今のところ、紹介すべき伊万里の手持ち品はないのですが、今では止めてしまった拙ホームページ「古伊万里への誘い」では既に紹介しているものの、このブログでは紹介していない伊万里がまだ5点ほど残っています。
それは、どうも、それらが本歌の古伊万里ではなく、最近作られた「古伊万里写し」なのかな~との疑念が湧き、このブログでの紹介をためらっていて、紹介に至っていないからです。
でも、そうした疑念のある物も、そのまま、疑念のある物として紹介することにも、少しは意義があるのかなと考え直し、紹介することにいたしました。
先ずは、その内の2点を紹介いたします。
伊万里 染付 鶉文 中皿(A)
表面
裏面
裏面の拡大画像
裏面文様は、輪郭線を描き、その中をダミ染めしています。
伊万里 染付 鶉文 中皿(B)
表面
裏面
裏面の拡大画像
裏面文様は、輪郭線を描かず、付立て風に描いています。
中皿(A)と中皿(B)とでは、中皿(A)の口径が20.7cmであるのに対し、中皿(B)の口径が22.7cmですから、中皿(B)のほうが中皿(A)よりも少し大きいですけれど、表面の文様はほとんど同じです。
ただ、裏面の文様が、中皿(A)では、染付で輪郭線を描き、その輪郭線の中をダミ染めしているのに対し、中皿(B)では、輪郭線は描かないで、直接、付立て風に文様を描いています。裏面の文様からみれば、中皿(A)のほうが中皿(B)よりも丁寧な作りであると言えます。
しかし、私には、どうも、この両者は、最近になって、古伊万里を写して作ったものではないのだろかとの疑念が消えないのです(~_~;) つまり、偽物ではないかと思えてきてしまうわけです(~_~;)
古伊万里のコレクションを始めて半世紀近くになりますが、真贋の判断に迷うことがあります。典型的な古伊万里の場合の真贋の判断はさほど難しいものではありませんが、中には、判断に迷う場合があるわけです。
この2点もそれに該当いたします。ということで、この中皿(A)と中皿(B)の生産地及び製作年代は「不明」ということにいたします。
生 産 地: 不明
製作年代: 不明
サ イ ズ : 中皿(A)・・・口径:20.7cm 底径:13.2cm
中皿(B)・・・口径:22.7cm 底径:13.2cm
なお、この中皿(A)と中皿(B)につきましては、先述しましたように、今では止めてしまっている拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中では紹介したところです。
次に、その時の紹介文を参考までに載せてみたいと思いますが、その紹介文の中では、この中皿(A)と中皿(B)につきましては、江戸時代後期に作られた古伊万里として扱っていますことを御了知ください。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー203 伊万里染付鶉文中皿 (平成27年4月1日登載)
![]() |
中皿(A)の表面 |
![]() |
中皿(A)の裏面 |
中皿(B)の表面
中皿(B)の裏面
伊万里ではおなじみの鶉文の中皿である。
(A)と(B)は、ほとんど同じにみえるが、(A)の口径が20.7cmであるのに対し、(B)の口径は22.7cmである。(B)は(A)よりもひと回り大きい。
また、表の文様も、(A)と(B)は、ほとんど同じにみえるが、よ~く見ると、(A)と(B)との間には、細部では、微妙に異なっているところが見られる。
裏文様は、(A)が、まず輪郭線を描き、その中をダミ染めしていて丁寧であるのに対し、(B)は、付け立て風で一筆描きである。その点に着目すれば、(A)の方が(B)よりも少し早く作られたのであろうか。
製作年代 | 口径 | 高台径 | |
中皿(A) | 江戸時代後期 | 20.7cm | 13.2cm |
中皿(B) | 江戸時代後期 | 22.7cm | 13.2cm |
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*古伊万里バカ日誌132 古伊万里との対話(鶉文の中皿)(平成27年4月1日登載)(平成27年3月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
中皿(A) (伊万里染付鶉文中皿)
中皿(B) ( 〃 )
中皿(A)の表面 中皿(A)の裏面
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/10/4faa8104900593ea9347b27fbc2f0777.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/4e/7fd140fd39521c37c8f7c1a655b102fe.jpg)
中皿(B)の表面 中皿(B)の裏面
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、今回も、主人の所にやってきた順番に従って対話をしようと思ったようで、「押入れ帳」をペラペラとめくっていたが、「オヤッ?」と思うものを発見したようで、中皿2枚を押入れから引っ張り出してきて対話を始めた。
主人: 前回は、大きさも文様もほとんど等しい総蛸唐草文の鶴首徳利3本と対話をしたところだが、今回は、文様が非常に似ている中皿2枚を発見したので出てもらった。
中皿(A)・(B): こんにちは。お久しぶりです。春爛漫となってきましたね。
主人: そうだね。桜も咲き出し、春爛漫というところだね。この陽気に合わせて、桜文の古伊万里に登場してもらおうかなとも思ったんだが、前回同様、同じような古伊万里に、複数、同時に登場してもらうのも一興と思い、お前達に登場してもらった。
中皿(A)・(B): それは、それは、ご配慮ありがとうございます。(「本当は、気の利いた桜文の古伊万里を所持していないからだろう」と独白)
主人: もっとも、前回は、3本の鶴首徳利は、大きさも文様もほとんど同じだったんだけれど、お前達は、文様はほとんど同じだけれど、大きさがちょっと違うけれどね。
中皿(A)の口径が20.7cmなのに対して、中皿(B)の口径は22.7cmあるので、中皿(B)の方が中皿(A)よりもひと回り大きいものね。
中皿(A)・(B): ご主人は、私達を同時に買ってきたんですか?
