前回は、韓国誌「出版ジャーナル」の特集記事の紹介で、本自体について5つのキーワードから2009年をふり返るという内容でしたが、その記事の後半ではさらに5つのキーワードをあげ、韓国の出版界をめぐるこの1年の話題をとりあげています。
⑥中小書店の危機
韓国でも何年も前から中小書店の危機的状況が指摘されていましたが、今年はさらに強く実感されました。
端的な例として、大田では52年間の伝統を持つテフン書籍が不渡を出したことは、多くの関係者と市民が残念がらせました。無理な経営拡張等が大きな原因だったと指摘されています。
テフン書籍だけでなく、インターネット書店、大型書店を利用する市民が増え、中小書店の販路が狭まりました。2007年に全国で2042店あった中小書店は、2008年1916店に減少しました。また<企業型スーパー>の広がりも中小書店との葛藤を生じています。
※<企業型スーパー(ssm)>は、日本では大企業系列の小型スーパーにあたる。
危機に対して、中小書店の側も内部をリモデリングしたり、作家の講演会等多様な企画によって市民との結びつきを強める等の努力をしています。
⑦金融危機以後
2008年アメリカのサブプライム問題に端を発した金融危機で全世界の経済が大きな打撃を被った。この危機に直面して、韓国経済の活路を模索する書籍が刊行されました。
「アメリカ発グローバル金融危機の診断と処方」「JPモーガン ジェイミー・ダイモン 金融危機最後の勝者」「グローバル金融危機と経済成長の終末:最悪のシナリオと生存戦略」「大韓民国の経済学に道を尋ねる」「サブプライム危機:グローバル金融危機の過去・現在・未来」「世界金融危機と出口戦略」などです。
また経済危機以後、合理的な選択へ導く「ノッジ(Nudge.説得)」等が人気をよび、一般人がたやすく貯蓄を通じた財テクができるように紹介した本「4つの通帳」「私の通帳使用説明書」等が人気を集めました。また鋭い経済展望で話題となった<ミネルバ>ことパク・テソンが「ミネルバの生存経済学」を発刊したりもしました。
⑧電子ブック
紙ではない携帯用端末機で本を読める電子ブックが今年大きな話題となりました。アメリカのネット書店アマゾンが出した端末機<キンドル(Amazon Kindle)>がアメリカで大人気となり、韓国でも電子ブック市場が活気を呈しました。
9月に販売を始めたアイリバーの<ストーリー>の場合、教保文庫をはじめ、清潭語学院、斗山東亜、能率教育等のコンテンツ業体との提携を通じて、本だけではなくデジタル学習教材を活用できるようにしました。またMP3ファイルによってオーディオブックを聴取できるようにしました。
来年にはインターパークINTとLGテレコムが手を握って、YES24、ハンギル社、アラディン等が共同出資したePubが電子ブック市場に進出する予定で、電子ブック市場の金のタマゴを産むガチョウになるか注目されています。
※<キンドル>は、まだ日本語には対応していません。
⑨高額の版権料をめぐる論争
版権料、つまり版権を得るため出すお金にあたる用語を、韓国では<先印税.ソンインセ.선인세)といいます。
村上春樹の新作「1Q84」の韓国内翻訳・出版をめぐって、多くの出版社が競争入札に参加し争奪戦を展開した結果、文学トンネ社が10億余ウォンもの<先印税>を出して版権を獲得したことが伝えられると、国内で論争となりました。
韓国出版研究所のパク・ウォングン責任研究員は、「<先印税>は、基本的には市場論理です。販売可能性が高い作品に事前に投資をするのは当然です。財力があれば誰でも投資をしたくなるでしょう。それを以て国富流出論を云々することは正しくないです」と語っています。
ただ、韓国が<先印税>をたくさん支払う国という認識を与え、今後平均<先印税>を高める事例が起こるため、過度の競争を自制する必要があると語っています。
