Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

色絵 水草に金魚文 盃洗

2023年06月22日 15時42分40秒 | 古伊万里

 今回は、「色絵 水草に金魚文 盃洗」の紹介です。

 この盃洗は、一昨日の古美術品交換会で競り落としてきたものです。

 盃洗は、かつては、大変に人気があり、結構なお値段で売られていたのですが、最近では、人気が無くなり、市場にも殆ど出回らなくなりました。

 そんな中、突然、ポツリと登場してきたものですから、懐かしさも手伝い、ついつい、競り落とす気になったわけです。

 最近では、人気がないこともあり、一昨日の古美術品交換会での発句も安かったのですが、やはり、皆さん、それほどに注目しなかったものですから、激しい競り合いとはならず、比較的に安く競り落とすことができました(^-^*)

 もっとも、この盃洗、非常に状態の悪い姿で登場してきたものですから、皆さん、「こんなこ汚い物を買ってもしょうがないな。売り物にならないよ。商売になんないよ」ということで、食指を動かさなかったのだろうと思います。

 ほんと、疵はなかったのですが、汚れが酷かったのです(><) 特に基台部や底面の汚れが酷かったのです(><) 長年の使用に伴う汚れの域を超えていたのです。何と言いますかね、その汚れは生まれた時から備わったような汚れのように見えたのです。とてもじゃないが、洗ったくらいでは、その汚れは落ちないだろうという状態でした。

 しかし、私としては、長年の経験から、「この汚れは、多分、漂白剤に浸しておけば落ちるだろう」と予測しました。だいたいにおいて、盃洗は食器なわけですし、しかも清潔を必要とする食器なわけですから、「そもそも、もともとこんな汚い状態のものだったとしたら、食器として流通するはずがないだろう」とも判断したわけです。

 帰宅して、さっそく漂白剤に浸しておきましたら、予測通り、見事に綺麗に蘇りました(^_^) 見込み面には、盃洗に相応しく、金魚藻の中を元気に泳ぎ回っている金魚まで現われました(^-^*)

 「マイ・フェア・レデイ」という映画では、言語学者のヒギンズ教授が、ひょんなことから、下町生れの粗野で下品な言葉遣いのオードリー・ヘプバーン扮する花売り娘をレディに仕立て上げていくわけですが、ちょうど、私も、そのヒギンズ教授にでもなったかのような心境でした(笑)。このような心境を味わえるのも骨董の醍醐味でしょうか(^-^*)

 どうぞ、我が家の、この薄汚く汚れた下町生れの盃洗が、レディへと変身していった姿をみてやってください(^-^*)

 なお、我が家には、もう一つ、盃洗があります。それは、昭和55年に(今から43年前に)買ってきたもので、このブログでも、既に、2020年9月24日に「伊万里 染錦 花文 盃洗」として紹介しています。

 そこでは、「盃洗」についての説明なども記してありますので、合わせてお読みいただければ嬉しいです(^_^)

 

 

色絵 水草に金魚文 盃洗

 

正面(仮定)

 

 

正面から右に90度回転させた面

 

 

正面から左に90度回転させた面

 

 

正面の裏側面

 

 

内側面

 

 

内側面の見込み部分の拡大

金魚藻の中を金魚が元気に泳いでいます。

 

 

 

内側面の上方部分

 

 

内側面の右がわ部分

 

 

内側面の下方部分

 

 

内側面の左がわ部分

 

 

基台部

 

 

斜め底部から見た面(その1)

 

 

斜め底部から見た面(その2)

 

 

底面

 

 

底面の拡大

 

 

生 産 地 : 肥前・有田

製作年代: 江戸時代後期

サ イ ズ : 口径15.6cm  高さ11.5cm  底径10.5cm


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
つや姫日記さんへ (Dr.K)
2023-06-24 10:42:37
ははは、「マイフェアレディが出てくるとは驚きました」か(笑)。
なにせ、ここは、古めかしい、博物館のような空間でもありますから、、、(爆)。

骨董の世界では、よく、「育てる」ということが言われます。
例えば、抹茶茶碗など、何度も使うことによって落ち着きが生れ、侘びさびが出てきます。
また、酒盃など、何度も酒を満たされることによって落ち着いた枯淡の味わいが生まれてきます。

伊万里などの鑑賞陶磁器の場合は、汚れを落とし、綺麗にすることでしょうか、、、。
もっとも、この場合は、「育てる」ではないかもしれませんね(^-^*)

この盃洗では、土に汚れた田舎娘が、貴婦人に変身してくれました(^-^*)
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こんにちは (つや姫日記)
2023-06-24 09:46:28
いやぁ マイフェアレディが出てくるとは
驚きました。\(^O^)/
骨董の分野でも「育てる」ということがあるのですね。

盃洗がとても美しいです。
べっぴんさんに成りましたね。
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酒田の人さんへ (Dr.K)
2023-06-24 09:23:05
以前は、色絵の盃洗は高かったですよね(~_~;)
それが、何時の間にか、市場から消えてしまいましたね。
古伊万里の人気が無くなったことと、枯渇してしまったことが原因でしょうか、、、?

