集英社の全集「 戦争×文学」第1巻「朝鮮戦争」の口絵にあるピカソの「朝鮮の虐殺」について、1つ前の記事の続きです。
前回は、1950年末の信川郡の虐殺事件の加害者について、主に北朝鮮が主張している「①米軍が加害者である」という説を紹介しました。
次にそれと異なる所説を紹介するつもりでいたところ、北朝鮮の現地にある信川博物館の動画があることに気づきました。
それをまず紹介しておきます。
2種類あります。
最初は<(2010/11/21)黄海南道・信川博物館>と題されたもので、在日と思われる人(?)がupした全4編の動画。
博物館の女性ガイドの説明を、通訳の人が日本語に訳しています。
「アメリカ人の蛮行」を描いた絵を説明している部分が入っているパート=「(2010/11/21)黄海南道・信川博物館03」を下に載せます。
この動画の他のパートへのリンクは次の通り。
→(2010/11/21)黄海南道・信川博物館01
→(2010/11/21)黄海南道・信川博物館02
→(2010/11/21)黄海南道・信川博物館04
もう1種類の動画は「련속참관기 미제의 죄행을 단죄하는 력사의 고발장 신천박물관을 찾아서(連続参観記 米帝の罪行を断罪する歴史の告発場 信川博物館を訪ねて)」という7編の動画。
コチラは、「uriminzokkiriさんが2011/07/16にアップロード」とあります。
<uriminzokkiri(わが民族同士)>は、北朝鮮の公式IDです。北朝鮮当局も、YouTubeを政治宣伝のツールとして利用しているのです。
最初のパート1には、金正日総書記も登場しています。
この中で、アレレ!?と思ったのが、1866年7月のジェネラル・シャーマン号の事件からまず展示・説明されていること。
日本でいえば幕末。平壌に侵入したアメリカ船ジェネラル・シャーマン号を焼き討ちし、それが端緒となった辛未洋擾で結局アメリカは撤退を余儀なくされました。
この信川博物館の説明では、やはり(史実に反して)金日成の曾祖父の金膺禹(キム・ウンウ)がジェネラル・シャーマン号の焼き討ちを指揮した、と説明しています。
「なんでそんな昔の事件が信川虐殺事件と関係があるの?」という疑問が当然起こりますが、そんな昔から米帝の侵略があり、われわれは(金日成一家の指導の下に)彼らと戦ってきた、ということでしょう。
この博物館には随所に金日成&金正日のお言葉が掲げられていて、このパートにも次のような掲示が映されています。
「アメリカ帝国主義者たちはシャーマン号の侵入から始まって1世紀間もわが国を侵略してきた朝鮮人民の徹天之怨讐です。金日成」
パート2以下はリンクのみにして、簡単にコメントします。
→パート2
・・・犠牲者の悲惨な写真資料等が映されています。
→パート3
・・・写真資料の他、「米軍の蛮行」を描いた絵も映されています。
ここにも金日成のお言葉が掲示されています。
「米帝の怨讐の奴らが信川の地で犯した鬼畜のような蛮行は、先祖の時から人間狩りに慣れていたアメリカ食人種たちだけができる殺人行為で、ヒトラーファッショ分子たちの行為を上回る人間殺戮の蛮行です。 金日成」
→パート4
・・・犠牲となった子どもたちについての写真等の資料が紹介されています。
(なぜかパート5はありません。)
→パート6
・・・米兵の「野獣のような蛮行」が多くの絵で説明されています。
このパートでは、「全信川タバコ工場女性同盟(?)委員長パク・ヨンギョが残した言葉」が掲げられています。
「朝鮮労働者は永遠にこの地上に光を注ぐであろう。私はいかにおまえらに殺されても、朝鮮労働党の懐の中で永く生き続けるだろう。≪金日成将軍 万歳!≫ ≪朝鮮労働党 万歳!≫」
さらに、金正日の言葉もあります。(字が小さくて解読不能。)
→パート7
・・・「党と首領に対する信念を守った愛国者たち」がテーマ。皆、≪金日成将軍 万歳!≫ ≪朝鮮労働党 万歳!≫を叫びながら死んでいきました、ということです。
→パート8
・・・見学の生徒たちが犠牲者の墓に参拝した後、当時6歳だった男性ガイドの説明を聞いています。
全国各地の遊撃隊の闘争に関する展示物が映されています。
このパートにも金日成・金正日父子のお言葉が掲示されています。
通して見ると、写真資料等からたしかにひどい大量虐殺があったことがわかります。
ただ、その加害者が誰だったかを確実に示す資料はないようです。
米軍による蛮行の絵は、彼らの顔をいかにも悪辣に描いています。
北朝鮮の他の博物館同様に、金日成・正日父子のお言葉が何枚も掲げられています。
さらに、上述のようにシャーマン号事件から彼らの悪行を説明することによって、虐殺の悲劇に対する悲憤を、そのまま米帝に対する敵愾心に直結させています。
冷静に受け止めると、信川の虐殺についての一定程度の知識と、北朝鮮による政治的プロパガンダのありようについての一定程度の知識を得ることができる動画、といえるでしょう。