また。「ペ・ヨンジュンの本が日本で<先印税>8億ウォンもらったことと、申京淑の場合10余ヵ国ですが4億ウォンを受け取ったという点も同じ論理」とのことです。
このような論争をよそに、「1Q84」は刊行された直後から大きな話題となり、ベストセラーとなって、国内に丸1年春樹熱風を吹き起こしました。
⑩<ひざ打ち道士>
<ひざ打ち道士>というのは、MBCテレビで毎週水曜午後11時15分からやっている「黄金漁場」という番組の中の、シルム(韓国相撲)出身ギャグマンのカン・ホドンがタレントやいろんな著名人をゲストに招き、悩みなどを聞いて解決していこうという設定のコーナーです。
※私ヌルボも何回も韓国で、あるいは買ったDVDで視ましたが、けっこう本音の、それも楽しいトークで、(聴き取りに大きな不安はありますが)人気の理由がわかります。
年になって、本を出した人たちがこの番組に大勢出演しました。
ハン・ビヤ、タブロ、黄暎(ファン・ソギョン)、パク・キョンチョル等で、以前はタレント中心だったのが、最近は作家または本を出した有名人の出演が多くなったとのことです。また、彼らの放送出演後、作品がベストセラー上位に上がる現象が見られました。
女性探検家ハン・ビヤの放送出演後、彼女のエッセイ集「それは愛だったね(그건 사랑이었네)がベストセラー上位になりました。
※この時は私ヌルボもDVDで見て、9月2日<えっ、ハン・ビヤさんが<キルチですって!?>という記事にしました。
また<田舎医師>パク・キョンチョルさんが出演して家族の話等、飾り気のない姿を見せた後、彼が書いた「田舎医師の美しい同行」だけではなく、以前の作品「田舎医師の金持ち経済学」「田舎医師の株式投資とは何か」等もベストセラー上位に上がりました。
これらはすでに番組出演前にベストセラーに入る有名作家である場合が多いとはいえ、番組出演後さらに上位に上がる宣伝効果を十分みてとれます。
しかし、ある評論家は「放送に出るとよく売れる社会現象に対して、反省し、恥じる必要もある」と述べています。
※明後日23日の<ひざ打ち道士>にはリュ・シウォンが出るそうですよ。
⑥中小書店の危機
韓国でも何年も前から中小書店の危機的状況が指摘されていましたが、今年はさらに強く実感されました。
端的な例として、大田では52年間の伝統を持つテフン書籍が不渡を出したことは、多くの関係者と市民が残念がらせました。無理な経営拡張等が大きな原因だったと指摘されています。
テフン書籍だけでなく、インターネット書店、大型書店を利用する市民が増え、中小書店の販路が狭まりました。2007年に全国で2042店あった中小書店は、2008年1916店に減少しました。また<企業型スーパー>の広がりも中小書店との葛藤を生じています。
※<企業型スーパー(ssm)>は、日本では大企業系列の小型スーパーにあたる。
危機に対して、中小書店の側も内部をリモデリングしたり、作家の講演会等多様な企画によって市民との結びつきを強める等の努力をしています。
⑦金融危機以後
2008年アメリカのサブプライム問題に端を発した金融危機で全世界の経済が大きな打撃を被った。この危機に直面して、韓国経済の活路を模索する書籍が刊行されました。
「アメリカ発グローバル金融危機の診断と処方」「JPモーガン ジェイミー・ダイモン 金融危機最後の勝者」「グローバル金融危機と経済成長の終末:最悪のシナリオと生存戦略」「大韓民国の経済学に道を尋ねる」「サブプライム危機:グローバル金融危機の過去・現在・未来」「世界金融危機と出口戦略」などです。
また経済危機以後、合理的な選択へ導く「ノッジ(Nudge.説得)」等が人気をよび、一般人がたやすく貯蓄を通じた財テクができるように紹介した本「4つの通帳」「私の通帳使用説明書」等が人気を集めました。また鋭い経済展望で話題となった<ミネルバ>ことパク・テソンが「ミネルバの生存経済学」を発刊したりもしました。
⑧電子ブック
