元々あまりTVを見ず、最近は週刊誌もあまり読まず、電車に乗る機会も減ったため中吊り広告も目にしなくなりました。
その結果、新聞やネットで韓国のニュースを通じて日本の情報に初めて接することもちょくちょくあります。
横浜市立図書館の新聞閲覧台で4月12日「朝鮮日報」を見ていたら、こんな見出しが目に入りました。
<남편 中性化에・・・ 悲劇이 된 '러브레터'>
(夫の中性化に・・・ 悲劇となった「Love Letter」)\t
つまりは、中山美穂&辻仁成夫妻の離婚をめぐるゴシップ記事なんですけどね。これも私ヌルボ、この記事を読んで初めて知りましたよ。あ、まだご存知ない方は→コチラの記事(日本語)で概容を把握できます。
さて、この見出し中にある '러브레터'(「Love Letter」)とは、あの岩井俊二監督の映画のこと。
1995年制作のこの映画の韓国公開は1999年です。なぜ4年遅れたのかというと、1995年当時は韓国で日本映画の上映は認められていなかったからです。
金大中政権下、条件付きながら日本映画が開放されたのが1998年10月。最初の上映作は98年12月公開の北野武監督「HANA-BI」で、その観客動員数は6万人でした。(ソウル封切り館のみの暫定数値。)
翌1999年9月、規制がさらに緩和され、「キスシーンはあってもトロント国際映画祭で観客賞(1995年)を受賞したからOK」となり、99年11月に公開されたのがこの「Love Letter」でした。
この映画は日本でもヒットし、日本アカデミー賞等も受賞しましたが、韓国では日本以上の大きな反響をよび、「HANA-BI」をはるかに上回る115万の観客を動員する興行を記録しました。30万枚の裏ビデオが流通したというのは、そんな日本文化解禁の前後という時代によるものでしょうか。(※日本映画の全面解禁は2004年。)
主演した中山美穂が叫ぶ"오겡키데스카"(「お元気ですか?」)というセリフは日本語のままで流行語になり、また舞台となった小樽には多くの韓国人観客が訪れるようになりました。
最近でも、昨年(2013年)2月と11月に再公開され、今年1月にはSBSテレビで放映されました。
※SBSテレビの放映(吹替)では、「お元気ですか?! 私は元気です!」のセリフだけは吹替ではなくオリジナルの中山美穂の声が流されたとのことです。
※この映画について、上記のウンチク等は韓国のオタク系サイト<エンハウィキ・ミラー>の「Love Leter」の項目(→コチラ)に詳述されていて、本記事も相当部分依拠しています。
【記事中の写真も、中山美穂の方は「お元気ですか~!」と叫んでいる場面を用いています。】
長々と映画の説明をしてしまいました。新聞記事に戻ります。
副見出しの文言は次の通りです。
<日 여배우 나카야마 미호, 유명 작가와 이혼 준비 중>
(日本の女優中山美穂、有名作家と離婚準備中)
<男性 여성화, 女性 남성화・・・ 일본 사회문제로 떠올라男性 여성화, 女性 남성화… 일본 사회문제로 떠올라>
(男性の女性化、女性の男性化...日本の社会問題に浮上)
「Love Letter」で一気に人気女優となった中山美穂に対して、夫の辻仁成の名前は見出しにはありませんが、彼も韓国の文学ファンの間でそれなに知られている作家です。韓国語の訳本も、「クラウディ」1997年以来20作品近く(?)刊行されています。とくに江國香織との共作「冷静と情熱のあいだ」や、韓国の人気作家・孔枝泳(コン・ジヨン)との共作「愛のあとにくるもの」は注目されました。
そういえば、2010年彼の原作の映画「サヨナライツカ」がイ・ジェハン監督(「私の頭の中の消しゴム」「戦火の中へ」等)により映画化されましたが、その主演も中山美穂(&西島秀俊)でしたね。
・・・というわけで、東京特派員が書いた上記の新聞記事が大きく取り扱われた背景(その1)がわかると思います。
本文記事(→コチラ参照)を見ると、最近の辻仁成の「中性化」についてかなり具体的に書いています。「15㎏の減量に化粧を楽しんで髪は肩まで伸ばした。あげくの果てに、2011年には女装の男性を素材にした「ぼくから遠く離れて」という小説を出した」等々。
そして中山美穂がドラマ撮影のためパリから羽田に戻ってきた時の記者たちとのやりとりも。ただ、彼女が記者たちを皮肉った「この国は平和だにゃ~@(・●・)@」(4月10日「日刊スポーツ」等→コチラ)というツイッターの呟きのニュアンスまでは韓国語で表現されてなかったのがザンネンですが。
概して、韓国のメディアは最近では四国の遍路道での「差別貼り紙」事件(→過去記事)のように、嫌韓や歴史認識関係の話題は即座に反応する(ように思える)感じで、記事にも怨念や揶揄が籠っているような感じ(??)ですが、この記事についてはふつうにすんなり書かれています。
ただ、記事の末尾に「中性化」について次のような説明がつけられているのは、疑問に思う日本読者もけっこういるのではないでしょうか?
