クマさん親子のサトヤマ・ウォーク

2008年10月03日 | サトヤマ,サトヤマ
 ここ最近,当地ではクマの出没騒動でカシマシイ。

 最初の情報は先月下旬の9月23日,日曜日の午後2時半頃に蓑毛地区で親子連れのクマが目撃されたということだった。場所は盆地北東部山麓の蓑毛バス停から県道70号秦野清川線をヤビツ峠に向かって約1kmほど登った中尾橋付近。拙宅からは直線距離で約3.5km,アキラの通う中学校からは約2.5kmの距離と,比較的身近な場所である。時期的にはそろそろクマが里近くに下りてきてもおかしくない季節ではあるが,それにしても休日の午後,お昼を少し回った時間帯にクルマ(自動車)やモーターバイク(単車)やロードバイク(自転車)やらがひっきりなしに通行していたであろう県道70号にノコノコと出てくることはないでしょうに。要は,またぞろ方向音痴のクマさんだったのか? それとも,楽しくはしゃぐ子グマを追いかけるあまり,ついつい親子で道路まで出ちゃったのか?

 実はその日,私はアキラと一緒に海の方(大磯~平塚~茅ヶ崎~鎌倉)にサイクリングに出かけており,ちょうどその時間は江の島の展望塔のてっぺんに登ってグルリ周囲の景色を観覧していたのであった。もちろん丹沢方面もじっくりと眺めました。あいにく雲に霞んでよく見えなかったが,それでも弘法山や権現山の先に大山や表尾根がかすかに望まれた。そうか,その時間にクマさんは蓑毛あたりでヒトと遭遇していたわけか。

 続いて,9月28日には蓑毛から南に下った名古木地区で養蜂の巣箱がクマに荒らされたとの被害があり,さらに昨日の10月2日には弘法山南麓の畑でクマの足跡が発見されたというニュースが報じられた。なんでもそこは人家から50mたらずの場所だという。

 どうやらクマさん親子はズンズン南下しているようだ。もう少し下れば山地・丘陵地の樹林帯がとぎれて東名高速道にブチ当たってしまうデハナイカ! これは放っておけないゾ。 ということで,本日夕方,仕事を早めに切り上げて自転車に乗ってソソクサと現地視察に参上いたしました(毎度毎度の物好きで,我ナガラ汗顔ノ至リ)。 新聞記事に書かれた足跡発見地点の住所番地を事前に住宅地図と照らし合わせ,大まかな場所はチェックしておいたのだが,それでもとりたてて目標物もない畑地のなかの地番ゆえ,さらに,「クマ出ました!」等の看板なども別になかったものだから,果たしてそこでいいのかどうか,いまいち確信が持てなかった。少し離れた場所で野良仕事をしていたオバサンに尋ねてみると, いえ,もっと向こうですよ。いったん下の道に戻って,それからもう一本先の細道を上がったあたり,と指摘された。 けど御主人,もう足跡は見えないと思いますよー ,なんてことも言われました。 いえいえ,足跡を見に来たわけじゃなくて,どんな場所にクマが出たのかを一寸見てみたかっただけなんです。どーもありがとうございました。

 改めて教えられた場所に向かい,ま,だいたいこの辺だろうな,ということで納得した。標高約120m。丘陵中腹の明るく開けた緩斜面の畑の中である。前方南側の先には東名高速道の金目川を横断する橋梁が見渡せ,西方向に目を転じれば盆地の密集した街並みがずっと先まで広がっているのが眺められる。なかなか気持ちのよさそうな場所だ。クマさん親子は,恐らく夜中にコッソリここまでやって来て,畑のへりに二人並んで腰を下ろし,途中で木からもいでポッケにしまっておいた柿の実など食べながら,東名高速道をひっきりなしに走る車のライトの流れるような赤・白・オレンジの光や,あるいは盆地内のキラキラ光る街々の夜景やらを,目をパチクリさせながら眺めていたのだろう。そんなエキセントリックで美しい風景を前にして,彼らは一体何を感じていたのだろうか。 わけもなく切なくならなかっただろうか? 心細くならなかっただろうか? (いわゆる,生きてあることの恍惚と不安,というヤツ)

 なお,その後,彼らが猟友会の毒牙に掛かったという話は聞いていないので,親子ともども何とか無事に山に戻ることができたのだろうと思う。 とりあえず,よかった,よかった!

 それにしても,何だか「田舎のネズミ」みたいな話だなぁ。
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