平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

第33回ジャパンカップを振り返って

2013-11-25 07:47:16 | Weblog
 予想通りにゴールドシップが沈んだレース動画。ラスト3ハロン(600m)の上がりが、11.1-11.1-11.9秒(合計34.1秒)でしたから、勝ったジェンティルドンナは10.9-11.1-11.9秒(合計33.9秒)で駆け上がったことになります。最後に11.9秒もかかってバタバタでしたが、凌ぎ切ったのはムーア騎手の腕によると思います。

 ゴールドシップは最後のコーナーで追い上げていますが、前の馬がハロン10秒台で加速しているのですから、10秒台の脚のないゴールドシップがむしろ引き離されているのです。これでは追い付けるはずもなく、馬の方は早々とレースを諦めています。

 2着に突っ込んだデニムアンドルビーは、ゴールドシップの1馬身前で直線を向きます。しかし、2000m前後でキレとスピードを活かす同馬にとって、この上がり勝負は千載一遇のチャンス。心配されたスタミナを使わずに直線を向き、53kgの軽量を利して追い込んできました。もっとも、前が止まった状態でしたから届いたのですが。

 3着のトーセンジョーダンは馬体が戻り、持ち味の先行力を活かせる流れになりました。ビュイック騎手は若いですが、ナサニエルでキングジョージを、ダーレミでドバイシーマクラシックを勝っているように度胸十分。僕は勘違いして、ウイリアムズ騎手が乗るものと思っていたために、左鞭から右鞭に持ち換えるのを見て、ウイリアムズ騎手も上手くなったものだと観ていました。相変わらず左鞭を使えないウイリアムズ騎手のアドマイヤラクティは、仕掛けが遅れて4着でした。

 ジェンティルドンナを降ろされた岩田騎手は、焼きそば乗りと言われるフォームでヴィルシーナを追い立てますが、最後にバテて7着。これがこの馬の現状でしょうが、ムーア騎手とビュイック騎手に比べて、馬への負担が大きい乗り方に見えます。

 ムーア騎手は、ワークフォースで凱旋門賞に勝ったレースで、2着に負けたナカヤマフェスタ陣営に「永遠に届かない頭差」を強烈に印象付けた名手です。今回のジェンティルドンナの勝ち方にも通じる、最後のお釣りを残す、馬に負担のかからない騎乗なのだと思います。

 武騎手のヒットザターゲットは仕掛けが早すぎましたが、これは世界のG1の乗り方としては間違いではありません。凱旋門賞でトレヴが勝った早仕掛けと同じだからです。実際、前のジェンティルドンナもトーセンジョーダンも残っているわけですから、ヒットザターゲットの力不足なのです。

 ゴールドシップは凱旋門賞に向かわなかった事で、タフさを要求されるレースという適鞍を一つ逃し、そこから歯車が狂いだしているのです。宝塚を勝ったら凱旋門賞という選択肢が形成されているのだから、ナカヤマフェスタのように挑戦するべきでしたね。適鞍ではない、京都と東京コースに執着した陣営の判断ミスが尾を引いています。有馬の結果次第では引退もありえます。

 メンバー的にイマイチでしたが、世界のトップ騎手が手抜きせず、凱旋門賞と同じ仕掛けのタイミングでファンを魅了した好レースでした。日本は騎手も調教師も外国に開放していない競馬鎖国で死にかけています。トレセンの外に厩舎を構える外廐制度で外人調教師を迎え、日本人調教師にも外厩を認め、世界のトップ騎手が自由に乗れる環境整備を急ぐ必要があります。

 その上で、無駄に硬い馬場を改善させ、ダービー以降も活躍できる馬が増えるように、馬優先の思想を徹底させるべきです。ゴールドシップは、ワールドエースやアダムスピークという、トップを形成する馬たちが脱落した結果としてのタイトルホルダーに過ぎません。ダービーで上にいた4頭がいない、いわゆる空き巣狙いでは真のチャンピオンとはいえません。近未来における日本競馬の危機を感じたレースでした。

    エフライム工房 平御幸
コメント (4)
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