わりと最近知ったのですが、ゆまに書房という出版社から「日本植民地文学精選集」というすごい全集が出ています。
2000年9月刊行の第1期分が全20巻で定価262,500円、2001年9月刊行の第2期分が全27巻で定価340,200円です。
「満洲・朝鮮・台湾・南洋群島・樺太―植民地とその周辺の文学の基礎文献を集成」したというもので、計47冊の内訳は、満洲編=12巻、朝鮮編=13巻、台湾編=14巻、・南洋群島編=4巻・樺太編=4巻 となっています。
その収録作品は、第1期分は→コチラ、第2期分は→コチラのリストを参照のこと。
「すごい全集」と書いたのは、1冊平均約1万3千円というそのお値段! 中には約1万9千円というのもあります。(汗笑)
そしてもうひとつは、読んでみたくなる収録作品の数々!
ゆまに書房の宣伝文によると、
日本「内地」中心の文学史から抜け落ちた植民地の文学、待望の復刻。歴史的価値が高く、研究者から復刻を強く望まれていた作品を厳選。日本人以外の作家によって書かれた日本語文学作品も多数収録。図書館などにもほとんど所蔵されていない、閲覧困難な幻の稀覯本です。・・・ということです。
私ヌルボ、リストに目を通してみると、たとえば・・・
・[台湾編13]に『船中の殺人』(1943年)・『龍山寺の曹老人』(1945年)という林熊生(りん・ゆうせい)こと、実は人類学者の碩学金関丈夫の探偵小説がある! これはおもしろそう。
・佐藤春夫が『霧社』(1936年)という作品を書いてたのか。([台湾編6])
この他にも、台湾編には興味をそそられる作品がとくに多いです。
・[満洲編8]には、日本名で日本語の小説を書いた在満朝鮮人作家の今村栄治の作品を収録、って、この作家は知りませんでしたが興味を覚えます。ちょっと検索してみたら「「臣民」と「不逞鮮人」:今村栄治「同行者」に見る民族・移民・帝国」と題した論文がありましたが・・・。
「翌朝までにコプラを十トン集めなければ、島の若者五人が貿易船に徴用される―。酋長の苦悩を描く」なんて、そんな事実があったのか、・・・というのは[南洋群島編4]の大久保康雄『孤独の海』(1948年)。あの『風と共に去りぬ』の翻訳家がこういう本も書いていたんですね。
「おもしろそう」というより、なるほど、資料として貴重な作品をそろえています。
・・・で、本ブログの主旨に沿って[朝鮮編]の中身を見てみると・・・、
湯浅克衛・田中英光・李光洙・張赫宙・兪鎭午等のヌルボ既読の作家と、鄭人沢のような名前だけ知っている作家を合わせたよりも、名前も知らなかった作家がはるかに多い・・・。まあしかたないでしょ。日本でも忘れ去られ、韓国でも日本語で書いた「親日」作家とその作品に関心を示すのは、日韓ともにごく一握りの研究者(orヌルボのようなオタク)くらいのものでしょうから。
さて、その[朝鮮編]13巻の中で私ヌルボがさっそく読んでみようと思ったのは次の2冊。
[朝鮮編2]青木洪『耕す人々の群』(1941年)
父の過ちによって没落し、言語を絶する困苦の放浪生活を送る農民一家。朝鮮半島の土の香りを、生々しい現実感とたくましい生活感をもって描き上げた自伝長篇小説。
・・・ということですが、著者の紹介に心ひかれました。
本名・洪鐘羽(1908~?)。朝鮮黄海道黄州に農家の長男として生れる。十歳で父を失い、小学校を二年で中退、極貧の農民生活を送る。その後間島に移住し、子守、商店の小僧、領事館の給仕などの職を転々とする。やがて渡日し、左官業の傍ら、文学修業を行う。自己の体験に根ざしたリアリズムの作風で、自伝的長篇『耕す人々の群』(農民文学懇話会有馬賞)のほか、『ミインメヌリ』などの作品がある。
そしてもう1冊は[朝鮮編10] 金聖『緑旗聯盟』(1940年)
東京と京城を舞台に、日本人と朝鮮人の二組の兄妹の恋愛模様を描く青春風俗小説。その清新なストーリーの一方で、朝鮮社会における反日感情についても透徹した目で見据えた傑作。
・・・この青春風俗小説という内容自体がなんとなくおもしろそうではないですか。
幸いなことに、高価なこの全集を横浜市立図書館はヌルボのため(であるかのように)そろえてくれていました。ラッキー!! さっそく『緑旗聯盟』を借りて読んでみました。
そして2日間でイッキ読み。いやー、これは正解だったですねー。1937年当時の「内地人」と「半島人」の生活や物の考え方、あるいは両者間のもろもろについていろいろ知識を得ました。そして東京(とくに銀座)や京城の街のようす等についても。
この小説については、少し後に記事にします。
【約400ページで1万6千円。ということは、1ページが40円、1行が3円か。うーむ・・・。】
続きは→コチラ。
2000年9月刊行の第1期分が全20巻で定価262,500円、2001年9月刊行の第2期分が全27巻で定価340,200円です。
「満洲・朝鮮・台湾・南洋群島・樺太―植民地とその周辺の文学の基礎文献を集成」したというもので、計47冊の内訳は、満洲編=12巻、朝鮮編=13巻、台湾編=14巻、・南洋群島編=4巻・樺太編=4巻 となっています。
その収録作品は、第1期分は→コチラ、第2期分は→コチラのリストを参照のこと。
「すごい全集」と書いたのは、1冊平均約1万3千円というそのお値段! 中には約1万9千円というのもあります。(汗笑)
そしてもうひとつは、読んでみたくなる収録作品の数々!