主人: いや、別々に買ってきたんだよ。まず、中皿(A)を買ったんだ。 その後、暫くしてから、中皿(B)が登場してきた。 「あれっ、中皿(A)と同じだ! 中皿(A)と合わせればペアになるな~」と思って中皿Bを買ったわけだが、家に帰ってから中皿(A)と比べてみたら、大きさが違うことがわかったんだ。
こんなに文様が類似していると、身近な所で対比してよ~く見ているわけではないので、大きさも同じではないかと錯覚するよね~。
中皿(A)・(B): ホント。私達は、よく似ていますよね。離れて、別々に見たら、誰でも、大きさも含めて、ほぼ同じものと思いますね。
主人: そうだろう。ちょっと間違うよね(~_~;)
でも、中皿(A)と中皿(B)を身近に並べてよ~く見ると、両者の間には微妙な文様の差異があることがわかるんだ。もちろん、両者とも手描きだから、両者には、手描きによる多少のブレは生ずるだろうけれど、手描きによる多少のブレ以上の差異があることがわかるね。特に草花の文様については、文様そのものに多少の差異があることがわかる。
中皿(A)・(B): 私達は同じ頃に作られたんでしょうか?
主人: 裏文様を比較してみると、中皿(A)の方は、つなぎ唐草文を描くのに、まず輪郭線を描き、その中をダミ染めして描いていて丁寧だし、手間もかかっているね。それに対して、中皿(B)の方のつなぎ唐草文は付け立て風で、一筆描きで描いてあり、いかにも手抜きという感じだね。このような描き方の場合、輪郭線を描いてその中をダミ染めしている方が古いと言われている。その見解に従えば、中皿(B)よりは中皿(A)の方が古いということになるね。つまり、中皿(A)と中皿(B)は、それぞれ別の時代に作られたということになるわけだ。
中皿(A)・(B): でも、中皿(A)も中皿(B)も、表の文様は同じ陶画工が描いたのではないかと思うほど良く似ていますよ。裏文様の違いだけから判断して、中皿(A)と中皿(B)とは作られた時代が違うと判断するのも、なんか、理解しがたいですね・・・・・。
主人: まぁね。そう言われると反論に窮するがね。
屁理屈を言えば、当時も、陶画は分業で行っていたようだから、表の文様を描く陶画工と裏の文様を描く陶画工は異なっていたとも考えられるので、中皿(A)と中皿(B)とは、裏文様が違っていても、同じ時代に作られたと言えないこともないね。なかなかに、陶磁器の時代判定というものは難しいね・・・・・。
中皿(A)・(B): 古伊万里に「鶉文」はよく登場するんですか?
主人: 「鶉文」は、よほど皆さんに愛されたのか、よく登場してくるね。特に、柿右衛門様式のものの中に登場してくるのが有名だね。
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しかも、不思議な異同です。
これだけ表が似ているのに、裏の唐草の描き方が相当違う・・・・この謎を解く力が私にはありません。当然、真贋も。
実は、当然のことながら、これまで新物の疑いのある品を相当数つかんできました。人一倍多く(このことだけは自信あり(^^;)の失敗経験から得た私なりの結論は、新物の目跡はみずみずしい ・・・これまた、当然すぎるほど当然の結論でした(^^;
遅生さまの書かれている 裏の模様がちがいますね。
これだって言われて しばらくじっと見てから分かる
くらいな素人ですから。
こういうお皿を見つけた場合 A・BからKさまに「連れて帰ってくださいよ」
みたいなテレパシーを感じて購入されるのでしょうか?
