縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

日仏混血の旨さ ~ 森下・山利喜

2006-06-07 23:58:00 | おいしいもの食べ隊
 国際復興開発銀行に出向していた知り合いがいる。彼は南米の担当だった。そんな彼の持論、人間は混血すればするほど美しくなる。ベネズエラやコロンビアの女性は、それはそれは美しかったそうだ。事実、ミス・ユニバースの優勝者は南米の代表が多いと彼は言う。
 コロンブスによるアメリカ大陸発見後、南米では原住民、スペイン人はじめヨーロッパから来た白人、それに奴隷としてアフリカから連れて来られた黒人が暮らすようになり、長い年月を掛けて混血が進んでいる。僕は南米に行ったことがないし、彼の審美眼がどれほどのものかも知らないので、混血の美しさについては何とも言えない。
 が、料理の混血は旨い。山利喜の煮込みを食べると自信を持ってそう断言できる。

 森下の山利喜といえば下町の超人気居酒屋。夕方の5時開店だが、開店前から人が並んでいるそうだ。いったい、誰がこんな早い時間、明るいうちから飲んでるんだ!(羨ましい・・・・)。よって、下手な時間に行くと10人待ち、20人待ちは当たり前、といった混みようである。しかし、赤ワインで「煮込み玉子入り」を食べることを思えば、待つのも苦ではない。

 山利喜は大正15年創業の歴とした居酒屋である。店の佇まい、調度品などは、どこから見ても居酒屋、それも大衆酒場だ。が、料理は違う。日本とフランス、居酒屋とビストロの混血というべき料理である。
 我々が行くと必ず食べるのは、「煮込み玉子入り」と「ガーリックトースト」。これに、もう一つのここの名物である「やきとん」や「鶏レバーのテリーヌ」、刺身、野菜(和風もあれば洋風もある)などを食べる。飲み物はビールに始まり赤ワインで終わる。このメニューに赤ワイン。繰り返すが、ここは正真正銘居酒屋である。

 この秘密は現在のご主人、3代目がフランス料理の修業をしていたことにある。フレンチのオーナー・シェフを目指していた3代目は、2代目の体調がすぐれず若くして山利喜を継ぐことになった。そのため3代目は、かつての夢を追い求めているのか、単にフランス料理が好きなだけかわからないが、居酒屋には似合わない、ハイカラな料理を出すことにしたのである。
 ここの煮込みは、牛シロ、八丁みそ、ザラメ、各種ハーブ、それにポートワインで作っている。ワインを加える、それもただの赤ワインでなくポートワインを使うところがただ者ではない。香りが高く、大変味わい深い。

 居酒屋の進化した姿がここにある。その辺で見掛ける“洋風居酒屋”といった半端なものとは違う。通常休みは日曜・祝日だが、今月は12日と19日の月曜日も休みだ。休みに注意し、5時前から並ぶか、かなり待つ覚悟をするか、是非一度訪れて欲しい店の一つだ。