切目王子でホルトの木をデザインしたスタンプを押してから、
さあ駅の方に向かいましょう。
お、山の中にこんな格納庫がありました。
馬でも入っているのでしょうか?へへ
緑の濃い
しっとりとした街道を歩き、
切目の町に降りていきました。
「切目(きりめ)」とは、
潮の流れが内海と外洋との切れ目に
あるところからつけられた名であるともいわれています。
そうそう、このあたりに最後の見所である
「亀の地蔵さん」
があるはずと下っていくと、
あれ~?ありません。
おかしいなと思って、
今来た方を振り返ってみますと、
目の前に看板がありました。
南下する人には見えない案内ですねえ。
注意しましょう。
案内に沿って入っていきますと、
ありました。
これが亀の地蔵さんです。
ユニークな名前ですが
いわれも面白いのです。
ある日、この街の漁師が
死にかかっていた亀を助けたところ、
その亀が教えてくれた方法で
自分の病が治ったのだそうです。
では亀はどのようにして
治療法を教えたのでしょうか。
「首をすくめなさい」
とか
「甲羅干しをしなさい」
とかでしょうか。
そこのところがとても気になるのですが、
霊験あらたかな地蔵だそうで信じましょう。
信じる者は救われるはずです。
さあ、これで今回の見所は
漏らさずチェックできました。
切目川に
架かる切目橋を渡り、
駅に到着です。
電車の時刻表を見ると、
これが一時間に1本しかありません。
車を停めてある御坊に向かう
次の電車までまだ40分あります。
さあ、どうしようと思って駅前を見渡しますと・・・
おや?変なものがぶら下がっています。
見に行きましょう。
これはなんだと思いつつ写真を撮っていると
人のよさそうな店の女性が出てきました。
「これはなんですか?」
と聞くと
「うつぼを干してるんやよ」だって。
よかったら中に入ってお茶でも飲んでいきと
勧められましたので甘えることにしました。
そこは、田舎によくある
まさに「よろずや」。
海産物、野菜、お菓子、お米、日用品もあります。
中に入って熊野古道を歩いていることを説明すると、
いろんなことを話してくれました。
「で、御主人は何の仕事してるん?」
と聞かれたので、
フリーライター、クリエイターと
横文字で答えてもわかってくれそうにないので
「いやあ自営業やねん」と言っておきました。
そしたら
「いやあ、その笑顔で何の商売してるんか知らんけど、
さぞかし客がようさん来るんやろなあ」と言われました。
「そうやねん。買ってくれた人には
いつもより多めに笑うねん」
と応えようと思いましたが、
それは言えませんでしたな。
「いいえ、店じゃなくて書く仕事してるんや」
「え~、隠し事はあかんなあ」
と変な会話が続きます。
「要は新聞書いたり、絵を描いたりしてるねん」
でようやくわかってくれたようです。
お茶とまんじゅうをいただきながら
話の合間に、手持ちの地図を見てみると、
切目駅前のお店のことが乗っていて、
そこに店の女主人のことが
写真入りで書かれてありました。
その顔と、今目の前にいる顔がよく似ています。
名前も書かれてあったので
「もしや稲田OOさん?」
とその名前を聞くと
「そうです」とのこと。
地図の片隅にはその人の
「熊野古道を語る」というミニコラムも
載っているではありませんか。
たまたま入ったお店でいい人に出会いました。
次の歩行のために
「このへんにコインパーキングはある?」
て聞くと、「駅前にとめといたらええねん。
なんやったらうちの駐車場にとめといてもええよ」
とまで言ってくれるではありませんか。
ありがたいお話です。
それからその女性の身の上話まで聞かされ、
おかげで電車が来るまで
退屈せずに過ごすことができました。
稲田商店
のおかあさんありがとうございました。
強風に耐え、寒さに耐えて歩いてきたこの区間。
御坊に帰ってきたときには、
自転車置き場の自転車が
ことごとく倒れているほどでした。
次回は切目から南部(みなべ)に向かうことになりますが、
どうせなら梅の花の頃がいいなあと思っています。
虹のかかる帰りの高速道路上の
写真を紹介しながら
このシリーズ終り