☞中性化
男女の性的•社会的役割が曖昧になり、男性が女性的に変化したり、女性が男性的に変化する現象である。特に日本では、男性性を失い、恋愛や結婚生活を放棄する「草食系男子(草食男•草食動物のように従順な男性)」が増え、社会問題となっている。 このような男性の多くは、ファッション・ビューティーに関心が高く、濃い化粧を楽しむ。
しかし、日本で「草食系男子」が話題になると、ほどなくして韓国でも「초식남(草食男)」と訳され、そのまま新語として定着したことからもわかるように、韓国でもそんな男性をわりとふつうに見かけるようになっています。したがって韓国の読者もこの記事をすんなりと読んで、「韓国でもあり得る話だなー」と思うのではないでしょうか?
・・・という点がこの記事が大きく取り扱われた背景その2です。
こんな芸能人の私事をことさらに大きく取り扱うというのも、たしかに「この国は平和だにゃ~@(・●・)@」ということなんでしょうね。(ヌルボも含めて。)
その結果、新聞やネットで韓国のニュースを通じて日本の情報に初めて接することもちょくちょくあります。
横浜市立図書館の新聞閲覧台で4月12日「朝鮮日報」を見ていたら、こんな見出しが目に入りました。
<남편 中性化에・・・ 悲劇이 된 '러브레터'>
(夫の中性化に・・・ 悲劇となった「Love Letter」)\t
つまりは、中山美穂&辻仁成夫妻の離婚をめぐるゴシップ記事なんですけどね。これも私ヌルボ、この記事を読んで初めて知りましたよ。あ、まだご存知ない方は→コチラの記事(日本語)で概容を把握できます。
さて、この見出し中にある '러브레터'(「Love Letter」)とは、あの岩井俊二監督の映画のこと。
1995年制作のこの映画の韓国公開は1999年です。なぜ4年遅れたのかというと、1995年当時は韓国で日本映画の上映は認められていなかったからです。
金大中政権下、条件付きながら日本映画が開放されたのが1998年10月。最初の上映作は98年12月公開の北野武監督「HANA-BI」で、その観客動員数は6万人でした。(ソウル封切り館のみの暫定数値。)
翌1999年9月、規制がさらに緩和され、「キスシーンはあってもトロント国際映画祭で観客賞(1995年)を受賞したからOK」となり、99年11月に公開されたのがこの「Love Letter」でした。
この映画は日本でもヒットし、日本アカデミー賞等も受賞しましたが、韓国では日本以上の大きな反響をよび、「HANA-BI」をはるかに上回る115万の観客を動員する興行を記録しました。30万枚の裏ビデオが流通したというのは、そんな日本文化解禁の前後という時代によるものでしょうか。(※日本映画の全面解禁は2004年。)
主演した中山美穂が叫ぶ"오겡키데스카"(「お元気ですか?」)というセリフは日本語のままで流行語になり、また舞台となった小樽には多くの韓国人観客が訪れるようになりました。
最近でも、昨年(2013年)2月と11月に再公開され、今年1月にはSBSテレビで放映されました。
※SBSテレビの放映(吹替)では、「お元気ですか?! 私は元気です!」のセリフだけは吹替ではなくオリジナルの中山美穂の声が流されたとのことです。
※この映画について、上記のウンチク等は韓国のオタク系サイト<エンハウィキ・ミラー>の「Love Leter」の項目(→コチラ)に詳述されていて、本記事も相当部分依拠しています。
