時はいたずらに過ぎてゆき,そしてまた,いつの間にやら年の暮になってしまった。ああ,その間オマエは何をしてきたのか? いえいえ,何~んにもいたしておりませんデス。世間一般は「恒例の年末」ということでアレコレと騒がしくも忙しいようだが,その喧騒のなかで私自身はただただ黙するのみである。世の中に見限られた沈黙老人一名哉。
ここ数ヵ月ばかり,我が凡庸なる日常において,付かず離れずながらも,ずっと心に引っかかっている歌がある。それは,セルジュ・レジアニSerge Reggianiの《先生Le Prof》という歌だ。人それぞれの,長きにわたる挫折une longue défaite,さまざまな「人生航路」なんてことをシミジミ感じながらこの歌に耳を澄ましている。親と子の葛藤,世代交代,なんてぇことを時には思い浮かべたりもしながら聴いている。と申したところで,それは所詮ゴミムシの歩む道程,あるいはナメクジの辿る道筋などと然したる違いはないのだろうと思う。社会というのがひとつのシステムであるのなら,例えば喜びも悲しみも,テロルもエロスも,それにあらかじめ組み込まれたプログラムなのだ。世界は絶えず呼吸を止めないのだし,地球は永劫運動を続ける丸い物体に過ぎないのだし。。。
以下に拙い全訳を記しておく。はっきり言って仏語読解力の不足から間違った解釈をしているのではないかという気がしているけれども,そんなことは一介の市井老人にとってドーデモイイことです。ある日ある時,外部から与えられたイメージが勝手に脳内変換されて,自由気ままに浮游し,徘徊する。そうか,こうやってヒトは認知症への道を辿ってゆくのかも知れないナ。
朝の8時ピッタリに 先生は教室に入ってきた
その様子は まるで処刑台に向かう男みたいだった
バカ笑い,ドナリ声,フザケ顔などが騒めくなか
先生はゆっくりと黒板を拭き消した
タバコの匂いがかすかに残る教室で
ムダなこととは承知しつつ 先生は証明を試みた
われわれが住むこの世界が丸いということを
最前列の席に陣取る3人のオベンチャラ屋に向かって
彼の人生は長年月にわたる挫折の連続でしかなかった
けれどもずっと この学校に勤務し続けながら
先生は僕らにワーテルローの戦いについて繰り返し語った
ダーツ矢が雨あられと飛び交うなかで
他の教師らはみな 結構イイカゲンだった
彼らは僕たちを 何とかして休日に追いやろうとした
「若気の至り」は大目に見てやるもんだ,とか言いながら
彼らは僕たち生徒を好き勝手にさせていた
頭上をゆく飛行物体を見ながら 先生は何を思っていたのだろう
なるほど,ブレリオ単葉機はいつも低いところを飛んでいた
でも申し訳ない 僕はオバカな年頃だったもので
そんなオフザケを何度も繰り返していたんだ
大体からして 僕らはみなバカにしていた
ゴール人の祖先が生きた高々40年の人生なんか,と
僕らが競っていたのは 誰が劣等生の王様になるのかということだ
で,僕はしばしば王様になったんだ
ある晴れた朝,ついにケリを付けねばならない時がやって来た
最後の大芝居をしでかした後で 僕は出発した
「実社会」ってヤツに参戦するために
それは先生が決して教えてくれなかった世界だった...
ここ数ヵ月ばかり,我が凡庸なる日常において,付かず離れずながらも,ずっと心に引っかかっている歌がある。それは,セルジュ・レジアニSerge Reggianiの《先生Le Prof》という歌だ。人それぞれの,長きにわたる挫折une longue défaite,さまざまな「人生航路」なんてことをシミジミ感じながらこの歌に耳を澄ましている。親と子の葛藤,世代交代,なんてぇことを時には思い浮かべたりもしながら聴いている。と申したところで,それは所詮ゴミムシの歩む道程,あるいはナメクジの辿る道筋などと然したる違いはないのだろうと思う。社会というのがひとつのシステムであるのなら,例えば喜びも悲しみも,テロルもエロスも,それにあらかじめ組み込まれたプログラムなのだ。世界は絶えず呼吸を止めないのだし,地球は永劫運動を続ける丸い物体に過ぎないのだし。。。
以下に拙い全訳を記しておく。はっきり言って仏語読解力の不足から間違った解釈をしているのではないかという気がしているけれども,そんなことは一介の市井老人にとってドーデモイイことです。ある日ある時,外部から与えられたイメージが勝手に脳内変換されて,自由気ままに浮游し,徘徊する。そうか,こうやってヒトは認知症への道を辿ってゆくのかも知れないナ。
朝の8時ピッタリに 先生は教室に入ってきた
その様子は まるで処刑台に向かう男みたいだった
バカ笑い,ドナリ声,フザケ顔などが騒めくなか
先生はゆっくりと黒板を拭き消した
タバコの匂いがかすかに残る教室で
ムダなこととは承知しつつ 先生は証明を試みた
われわれが住むこの世界が丸いということを
最前列の席に陣取る3人のオベンチャラ屋に向かって
彼の人生は長年月にわたる挫折の連続でしかなかった
けれどもずっと この学校に勤務し続けながら
先生は僕らにワーテルローの戦いについて繰り返し語った
ダーツ矢が雨あられと飛び交うなかで
他の教師らはみな 結構イイカゲンだった
彼らは僕たちを 何とかして休日に追いやろうとした
「若気の至り」は大目に見てやるもんだ,とか言いながら
彼らは僕たち生徒を好き勝手にさせていた
頭上をゆく飛行物体を見ながら 先生は何を思っていたのだろう
なるほど,ブレリオ単葉機はいつも低いところを飛んでいた
でも申し訳ない 僕はオバカな年頃だったもので
そんなオフザケを何度も繰り返していたんだ
大体からして 僕らはみなバカにしていた
ゴール人の祖先が生きた高々40年の人生なんか,と
僕らが競っていたのは 誰が劣等生の王様になるのかということだ
で,僕はしばしば王様になったんだ
ある晴れた朝,ついにケリを付けねばならない時がやって来た
最後の大芝居をしでかした後で 僕は出発した
「実社会」ってヤツに参戦するために
それは先生が決して教えてくれなかった世界だった...