これなどは、以前は、結構高かったわけですが、安く出ていました。
それで、古伊万里全般が安くなってきたのだから、そんなものなのかな~と思って買ってはみたものの、なんか、引っかかるものがあるんですよね(~_~;)
腑に落ちないというやつですね。
それで、紹介するのをためらうようになったわけですが、多少は世の中の参考にはなるのかもしれないと思い、敢えて紹介することにしました。
ほとんど同じ文様ですものね(^_^)
このような裏文様の違いは、古伊万里を少し勉強した人は気付くんです。
本には、Aに描かれたような裏文様は、Bに描かれたような裏文様よりも古いと書かれていますので、気付くわけですね。
このお皿の場合は、「連れ帰ってください」という訴えはなかったです(~_~;)
私は、自分の好みの物だけではなく、古伊万里全般をオールラウンドに収集していますので、私の予想以上に安かったものですから、コレクションの中に入れようかと思い、ついつい、手を出したという感じでした。
安いから買って帰ろうかというような動機だったように思います(~_~;)
そのような動機で集めたものには、どうも、気持ちが入りませんね(~_~;)
だいたい、伊万里に関しては業者を信じちゃってるので疑うことなく買ってしまいます。(-_-)
というのも、お金も無くなりましたので、「君主危うしに近寄らず」で、ちょっと疑問に感ずるようなものは、「無理して買うこともないな」と判断し、冒険しなくなったからです(笑)。
もっとも、それでは、骨董の楽しみの一部を失っているんですよね(~_~;)
骨董には、買ってみてから「調べる」という楽しみがあるわけですが、それを放棄しているわけですものね(><)
これも、買った当時は、良く見もしないで、「あれっ、なかなか良い古伊万里だな!」と瞬間的に感じましたし、値段も思っていた以上に安かったものですから、迷わず買ってきたわけですが、後に、だんだんと怪しく感じるようになってきたわけです(~_~;)
私の場合は、伊万里に関しては、長いことやっているわけですから、若い業者よりは明るいはず、との自負がありますので、業者を信じず、自分の目を信じてやっています。でも、節穴はいつまでたっても節穴にすぎませんので、間違いの連続です(><)
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d1056523959
参考までに。
そっくりですね!
ヤフオクに出ている皿は、高台畳付部分が汚れていますね。
私が、この中皿Aに疑問を感じましたのは、あまりにも綺麗過ぎるからでした。
或いは、このヤフオク出品の皿のように、高台畳付部分が汚れていたのなら、疑問が生じなかったかもしれませんが、、、。
もっとも、私は、買ってくると直ぐに洗ったりして綺麗にしますので、結局は、綺麗な状態にはなったでしょうけれども、、、。
やはり、同じような物が、沢山、安く出回っているというところには問題がありますね(~_~;)
それに、ついでに、この出品者の「その他のオークション」というところも覗いてみましたら、そこには「古伊万里染付 竹に鳥文 中皿 七寸皿」というものがありました。
これも、疑問の古伊万里として、近日中に紹介を予定していたものです!
立て続けに同じものがヤフオクに登場するようでは、ますます疑問が深まりますね(~_~;)
皆さん、どのように評価するのか、様子を伺うことにいたします。
ヤフオクは怪しい古伊万里を勉強するのに役立つ場合もあって
遅生さんのように微妙な品を見つけたら、その出品者の商品の一覧を見ることだったりします。
とはいえ、中には陶磁器が専門でない業者が安く出品しているケースもあって
ま~、悩みは尽きません。
中には、掘り出しもあるのでしょうね(^_^)
どうも、この皿は、「玉」ではなく「石」のような気がします(~_~;)
私の場合ですが、古伊万里も、以前のように高価でしたら、もっと慎重に吟味して買ったと思うのですが、安くなってからは、よく吟味もしないで安易に買っているような気がします。
そんな心の緩みにつけ込まれた感じです(><)
でも、骨董には、買う楽しみの他に、買ってからの調べる楽しみがありますよね(^-^*)
長年やっていても、やはり、失敗はありますね(~_~;)
それでも、そんな失敗を繰り返しながらも、少しづつは進歩しているのかもしれません(^_^)