今回、ひょっこりと、あまりにも汚い状態で登場してきましたので、運良くゲットできました(^_^)
見込み面も汚れていて、染付で何が描いてあるのか分かりませんでした。はっきりとはしませんでしたが、三階松が描いてあるのかな~と思ったのです。ところが、漂白してみましたら、遊佐町の牛渡川の梅花藻ほどに綺麗ではありませんが、藻が描かれており、その中に金魚が泳いでいる様子が現われました(^_^)
明治以降に作られた盃洗では、藻の中を金魚が泳いでいる様子が描かれているものをよく見かけますが、この盃洗のような図がオリジナルなのかもしれませんね、、、?

「マイ・フェア・レデイ」は、もとはミュージカルで、それが映画化されたのですか。
さすが、詳しいですね!
ありがとうございました(^-^*)
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Dr.kさんへ (酒田の人)
2023-06-23 23:05:39
ワタシの場合、杯洗はいつか買おうと思い続けて20数年経ちました
早い話がいまだに入手していません・・・。
やはり昔の高かった時代のイメージが強いのは現実で、安くなっても手が伸びません
それにしても、花売り娘の中身が貴婦人なのを見抜いたのはさすがです!
関係ない話ですが、「マイ・フェア・レディ」のイライザ役は舞台ではジュリー・アンドリュースが演じていました。
1964年の映画化の段階でこの役はオードリー・ヘプバーンになったのですが
ジュリー・アンドリュースは同じ年に「メリー・ポピンズ」でアカデミー賞を受賞することで
見事雪辱を果たしています。
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padaさんへ (Dr.K)
2023-06-23 10:36:25
色絵の盃洗は、昔は、憧れの品物でしたよね。
殆どは染付でしたものね。その分、値段も結構なお値段でしたよね。
それで、私も、以前に1点買っただけで、その後は手が出せずに終わってしまったわけです(><)

今回、たまたま、汚れが酷い状態で出てきたため、昔に比べたら、かなり安く手に入りました(^_^)
今の若いプロは、漂白したりする面倒な作業を伴うものは扱わないのですね。手間がかかるだけで儲からないからでしょうか。今は、手間賃が高いですものね。

盃洗も、もう、盃洗としての役割を終えましたが、コンポートとして活用されそうですね。
新たな視点から、見立てのコンポートとして復活するかもしれませんね(^-^*)
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Unknown (pada)
2023-06-23 09:31:49
色絵筆洗~昔は憧れの品物でした。
染付がほとんどでしたね。
確か筆洗をまとめた単行本も出てたような気がしますが?
成程~コンポート、良い考えです。
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くりまんじゅうさんへ (Dr.K)
2023-06-22 21:30:34
はい、偽教授のお陰ではありますが、「田舎娘で粗野なイライザが、上品な淑女に変身」しました(笑)。
予測どおり、上品な姿を取り戻してくれたときは嬉しかったです(^-^*)

こちらでも、コロナ以前から、普通は、そちらの酒の飲み方と同じでした。返杯は、洗わずに返しますね。そうでないと、「何だ、俺が飲んだ所が汚いので洗うのか!」となり、お互いに気まずくなるからです。
でも、最近は、衛生上の問題に敏感になってきてか、自分の盃を持ち歩き、お互いに、それぞれの盃に注ぎ合うことが多くなりましたね。

こちらでも、盃洗を使う場面というのはほとんどなくなりました。
料亭などに行っても、盃洗を使う店は、あまりないのではないでしょうか、、?
ましてや、コロナ後では、絶滅するかもしれませんね(~_~;)

でも、盃洗も、これからは、コンポートとして活用されるかもしれません(^-^*)
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遅生さんへ (Dr.K)
2023-06-22 21:06:01
いや~~~、本物の教授から教授と言われて、嬉しい限りです(^_^)
長年培ったきた漂白技の賜です(^-^*)
予測どおり、見違えるようなレディに変身してくれた時は嬉しかったです。
「おお~~!」、という感じでした(^_^)

盃洗は、以前の盃洗もそうでしたが、このような形と、このような大きさのものが多いようですね。
ただ、染付が多く、色絵ものは少ないようです。
確かに、盃洗は、伊万里のニッチかもしれません。
これからも、狙っていこうと思います(^-^*)
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ヒギンズ教授さまへ (くりまんじゅう)
2023-06-22 20:12:15
ヒギンズ教授のおかげで 田舎娘で粗野なイライザが 上品な淑女に変身していきました。

まさにこの汚れた器が どこへ出しても恥ずかしくない 色絵 水草に金魚文 盃洗
に生まれ変わったことと同じです。持っている素質を見抜き手を掛けた結果 元の輝きを取り戻しましたね。

この盃洗というものをこちらの宴会では見かけません。最近まで私も知りませんでした。
酒好きの県民ですから たびたび宴会はしますが 自分の盃を相手に渡し(洗わずに)
相手はもらった盃で酒を呑み その盃を持ち主に 酒を注ぎつつ返すという呑み方で
衛生上も良くないですね。
コロナからこっち こちらでもこの呑み方が見直されているようです。
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Dr.Kさんへ (遅生)
2023-06-22 20:07:05
さすがDr、いやヒギンズ教授、見る目が違いますね。薄(濃?)汚れた田舎娘を、見違えるようなレディに変身させました。
これも、長年の経験のたまもの。伊万里の酸いも甘いも味わい尽くしたDr.ヒギンズ教授ならではの見事な漂白技です。
以前の伊万里杯洗と少し大きさは違いますが、姿かたちはよく似ていますね。杯洗は伊万里に残された数少ないニッチかもしれませんね。
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