書店の棚を見ると、韓国語のテキストが実にたくさん並んでいます。
昔を知る私ヌルボにとっては考えられないほどです。(韓国語テキストが市販されるようになったのは1980年頃からだったと思います。)
今では、入門書もずいぶん多様になっています。著者の考え方により内容・構成がかなり違います。
たとえば、①音声重視か、読み書き重視か、②文法は韓国式の文法か、「語基」を用いているか、あるいは文法にはふれないか、③観光用などの実用目的の人向けか、読解さらにはそれ以上を求める人向けか、等々。
ごく最近の発行で、今大きな書店では平積みになっているテキストに長渡陽一「いちばん話せる韓国語」(新星出版社)があります。(この長渡先生は、私ヌルボの先生であるということを最初にことわっておきます。)
このテキストの特色は、書名にも掲げられているように、「話せる」ことを一番の目的にすえた、画期的な入門書です。長渡先生自身、冒頭に下のように記しています。
「画期的」な点その1は、韓国語のカタカナ表記。
ハングルの説明や、反切表や50音とハングル対照表、基本単語等はなくて、いきなり「안녕하세요.」から始まるのですが、そこに振ってあるカタカナは「アンニョンハセヨ」ではなく「アニャーセヨ」。そして「반갑습니다.」と続きますが、これも「パンガプスムニダ」ではなくて「パンガッスンミダ」。
【「ヨンファ」じゃなくて「ヨガ」なんですね。ㅎ(h)の音は消え、ㅇ(ng)は次の母音と結びついて鼻濁音の「ガ」になるということです。】
つまり、話し言葉の韓国語に一番近いカタカナ表記にした、ということなんですね。
たしかに、これまでは会話重視のテキストでも、読みをカタカナで書く時にはハングルという文字をカタカナに置きかえていたのがふつうでしたね。
このテキストでは、ハングルについても、会話で出てきた言葉をハングルではどう書くか、というところから帰納的にその形やしくみを理解していくというように、文字→発音という順序ではなく、音声→文字という順序で学習するようになっています。音声優先が徹底している点が長渡先生らしいところです。
「画期的」な点その2は、話す時のイントネーションを表記していること。
韓国語では、日本語のように<高↘低(たかひく)>となるイントネーションはなく、<低↗高(ひくたか)>と<高→高(たかたか)>の2種類だけで、<たかたか>になるのは激音と濃音、そして<ㅅ>と<ㅎ>の場合に限る、と前著の「韓国語の発音と抑揚トレーニング」(アルク)でくわしく説明されていました。本書では、それにしたがって、たとえば本の帯にあるようにカタカナの配置の高低でイントネーションが表されています。
【「イルミ」のイントネーションに注目!】
とくに日本語のイントネーションにつられて間違いやすい所には「♪メロディーチェック」の欄で注意が書かれています。
他の例でいえば、たしかに日本語だと「百貨店」は「ひゃっ↗か↘てん」なので、意識しないと「백화점에 갔어요.(百貨店に行きました。)」が「ペッ↗クァ↘ジョ↘メ・・・・」になってしまいますね。しかし韓国語では「ペッ↗クァ→ジョ→メ・・・・」が自然なイントネーションというわけです。
このように、話すことに重きを置いたテキストですが、適宜、時制などの文法事項、英語起源の外来語のハングル表記等々の説明もあるし、別冊ワークブックも付いていて、文法や「書く」ことの学習を省いてしまっているわけではありません。つまり、学ぶ順序の問題ですね。
これから韓国語の勉強を始めようかなと思ってる方、あるいは教える立場の方、ぜひ手に取ってご覧になってください。
昔を知る私ヌルボにとっては考えられないほどです。(韓国語テキストが市販されるようになったのは1980年頃からだったと思います。)
今では、入門書もずいぶん多様になっています。著者の考え方により内容・構成がかなり違います。
たとえば、①音声重視か、読み書き重視か、②文法は韓国式の文法か、「語基」を用いているか、あるいは文法にはふれないか、③観光用などの実用目的の人向けか、読解さらにはそれ以上を求める人向けか、等々。
ごく最近の発行で、今大きな書店では平積みになっているテキストに長渡陽一「いちばん話せる韓国語」(新星出版社)があります。(この長渡先生は、私ヌルボの先生であるということを最初にことわっておきます。)
このテキストの特色は、書名にも掲げられているように、「話せる」ことを一番の目的にすえた、画期的な入門書です。長渡先生自身、冒頭に下のように記しています。
「画期的」な点その1は、韓国語のカタカナ表記。
ハングルの説明や、反切表や50音とハングル対照表、基本単語等はなくて、いきなり「안녕하세요.」から始まるのですが、そこに振ってあるカタカナは「アンニョンハセヨ」ではなく「アニャーセヨ」。そして「반갑습니다.」と続きますが、これも「パンガプスムニダ」ではなくて「パンガッスンミダ」。
【「ヨンファ」じゃなくて「ヨガ」なんですね。ㅎ(h)の音は消え、ㅇ(ng)は次の母音と結びついて鼻濁音の「ガ」になるということです。】
つまり、話し言葉の韓国語に一番近いカタカナ表記にした、ということなんですね。
たしかに、これまでは会話重視のテキストでも、読みをカタカナで書く時にはハングルという文字をカタカナに置きかえていたのがふつうでしたね。
このテキストでは、ハングルについても、会話で出てきた言葉をハングルではどう書くか、というところから帰納的にその形やしくみを理解していくというように、文字→発音という順序ではなく、音声→文字という順序で学習するようになっています。音声優先が徹底している点が長渡先生らしいところです。
「画期的」な点その2は、話す時のイントネーションを表記していること。
韓国語では、日本語のように<高↘低(たかひく)>となるイントネーションはなく、<低↗高(ひくたか)>と<高→高(たかたか)>の2種類だけで、<たかたか>になるのは激音と濃音、そして<ㅅ>と<ㅎ>の場合に限る、と前著の「韓国語の発音と抑揚トレーニング」(アルク)でくわしく説明されていました。本書では、それにしたがって、たとえば本の帯にあるようにカタカナの配置の高低でイントネーションが表されています。
【「イルミ」のイントネーションに注目!】
とくに日本語のイントネーションにつられて間違いやすい所には「♪メロディーチェック」の欄で注意が書かれています。
他の例でいえば、たしかに日本語だと「百貨店」は「ひゃっ↗か↘てん」なので、意識しないと「백화점에 갔어요.(百貨店に行きました。)」が「ペッ↗クァ↘ジョ↘メ・・・・」になってしまいますね。しかし韓国語では「ペッ↗クァ→ジョ→メ・・・・」が自然なイントネーションというわけです。
このように、話すことに重きを置いたテキストですが、適宜、時制などの文法事項、英語起源の外来語のハングル表記等々の説明もあるし、別冊ワークブックも付いていて、文法や「書く」ことの学習を省いてしまっているわけではありません。つまり、学ぶ順序の問題ですね。
これから韓国語の勉強を始めようかなと思ってる方、あるいは教える立場の方、ぜひ手に取ってご覧になってください。