紙ではない携帯用端末機で本を読める電子ブックが今年大きな話題となりました。アメリカのネット書店アマゾンが出した端末機<キンドル(Amazon Kindle)>がアメリカで大人気となり、韓国でも電子ブック市場が活気を呈しました。
9月に販売を始めたアイリバーの<ストーリー>の場合、教保文庫をはじめ、清潭語学院、斗山東亜、能率教育等のコンテンツ業体との提携を通じて、本だけではなくデジタル学習教材を活用できるようにしました。またMP3ファイルによってオーディオブックを聴取できるようにしました。
来年にはインターパークINTとLGテレコムが手を握って、YES24、ハンギル社、アラディン等が共同出資したePubが電子ブック市場に進出する予定で、電子ブック市場の金のタマゴを産むガチョウになるか注目されています。
※<キンドル>は、まだ日本語には対応していません。
⑨高額の版権料をめぐる論争
版権料、つまり版権を得るため出すお金にあたる用語を、韓国では<先印税.ソンインセ.선인세)といいます。
村上春樹の新作「1Q84」の韓国内翻訳・出版をめぐって、多くの出版社が競争入札に参加し争奪戦を展開した結果、文学トンネ社が10億余ウォンもの<先印税>を出して版権を獲得したことが伝えられると、国内で論争となりました。
韓国出版研究所のパク・ウォングン責任研究員は、「<先印税>は、基本的には市場論理です。販売可能性が高い作品に事前に投資をするのは当然です。財力があれば誰でも投資をしたくなるでしょう。それを以て国富流出論を云々することは正しくないです」と語っています。
ただ、韓国が<先印税>をたくさん支払う国という認識を与え、今後平均<先印税>を高める事例が起こるため、過度の競争を自制する必要があると語っています。
また。「ペ・ヨンジュンの本が日本で<先印税>8億ウォンもらったことと、申京淑の場合10余ヵ国ですが4億ウォンを受け取ったという点も同じ論理」とのことです。
このような論争をよそに、「1Q84」は刊行された直後から大きな話題となり、ベストセラーとなって、国内に丸1年春樹熱風を吹き起こしました。
⑩<ひざ打ち道士>
<ひざ打ち道士>というのは、MBCテレビで毎週水曜午後11時15分からやっている「黄金漁場」という番組の中の、シルム(韓国相撲)出身ギャグマンのカン・ホドンがタレントやいろんな著名人をゲストに招き、悩みなどを聞いて解決していこうという設定のコーナーです。
※私ヌルボも何回も韓国で、あるいは買ったDVDで視ましたが、けっこう本音の、それも楽しいトークで、(聴き取りに大きな不安はありますが)人気の理由がわかります。
年になって、本を出した人たちがこの番組に大勢出演しました。
ハン・ビヤ、タブロ、黄暎(ファン・ソギョン)、パク・キョンチョル等で、以前はタレント中心だったのが、最近は作家または本を出した有名人の出演が多くなったとのことです。また、彼らの放送出演後、作品がベストセラー上位に上がる現象が見られました。
女性探検家ハン・ビヤの放送出演後、彼女のエッセイ集「それは愛だったね(그건 사랑이었네)がベストセラー上位になりました。
※この時は私ヌルボもDVDで見て、9月2日<えっ、ハン・ビヤさんが<キルチですって!?>という記事にしました。
また<田舎医師>パク・キョンチョルさんが出演して家族の話等、飾り気のない姿を見せた後、彼が書いた「田舎医師の美しい同行」だけではなく、以前の作品「田舎医師の金持ち経済学」「田舎医師の株式投資とは何か」等もベストセラー上位に上がりました。
これらはすでに番組出演前にベストセラーに入る有名作家である場合が多いとはいえ、番組出演後さらに上位に上がる宣伝効果を十分みてとれます。
しかし、ある評論家は「放送に出るとよく売れる社会現象に対して、反省し、恥じる必要もある」と述べています。
※明後日23日の<ひざ打ち道士>にはリュ・シウォンが出るそうですよ。
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