【記事中の写真も、中山美穂の方は「お元気ですか~!」と叫んでいる場面を用いています。】
長々と映画の説明をしてしまいました。新聞記事に戻ります。
副見出しの文言は次の通りです。
<日 여배우 나카야마 미호, 유명 작가와 이혼 준비 중>
(日本の女優中山美穂、有名作家と離婚準備中)
<男性 여성화, 女性 남성화・・・ 일본 사회문제로 떠올라男性 여성화, 女性 남성화… 일본 사회문제로 떠올라>
(男性の女性化、女性の男性化...日本の社会問題に浮上)
「Love Letter」で一気に人気女優となった中山美穂に対して、夫の辻仁成の名前は見出しにはありませんが、彼も韓国の文学ファンの間でそれなに知られている作家です。韓国語の訳本も、「クラウディ」1997年以来20作品近く(?)刊行されています。とくに江國香織との共作「冷静と情熱のあいだ」や、韓国の人気作家・孔枝泳(コン・ジヨン)との共作「愛のあとにくるもの」は注目されました。
そういえば、2010年彼の原作の映画「サヨナライツカ」がイ・ジェハン監督(「私の頭の中の消しゴム」「戦火の中へ」等)により映画化されましたが、その主演も中山美穂(&西島秀俊)でしたね。
・・・というわけで、東京特派員が書いた上記の新聞記事が大きく取り扱われた背景(その1)がわかると思います。
本文記事(→コチラ参照)を見ると、最近の辻仁成の「中性化」についてかなり具体的に書いています。「15㎏の減量に化粧を楽しんで髪は肩まで伸ばした。あげくの果てに、2011年には女装の男性を素材にした「ぼくから遠く離れて」という小説を出した」等々。
そして中山美穂がドラマ撮影のためパリから羽田に戻ってきた時の記者たちとのやりとりも。ただ、彼女が記者たちを皮肉った「この国は平和だにゃ~@(・●・)@」(4月10日「日刊スポーツ」等→コチラ)というツイッターの呟きのニュアンスまでは韓国語で表現されてなかったのがザンネンですが。
概して、韓国のメディアは最近では四国の遍路道での「差別貼り紙」事件(→過去記事)のように、嫌韓や歴史認識関係の話題は即座に反応する(ように思える)感じで、記事にも怨念や揶揄が籠っているような感じ(??)ですが、この記事についてはふつうにすんなり書かれています。
ただ、記事の末尾に「中性化」について次のような説明がつけられているのは、疑問に思う日本読者もけっこういるのではないでしょうか?
☞中性化
男女の性的•社会的役割が曖昧になり、男性が女性的に変化したり、女性が男性的に変化する現象である。特に日本では、男性性を失い、恋愛や結婚生活を放棄する「草食系男子(草食男•草食動物のように従順な男性)」が増え、社会問題となっている。 このような男性の多くは、ファッション・ビューティーに関心が高く、濃い化粧を楽しむ。
しかし、日本で「草食系男子」が話題になると、ほどなくして韓国でも「초식남(草食男)」と訳され、そのまま新語として定着したことからもわかるように、韓国でもそんな男性をわりとふつうに見かけるようになっています。したがって韓国の読者もこの記事をすんなりと読んで、「韓国でもあり得る話だなー」と思うのではないでしょうか?
・・・という点がこの記事が大きく取り扱われた背景その2です。
こんな芸能人の私事をことさらに大きく取り扱うというのも、たしかに「この国は平和だにゃ~@(・●・)@」ということなんでしょうね。(ヌルボも含めて。)