ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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[韓国語] 映画「建築学概論」の“クソ女(サンニョン)”の語源は?

2013-05-20 15:39:49 | 韓国語あれこれ
 昨日久しぶりに韓国映画を観てきました。2ヵ月ぶりなんですけど・・・。昨年韓国でヒットした「建築学概論(건축학개론)」です。
 内容や感想は別のところで詳しく書くことにして、とりあえず「강추(薦)」とだけ言っておきます。

 聴き取りが(も?)苦手で、例によって根本理恵さんの字幕が頼りの私ヌルボですが、時おり聞き取れた+気になった韓国語をメモしたりしながら観ています。

 この映画の中で、ひとつのキーワードのような言葉が字幕では「クソ女」。韓国語では「サンニョン」とか「シャンニョン」と言っています。

 このシャンニョン(썅년)という言葉は、あの<スラングの宝庫!>ともいうべき映画「息もできない」にも当然のように出てきました。
 本ブログでも、2010年4月1日の記事<映画「息もできない」に頻出する韓国語のスラング等>でその他のいろんな卑語とともに紹介しました。
 シャンニョンの「ニョン(년)」は、そこに書いたように女性に対する蔑称で、<アマ>と訳されることが多いようです。
 しかしシャンニョンについては、「女性への罵倒語だと思われますが、少し調べてみても語源等はよくわかりませんでした」と探索は不首尾のまま断念していまいました。

 ところが、久しぶりにこの言葉を聞いてまた調べなおしてみたら、(Yahoo!知恵袋みたいな)<NATE知識>でまさにピッタンコのQ&Aがあるのが見つかりました。(→コチラ。)
 썅년の意味を問う質問に対し、次のように回答しています。(ヌルボの細く説明つき。)

①元来は상년(サンニョン)である。
 昔、両班以外の庶民は常民(상민.サンミン)とよばれた。
 この常民の女性に対する侮蔑語として、「常+년」=상년という言葉が使われた。

②今も、礼儀をわきまえない男性に対して常民野郎という意味で상놈(サンノム)という言葉がある。(この言葉は、「朝鮮語辞典」にもあります。) その女性版として상년という言葉も存続している。

③상년という言葉が強く発音されると쌍년(ッサンニョン)になる。 さらに強く発音されて쌍년(シャンニョン)になった。

 な~るほど、納得のいく説明です。しかし、こんな封建時代の身分の呼称が今も蔑称として使われるというのはいかがなものでしょうか? 一方、「両班の家柄」というのは現代韓国も自慢のタネになるということなんでしょうか?

 侮蔑語については、当然ではありますが韓国語テキストにはまず載っていませんが、代表格の이새끼개새끼あたりは井関さんとか欠席とか同音の日本語がらみでふれているものがありますね。
 씨발(シバル)は映画やドラマでおなじみ。씨발라마(シバラマ)は「息もできない」で韓国語を知らない観客も覚えてしまうくらい連発されてました。

 映画の他に私ヌルボのスラングの情報源として欠かせないのが漫画。
 先の記事では書かなかった제기랄(チェギラル)は、たしかカンプルの「26年」で仕入れた言葉です。これは他人に対する侮蔑語というより、自分がムカついた時に言う「クソッ」「チクショー!」です。「建築学概論」でもチラッと出てきたと思います。

 こんなスラング以前に、もっと知らなくてはならない単語がたくさんあるでしょ!? ・・・と言われると、「一言も内藤新宿」です。あ、古いな。「一言もナイジェリア」ね。

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4 コメント

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ヨク(辱) (ソウル一市民)
2013-05-20 23:49:54
 ご存じ長璋吉氏の名著「私の朝鮮語小辞典―ソウル遊学記」中の「罵詈雑言篇」に「シャンノム」の項目で出ていますね。「卑しい、下品だ」の意で「サン(常)スロプタ」というのも同じ発想でしょうか。かつての朝鮮ではヤンバン以外は「卑しい」ものだったのでしょうか。
 ユーモア感覚たっぷりの長氏は上記「シャンノム」の項目で、「両班(ヤンバン 貴族)が下郎に対してつかったものか。いまでは、下部同士でゲロウ、ゲロウといいあうためにつかう」と書かれています。
 この「罵詈雑言篇」ではもちろん「シバル」なども取り上げられていますが、お書きの通り、こうしたヨクなどより学ぶべき言葉がもっとありそうですね(苦笑)。
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いい映画でしたね。 (佐藤久)
2013-05-21 01:56:13
かつて長璋吉先生が教えていた、現代語学塾の「映画で会話」クラスでも取り上げた作品でした。
会話経験の乏しい私は、ついて行くだけでタイヘンでしたが。
その折に、生徒仲間から以下のサイトを教えられました。
http://www.youtube.com/watch?v=TerYThiuA1g
ヨクの、オンパレードですが、一見の価値ありかと。

その前の『サニー』も、ヨクに溢れていましたねえ。
それらに比べたら、いま観ている『ワンドゥギ』は、ヨクを大連発する隣家のアジョシを除けば、まことに上品、
でもないかな?
返信する
「私の朝鮮語小辞典」 (ヌルボ)
2013-05-21 09:32:02
ソウル一市民様

5月19日(日)毎日新聞の{今週の本棚」で、平岩俊司関西学院大教授が「朝鮮半島を読み解く」というテーマで<この3冊>を挙げていましたが、その中に「私の朝鮮語小辞典」も入っていたのは私もナットク。
しかしいぶん以前に読んだので、詳細は記憶に残っていません。
ちなみに、<この3冊>のあと2つは
・グレゴリー・ヘンダーソン「朝鮮の政治社会」(サイマル出版会)
・古田博司「朝鮮半島を読み解く 北と南に共通するもの」(ちくま学芸文庫)
ですが、前者は未読なので読んでみようと思っています。
返信する
『建築学概論』その他 (ヌルボ)
2013-05-21 10:48:29
佐藤久様

「映画で会話」クラスで『建築学概論』とは、ウラヤマシイ!

「ポンアル先生のウリヨク紀行」は第8講まであるようですね。おもしろそう。

『ワンドゥギ』については、原作を読み、映画も観て記事にしました。 →
http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/48e24702d380eeb22d07b2324d9a5b38
http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/4bb2c59a79368bb8e691d4d46f5c26e2
しかし、もっと多くの映画館で上映してほしかったですね。

『建築学概論』は新宿武蔵野館でも、私が行った109シネマズMM横浜でも観客の入りがいいようで、『サニー』のように口コミで上映館が増えるよう期待したいです。
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