今回は、「釉裏紅 草花文 透かし彫筆筒」の紹介です。
この手の筆筒は、一時、よく、骨董市などに登場しましたが、この筆筒は、なかなかありそうで無いものです。
一時、骨董市などによく登場してきた筆筒は、ほとんどが江戸後期に作られたものですが、これは、江戸前期に作られたものですし、何と言っても、器の中央に、辰砂と染付を使って草花文が描かれていることです。伊万里で、辰砂を使ったものは非常に珍しいからです。
立面
正面(仮定)
正面から右に90度回転させた面
正面から左に90度回転させた面
正面の裏側面
側面
上から見たところ
底面
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期(寛文期)
サ イ ズ : 高さ;10.1cm 幅;6.2cm
ところで、これに類似した筆筒が栗田美術館にも収蔵されています。栗田美術館収蔵のものは、我が家の筆筒よりは一回り大きいですが、器の中央に辰砂と染付を使って描かれた草花文の花が1輪になっています。
次に、その栗田美術館収蔵の筆筒を紹介いたします。
それは、「伊万里」(栗田英男著 栗田美術館発行)(発行年が不明ですが、栗田美術館足利本館が開館した昭和50年頃に発行されたものと思われます)の図38に登載されています。
図38 伊万里釉裏紅草花図格子彫筆筒 h-11cm d-7cm 寛文(1661~72年)
なお、この「釉裏紅 草花文 透かし彫筆筒」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中でも既に紹介しているところですが、次に、その紹介文を、参考までに再度掲載いたしますので、ご覧いただければ幸いです。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー25 古伊万里様式釉裏紅草花図透かし彫筆筒(平成14年2月1日登載)
一見、「ああ、よく骨董市で見かけるよ! 3,000円か5,000円で売ってるよ!」などと言われそうである。
確かに、器形としては、よく骨董市で見かけるもので、珍しくも何ともない。器形だけに満足するなら、このような用途のものは、100円ショップででも購入が可能かもしれない。しかし、そんなところにとどまらないのが骨董であり、美の追求であり、ロマンの遍歴である。
この筆筒は、その辺の骨董市で3,000円か5,000円で売られているものとは、まず、時代が違うのだ。3,000円か5,000円で売られているものよりは200年程は古いであろう。
また、この筆筒の見所は、なんといっても、透かし彫りの中央に染付と釉裏紅で草花を描いて染付で囲み、それを四方に配しているところである。なんとも洒落た構成ではないか。しかも、釉裏紅で花を描くなど、古伊万里好きをうならせ、垂涎させる。伊万里には釉裏紅は少なく、珍しいのだ。
その辺をじっくりと見ていただき、3,000円とか5,000円の物との違いを、篤と味わってもらいたいのである。一見ありそうでいてなかなかないものであり、いわば、玄人好みといえるものであろう。
江戸時代前期 高さ:10.1cm
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しかも、粋人をうならせる逸品です。
しかも、しかも、粟田美術館の品よりも、明らかに古格があります。
美術館の本の写真を差し替えてもらってください(^.^)
これは、珍しいんですよね。
辰砂の色を綺麗に出すのは難しいようですね。
そのため、伊万里にも滅多に辰砂はないんですよね。
そのようなことを知ってないと、この良さが分からないですよね(^_^) 玄人好みになりますよね(^-^*)
美術館のものよりも古格があるかどうかは分かりませんが、辰砂の花の数では上回っていますね(笑)。