ゆまに書房の宣伝文によると、
日本「内地」中心の文学史から抜け落ちた植民地の文学、待望の復刻。歴史的価値が高く、研究者から復刻を強く望まれていた作品を厳選。日本人以外の作家によって書かれた日本語文学作品も多数収録。図書館などにもほとんど所蔵されていない、閲覧困難な幻の稀覯本です。・・・ということです。
私ヌルボ、リストに目を通してみると、たとえば・・・
・[台湾編13]に『船中の殺人』(1943年)・『龍山寺の曹老人』(1945年)という林熊生(りん・ゆうせい)こと、実は人類学者の碩学金関丈夫の探偵小説がある! これはおもしろそう。
・佐藤春夫が『霧社』(1936年)という作品を書いてたのか。([台湾編6])
この他にも、台湾編には興味をそそられる作品がとくに多いです。
・[満洲編8]には、日本名で日本語の小説を書いた在満朝鮮人作家の今村栄治の作品を収録、って、この作家は知りませんでしたが興味を覚えます。ちょっと検索してみたら「「臣民」と「不逞鮮人」:今村栄治「同行者」に見る民族・移民・帝国」と題した論文がありましたが・・・。
「翌朝までにコプラを十トン集めなければ、島の若者五人が貿易船に徴用される―。酋長の苦悩を描く」なんて、そんな事実があったのか、・・・というのは[南洋群島編4]の大久保康雄『孤独の海』(1948年)。あの『風と共に去りぬ』の翻訳家がこういう本も書いていたんですね。
「おもしろそう」というより、なるほど、資料として貴重な作品をそろえています。
・・・で、本ブログの主旨に沿って[朝鮮編]の中身を見てみると・・・、
湯浅克衛・田中英光・李光洙・張赫宙・兪鎭午等のヌルボ既読の作家と、鄭人沢のような名前だけ知っている作家を合わせたよりも、名前も知らなかった作家がはるかに多い・・・。まあしかたないでしょ。日本でも忘れ去られ、韓国でも日本語で書いた「親日」作家とその作品に関心を示すのは、日韓ともにごく一握りの研究者(orヌルボのようなオタク)くらいのものでしょうから。
さて、その[朝鮮編]13巻の中で私ヌルボがさっそく読んでみようと思ったのは次の2冊。
[朝鮮編2]青木洪『耕す人々の群』(1941年)
父の過ちによって没落し、言語を絶する困苦の放浪生活を送る農民一家。朝鮮半島の土の香りを、生々しい現実感とたくましい生活感をもって描き上げた自伝長篇小説。
・・・ということですが、著者の紹介に心ひかれました。
本名・洪鐘羽(1908~?)。朝鮮黄海道黄州に農家の長男として生れる。十歳で父を失い、小学校を二年で中退、極貧の農民生活を送る。その後間島に移住し、子守、商店の小僧、領事館の給仕などの職を転々とする。やがて渡日し、左官業の傍ら、文学修業を行う。自己の体験に根ざしたリアリズムの作風で、自伝的長篇『耕す人々の群』(農民文学懇話会有馬賞)のほか、『ミインメヌリ』などの作品がある。
そしてもう1冊は[朝鮮編10] 金聖『緑旗聯盟』(1940年)
東京と京城を舞台に、日本人と朝鮮人の二組の兄妹の恋愛模様を描く青春風俗小説。その清新なストーリーの一方で、朝鮮社会における反日感情についても透徹した目で見据えた傑作。
・・・この青春風俗小説という内容自体がなんとなくおもしろそうではないですか。
幸いなことに、高価なこの全集を横浜市立図書館はヌルボのため(であるかのように)そろえてくれていました。ラッキー!! さっそく『緑旗聯盟』を借りて読んでみました。
そして2日間でイッキ読み。いやー、これは正解だったですねー。1937年当時の「内地人」と「半島人」の生活や物の考え方、あるいは両者間のもろもろについていろいろ知識を得ました。そして東京(とくに銀座)や京城の街のようす等についても。
この小説については、少し後に記事にします。
【約400ページで1万6千円。ということは、1ページが40円、1行が3円か。うーむ・・・。】
続きは→コチラ。
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