげもなく「おもいやり予算」と「兵器ローン」に費やしている。
 
本来ならば積極的に国内のGDPを増やす政策を行えば、おのずと防衛費も今までの範囲で増額が可能となるはずである。
 
名前だけの「聞く力」と国民に向いてはいない「眼」しか持ち合わせていない権力者を即刻退陣させることが喫緊の課題であろう、とオジサンは思う。     

  
 

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