前回は、1950年末の信川郡の虐殺事件の加害者について、主に北朝鮮が主張している「①米軍が加害者である」という説を紹介しました。
次にそれと異なる所説を紹介するつもりでいたところ、北朝鮮の現地にある信川博物館の動画があることに気づきました。
それをまず紹介しておきます。
2種類あります。
最初は<(2010/11/21)黄海南道・信川博物館>と題されたもので、在日と思われる人(?)がupした全4編の動画。
博物館の女性ガイドの説明を、通訳の人が日本語に訳しています。
「アメリカ人の蛮行」を描いた絵を説明している部分が入っているパート=「(2010/11/21)黄海南道・信川博物館03」を下に載せます。
この動画の他のパートへのリンクは次の通り。
→(2010/11/21)黄海南道・信川博物館01
→(2010/11/21)黄海南道・信川博物館02
→(2010/11/21)黄海南道・信川博物館04
もう1種類の動画は「련속참관기 미제의 죄행을 단죄하는 력사의 고발장 신천박물관을 찾아서(連続参観記 米帝の罪行を断罪する歴史の告発場 信川博物館を訪ねて)」という7編の動画。
コチラは、「uriminzokkiriさんが2011/07/16にアップロード」とあります。
<uriminzokkiri(わが民族同士)>は、北朝鮮の公式IDです。北朝鮮当局も、YouTubeを政治宣伝のツールとして利用しているのです。
最初のパート1には、金正日総書記も登場しています。
この中で、アレレ!?と思ったのが、1866年7月のジェネラル・シャーマン号の事件からまず展示・説明されていること。
日本でいえば幕末。平壌に侵入したアメリカ船ジェネラル・シャーマン号を焼き討ちし、それが端緒となった辛未洋擾で結局アメリカは撤退を余儀なくされました。
この信川博物館の説明では、やはり(史実に反して)金日成の曾祖父の金膺禹(キム・ウンウ)がジェネラル・シャーマン号の焼き討ちを指揮した、と説明しています。
「なんでそんな昔の事件が信川虐殺事件と関係があるの?」という疑問が当然起こりますが、そんな昔から米帝の侵略があり、われわれは(金日成一家の指導の下に)彼らと戦ってきた、ということでしょう。
この博物館には随所に金日成&金正日のお言葉が掲げられていて、このパートにも次のような掲示が映されています。
「アメリカ帝国主義者たちはシャーマン号の侵入から始まって1世紀間もわが国を侵略してきた朝鮮人民の徹天之怨讐です。金日成」
パート2以下はリンクのみにして、簡単にコメントします。
→パート2
・・・犠牲者の悲惨な写真資料等が映されています。
→パート3
・・・写真資料の他、「米軍の蛮行」を描いた絵も映されています。
ここにも金日成のお言葉が掲示されています。
「米帝の怨讐の奴らが信川の地で犯した鬼畜のような蛮行は、先祖の時から人間狩りに慣れていたアメリカ食人種たちだけができる殺人行為で、ヒトラーファッショ分子たちの行為を上回る人間殺戮の蛮行です。 金日成」
→パート4
・・・犠牲となった子どもたちについての写真等の資料が紹介されています。
(なぜかパート5はありません。)
→パート6
・・・米兵の「野獣のような蛮行」が多くの絵で説明されています。
このパートでは、「全信川タバコ工場女性同盟(?)委員長パク・ヨンギョが残した言葉」が掲げられています。
「朝鮮労働者は永遠にこの地上に光を注ぐであろう。私はいかにおまえらに殺されても、朝鮮労働党の懐の中で永く生き続けるだろう。≪金日成将軍 万歳!≫ ≪朝鮮労働党 万歳!≫」
さらに、金正日の言葉もあります。(字が小さくて解読不能。)
→パート7
・・・「党と首領に対する信念を守った愛国者たち」がテーマ。皆、≪金日成将軍 万歳!≫ ≪朝鮮労働党 万歳!≫を叫びながら死んでいきました、ということです。
→パート8
・・・見学の生徒たちが犠牲者の墓に参拝した後、当時6歳だった男性ガイドの説明を聞いています。
全国各地の遊撃隊の闘争に関する展示物が映されています。
このパートにも金日成・金正日父子のお言葉が掲示されています。
通して見ると、写真資料等からたしかにひどい大量虐殺があったことがわかります。
ただ、その加害者が誰だったかを確実に示す資料はないようです。
米軍による蛮行の絵は、彼らの顔をいかにも悪辣に描いています。
北朝鮮の他の博物館同様に、金日成・正日父子のお言葉が何枚も掲げられています。
さらに、上述のようにシャーマン号事件から彼らの悪行を説明することによって、虐殺の悲劇に対する悲憤を、そのまま米帝に対する敵愾心に直結させています。
冷静に受け止めると、信川の虐殺についての一定程度の知識と、北朝鮮による政治的プロパガンダのありようについての一定程度の知識を得ることができる動画、といえるでしょう。
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