ごく最近FMラジオでモーリス・ファノンMaurice Fanonの有名な《スカーフL'écharpe》という歌を,私の知らない女性がニホンゴで歌っているのを耳にした。やけにネットリとした感じの語り口調で,しかし不思議と心に引っ掛かる風な歌いぶりだった。聞けば,クミコという名の中年シャンソン歌手で,最近巷ではかなり人気があるとのことだ。さらに驚いたことには,その歌詞を訳しているのが,あがた森魚Morio Agataだという。ジーチャンすげー!の,タンス株券の,あの森魚氏ですって。 ったく世の中,何が災いするか,もとい,何が幸いするかわからない。
私がこの歌を最初に聞いたのは,今からもう30年近くも昔のことになるだろうか。確かカトリーヌ・ソヴァージュがボビノ座でのステージで歌っているものだった。その時も,いやにネットリした歌い方だなぁ,という程度の印象だったと思う(何しろ若かったもので)。その後,イヴェット・ジローが歌うのやら,ファノンのカミさんであったピア・コロンボが歌うのやら,作者自身が歌うのやら,いろんなスカーフを聞いた。シミジミとした詩と曲とに相応しい,それぞれに個性的で趣ある歌い方だったが,個人的にはモーリス・ファノンの未練がましい歌いっぷりが最も似つかわしく好ましく思われた。育ちの良すぎるムルージみたいな感じ,といえば近いかも知れない。ただし,いずれも1970年~80年代の,はや忘却の彼方に消えなんとしているエピソードである。
その歌が,幾年かの時を経て,ある日我が心象の領域に復活する。イメージの蘇生,黄泉返りというか,それは何とも不思議な感じがする。ハズカシナガラ,少しばかり胸が痛んだりした。復活先生,ってヤツか知らん(意味不明)。
私がこの歌を最初に聞いたのは,今からもう30年近くも昔のことになるだろうか。確かカトリーヌ・ソヴァージュがボビノ座でのステージで歌っているものだった。その時も,いやにネットリした歌い方だなぁ,という程度の印象だったと思う(何しろ若かったもので)。その後,イヴェット・ジローが歌うのやら,ファノンのカミさんであったピア・コロンボが歌うのやら,作者自身が歌うのやら,いろんなスカーフを聞いた。シミジミとした詩と曲とに相応しい,それぞれに個性的で趣ある歌い方だったが,個人的にはモーリス・ファノンの未練がましい歌いっぷりが最も似つかわしく好ましく思われた。育ちの良すぎるムルージみたいな感じ,といえば近いかも知れない。ただし,いずれも1970年~80年代の,はや忘却の彼方に消えなんとしているエピソードである。
その歌が,幾年かの時を経て,ある日我が心象の領域に復活する。イメージの蘇生,黄泉返りというか,それは何とも不思議な感じがする。ハズカシナガラ,少しばかり胸が痛んだりした。復活先生,ってヤツか知らん(意味不明)。