今回は、「色絵 扇面花文 小鉢」の紹介です。
見込面
写真からでは分かりずらいですが、やや楕円形に歪んでいます。
<口径:13.5~14.4cm>
側面
側面から見ますと、捻れによる歪みも見られます。
また、口縁部には釉切れも見られます。
<高さ:4.2~4.8cm>
底面
高台畳付き部に2ヶ所の小さなアタリがあります(3時の方角)。
<高台径:7.0cm>
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期
サ イ ズ : 口径;13.5~14.4cm 高さ;4.2~4.8cm 底径;7.0cm
なお、この「色絵 扇面花文 小鉢」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で、既に、紹介しているところです。
つきましては、その際の紹介文を、次に、再度掲載することをもちまして、この「色絵 扇面花文 小鉢」の紹介とさせていただきます。
========================================
<古伊万里への誘い>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*古伊万里ギャラリー211 伊万里色絵扇面花文小鉢 (平成27年12月1日登載)
かなりの使用擦れが見られるので、相当回使用されたようである。
相当回使用されたわりには、ニューなどの目立った疵がないのは(高台畳付き部に小さなアタリが2ヶ所あるけれども(3時の方角))、厚手で丈夫に作られているからだろう。
上でも記したように、造形的には、やや厚ぼったく作られている。また、焼成中に生じた歪みもある。写真では分かりずらいが、真円ではなく、かなり歪んでいて、やや楕円形になっている。側面から見ると、捻れによって生じた歪みも見られる。
また、口縁部には何ヶ所かの釉切れも生じている。
上絵付けも、じょうずとはいえないだろう。
総じて、上手の作とはいえないが、当時、磁器は高級品だったから、食器としては高級な部類に属したのであろう。
江戸時代中期 口径:13.5~14.4cm 高さ:4.2~4.8cm 高台径:7.0cm
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*古伊万里バカ日誌140 古伊万里との対話(扇面文の小鉢)(平成27年12月1日登載)(平成27年11月筆)
登場人物
主人 (田舎の平凡なサラリーマン)
扇面 (伊万里色絵扇面花文小鉢)
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、例によって、「押入れ帳」をめくり、前回対話をした古伊万里の次に主人の所にやってきた古伊万里を「押入れ帳」上から特定し、その現物を押入れから引っ張り出してきて対話をはじめた。
主人: 「押入れ帳」をめくっていて、そこに記載されている文字内容からだけでは、その現物がどんな物なのかさっぱり思い出せないことが多くなったな~。記憶力が減退したことを痛感するよ。
お前のことだって、買ってから5年しか経過していないのに、「あれっ、こんな物を買ったんだっけ?」と思ったよ。お前には悪いが、「何故、こんな何の特色もない、平凡なものを買ったのかな~」と今見て思ったよ。私のコレクションのレベルが低下してしまうね(><)
扇面: それはそれは、ご主人のコレクションのレベルを低下させることになってしまってすみませんね(><) (「どうせ、もともとレベルは低いんじゃないの」と独白)
でも、買ったんでしょうから、買うに際しては、それなりに、その動機はあったんでしょう。買うに至った動機は・・・・・。
主人: まあね。タダでもらったわけではなく、一応、お金を払って買ったものだからね。
その動機か! 買うに至った動機ね!
う~ん、それは、予想外に安かったからかな。以前はもっと高かったと思うんだよね。そんな、なんの変哲もない物でも、以前はもっと高かったと思うんだ。そのような物が現実に目の前に現れてくると、「これをそのまま放置して世の中から抹殺してはいけない! もったいない! もっと大切にしてあげなければ!」なんていう意識が働き、十分に手の届く値段だったこともあり、買ってしまったというところかな。
扇面: 私は、そんなに状態がよくありませんよね。状態がよくないから安かったんではないですか。
主人: 確かに。使用擦れが多く、色絵部分もかなり擦れ落ちているし、器形の歪みも酷くて楕円形のようになっているものね。でも、骨董の場合は、それらは、それほどマイナスの評価はされないと思うよ。
私なんか、保存状態がよく、完璧に色絵が残っているものよりは、多少使用擦れがあって色絵が擦れ落ちているほうが好きだね。「そのほうが古い証拠だ!」なんて思ったりしてね(~_~;)
器形だって、多少歪んでいて、完全な円形ではなく、楕円形のようになっていたほうが私は好きだな。「そのほうが趣きがあっていいじゃないの!」なんて思ったりするから。
そんなこんなで、お前には、高台の畳付き部分に小さなアタリが2ヶ所ほどあるだけで、骨董としては無疵完品に近いわけだから、状態が悪いとは言えないね。
扇面: そうですか。私は、状態としては悪くはないんですね。でも、絵柄はパットしませんよね。
主人: まあな。それは確かに言えるかも・・・・・。
伊万里のような磁器物は、今では、鑑賞用として珍重されるから、絵柄の良し悪しで評価は大きく左右されるからね。お前の場合は、どこに焦点を当てているのかわからないものな。パット引き立てるものがないんだよね。文様に主役がないんだよ。それぞれの文様がほどほどに描かれ、どれも自分を強く主張していないんだよね。いかにも食器という感じだな。それぞれの文様が、器に盛った料理を引き立てよう、脇役に徹しようという態度を前面に出している感じだな。
扇面: そうは言いましても、全体的に見れば、赤や緑が多用され、ずいぶんと派手ではないですか。
主人: 染付とちがって、食器としては華やかだね。ヘタをすると、盛られた料理のほうが脇役になってしまい、器のほうが主役になりかねないね・・・・・。
扇面: 私には、扇面が二つ描かれていますが、何か意味があるのでしょうか?
主人: 特に意味はないんだろうね。ただ、扇面文様は、「末広」とも呼ばれ、先に行くほど広がっていく形から「末広がり」としておめでたい意味に使われるので人気があったようだね。そのため、古伊万里には扇面文様を施したものが多く見られるね。また、お前のように、扇面の文様は単独ではなく、扇面の中に草花とか山水などの文様を入れて描かれているものが多いね。
扇面: 私はどんな時に使用されたんでしょうか。
主人: そうね。華やかだから、おめでたい祝いの席での食膳に供されたのかもしれないね。
=========================================
わかります。
なぜか、妙な使命感のようなものをピピッと感じてしまうのですね。その後、若干の後悔も。結果、同じような品がせい揃い(^^;
でも、いつか、量が質に変わる日が来る、と言い聞かせています(^.^)
その結果、パットしないものが勢揃いとなりますよね(~_~;)
でも、やはり、いずれ、そのようなものも少なくなり、貴重なコレクションとなるかもしれないと思うようになるんですよね(^_^)
コレクターというのは、そんな妄想を抱いてしまうんですよね~~(~_~;)