ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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[韓国語] アダムと「ハワ」だって!?

2011-07-30 23:21:49 | 韓国語あれこれ
 「東アジア歴史認識論争のメタヒストリー」(青弓社)はとても興味深い本ですが、その中の加納実紀代<「日本人妻」という問題>に次のような記述がありました。

 現在在韓日本人のうち、二十代後半から三十代では女性が男性の二、三倍。その多くが統一教会の合同結婚式による「日本人妻」らしい。統一教会の教義では、韓国はアダム国、朝鮮半島を蹂躙した日本は人類を堕落させたエバ国とされ、「日本人妻」には従順と忍耐が強いられているという。
※この情報の出所は中西尋子「韓国一農村部における統一教会と在韓日本人妻」(「消費者法ニュース」第61号.2004)

 韓国の農村部では4分の1が国際結婚で、それに伴う問題もいろいろ起こっているようですが、その件は今回はスルー。

 この記事で私ヌルボが思い出したのは、2007年12月に韓国で文鮮明教祖をナマで見た時のことです。(あ、桜田淳子も! ひろ~い会場の後ろの方だったので、小さくしか見えなかったが・・・。) といっても、私ヌルボが信者だということではないですよ。念のため。ただ物見高いだけ。
 さて、その文鮮明教祖の話の中で鮮明に(!)憶えているのが「アダムとエバ(orイブ)」ではなく、アダムとハワと言っていたこと。

 「ハワ(하와)」を初めて聞いたのがその時でしたね。「朝鮮語辞典」(小学館)には「[聖]イブ(アダムの妻)」と出ています。
 韓国サイトを検索してみると、イブ(이브)も用いられているようです。その中に、「イブは英語による表記ですが、ハワの由来は?」という質問と、その回答を載せているサイトがありました。→コチラ(→日本語自動翻訳)
 それによると、次のように表記されてきたそうです。
①ヘブライ語の聖書・・・ "ハワ"
②古代ギリシャ語の聖書・・・ "ヘウア"
③ラテン語の聖書・・・"ヘバ"
④英語の聖書・・・"イブ" 


※なお、キリスト教同様ユダヤ教の流れをくむイスラム教でも、あるサイトの記事によると「アダムとハワ」というそうです。

 最近、たまたま韓国で刊行されているさまざまな聖書(韓国ではふつう聖経(성경.ソンギョン))の全字句を、それぞれすべて(!)載せているという、すごいサイトを見つけました。→コチラ
 そこにあげられている17の韓国語聖書で創世記の第3章を見てみると(われながらヒマなこってす・・・)、イブ(이브)という表記は3つだけで、あとはすべてハワ。やはりこちらが大勢のようです。
※韓国googleの検索結果は「아담과 이브(アダムとイブ)」が127万件、「아담과 하와(アダムとハワ)」が93万件と、イブのヒット数がやや多い。

 韓国サイトをいろいろ探してみると、<聖経漫画 創世記からカインまで>というネット漫画がありました。そこでもやはり「ハワ」になってます。
      
【アダムはその女の名をつけてあげました。「おまえの名前はハワだ。人類の母という意味だ。」 アダムとハワは素っ裸で暮らしていましたが、悪いことを知らなかったために少しも恥ずかしくありませんでした。子どもが素っ裸でいても少しも恥ずかしさを感じない状態と同じでした。】
 では、韓国ではなぜハワが一般的なのか? 過去、聖書がどのような経緯で訳されてきたのか、ということを探ってみないとわからないでしょう。また現在、もしかすると教団等によってハワとイブのどちらを用いるかが違うのかもしれません。

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2 コメント

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Unknown (nishinayuu)
2011-08-19 22:15:14
神の名にヤハウェ系とエホバ系があることは知っていましたが、ハワというのは初めて知りました。
人名だけでなく、文章の訳も本によってさまざまなようですね。最近、『명동 블루스』という小説の中に出てくるヨハネ伝からの引用句の解釈に手こずって、いろいろな聖書の訳を調べてみてわかりました。もしかしたら古代ヘブライ語の文体自体が、いろいろな解釈を許すような文体なのかもしれない、などと勝手に想像しています。
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聖書の訳 (ヌルボ)
2011-08-20 01:28:03
高校時代、私が初めて購入した聖書は文語訳聖書でした。意味はとりにくいですが、格調が高く、声に出して読みたくなる感じて・・・。(そういえば、筒井康隆の「バブリング創世記」も文語訳聖書のパロディでした。) 
※文語訳新約聖書はコチラ(旧約も別にあります) →
http://ja.wikisource.org/wiki/%E6%96%87%E8%AA%9E%E8%A8%B3%E6%96%B0%E7%B4%84%E8%81%96%E6%9B%B8

金南一「明洞ブルース」は知りませんでした。今は売られていない本のようですが・・・。
nishinayuuさんのブログ記事によると80年代民主化闘争の後日談小説のようですね。私が最近読んだ孔枝泳「진지한 남자」もそうでした。孔枝泳同様、金南一にとっても1980年代が今も1つの原点になっているということなんでしょうか。
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