話題としてはちょっと古いが(すみません、つい先日『帝国データバンク倒産情報』で知ったもので・・・・)、5月16日付けで、米国公認会計士資格取得スクールで有名な㈱ANJOインターナショナルが負債10億5千万円を抱え、その事後処理を弁護士に一任すると発表した。M&Aならびに事業譲渡を検討中とあるが、会社の資産が受講生であることを思うと、自己破産の可能性が高いといえよう。
私はANJOとは何のゆかりもないのだが、創業者の安生浩太郎社長のサクセス・ストーリーから同社には関心を持っていた。氏は1965年生まれ。慶応大学卒業後、野村證券に入社し、95年2月、自らの米国公認会計士(USCPA)取得経験を基に㈱ANJOインターナショナルを設立した。その後、USCPA以外にも講座を拡げ、大阪、名古屋など国内主要都市にスクールを順次開設し、ピーク時には20億円を越す売上を計上した。
が、その後、2003年5月の国の教育訓練給付制度の変更(給付率が80%から40%に下がり、更に上限額が30万円から20万円に引き下げられた)や2004年4月のUSCPAの試験制度変更の影響により受講生が減少し、加えてe-learning、人材派遣、会計アウトソーシングなどの新規事業も振るわず、2005年12月期は売上10億円まで落ち込み、4億7千万円の最終赤字になったという。
足下、景気が回復し雇用環境が改善してきたことも同社にはマイナスに働いたことだろう。就職氷河期と言われた2、3年前までは、学生にしろ、より良い転職先を求める社会人にしろ、資格取得に本当に熱心だった。資格の一つでもないと就職できないといった空気が蔓延していた。しかし今では、こうした雰囲気は薄れ、資格取得よりも趣味的な部分に時間やお金を掛けるよう変わってきたと思う。
ところで、USCPAの試験制度変更はマイナス要因なのだろうか。一般には、受験回数の増加(年2回が4回に)、受験科目の選択が可能に(全4科目受験が、4科目から任意で受験可に)等から、USCPAは受験しやすくなったと考えられている。現にTACは、2004年度こそ初年度ということもあって苦戦していたが、昨年は新コースを投入し大きく受講者を増やしている。
因みに、新・旧両制度でUSCPAの受験経験のある私としては、勉強の負担は新制度の方がずっと楽だが(働きながら4科目の勉強はつらい)、英語が苦手だと新制度で合格するのは厳しくなったと思う。新旧とも英語による記述が3割あるが、旧ではキー・ワードが入っていればそれで点数になったのに、新では英語によるコミュニケーション能力、つまり英語の良し悪しが点数に大きく響くようになったからだ。
TACやUSエデュケーション・ネットワークのHPを見ると、ANJOの受講生の受け皿となるサービスが提供されていた。ANJOが破綻しても、受講生が勉強を続けられるのがせめてもの救いだ。高い授業料になってしまったが、会計士への第一歩として、企業の破綻の痛みを身をもって知るのは良い経験かもしれない。
私はANJOとは何のゆかりもないのだが、創業者の安生浩太郎社長のサクセス・ストーリーから同社には関心を持っていた。氏は1965年生まれ。慶応大学卒業後、野村證券に入社し、95年2月、自らの米国公認会計士(USCPA)取得経験を基に㈱ANJOインターナショナルを設立した。その後、USCPA以外にも講座を拡げ、大阪、名古屋など国内主要都市にスクールを順次開設し、ピーク時には20億円を越す売上を計上した。
が、その後、2003年5月の国の教育訓練給付制度の変更(給付率が80%から40%に下がり、更に上限額が30万円から20万円に引き下げられた)や2004年4月のUSCPAの試験制度変更の影響により受講生が減少し、加えてe-learning、人材派遣、会計アウトソーシングなどの新規事業も振るわず、2005年12月期は売上10億円まで落ち込み、4億7千万円の最終赤字になったという。
足下、景気が回復し雇用環境が改善してきたことも同社にはマイナスに働いたことだろう。就職氷河期と言われた2、3年前までは、学生にしろ、より良い転職先を求める社会人にしろ、資格取得に本当に熱心だった。資格の一つでもないと就職できないといった空気が蔓延していた。しかし今では、こうした雰囲気は薄れ、資格取得よりも趣味的な部分に時間やお金を掛けるよう変わってきたと思う。
ところで、USCPAの試験制度変更はマイナス要因なのだろうか。一般には、受験回数の増加(年2回が4回に)、受験科目の選択が可能に(全4科目受験が、4科目から任意で受験可に)等から、USCPAは受験しやすくなったと考えられている。現にTACは、2004年度こそ初年度ということもあって苦戦していたが、昨年は新コースを投入し大きく受講者を増やしている。
因みに、新・旧両制度でUSCPAの受験経験のある私としては、勉強の負担は新制度の方がずっと楽だが(働きながら4科目の勉強はつらい)、英語が苦手だと新制度で合格するのは厳しくなったと思う。新旧とも英語による記述が3割あるが、旧ではキー・ワードが入っていればそれで点数になったのに、新では英語によるコミュニケーション能力、つまり英語の良し悪しが点数に大きく響くようになったからだ。
TACやUSエデュケーション・ネットワークのHPを見ると、ANJOの受講生の受け皿となるサービスが提供されていた。ANJOが破綻しても、受講生が勉強を続けられるのがせめてもの救いだ。高い授業料になってしまったが、会計士への第一歩として、企業の破綻の痛みを身をもって知るのは良い経験かもしれない。
サティフィケート認定とライセンス取得が同じタイミングになる傾向、また、前者廃止、ライセンスのみとする州が増えていること、これも納得そのものです。米国CPAを名乗る者は、第3者から見れば、US GAAP監査に際して自らの名前で監査報告書にサインできる者という認識を持ちます。ゆえに、監査経験なし、ひどい場合には企業での経理経験すらなし、それでいてUS CPAを名乗っていてはおかしいですね。受験資格ほどではないにしても、この点は気にする人も多いでしょうから矢張り受講生減の一因でしょうね。
英語力が求められること、これも当たり前。単語の羅列で文としての体をなしていない、即ち意味が分かっていないのでは0点で当然です。英語で仕事をやろうという人間は英語でのコミュニケーション能力を持っていて当たり前、この傾向も何も言えません。
総じて当たり前のことが当たり前に行われているというのが率直な印象です。
「世界に通用するハイステータス」というキャッチフレーズは受講生の当座の注目を引く上では有効でしょうけれども、資格そのものの性質を考えなくてはビジネスとしても成り立たないでしょうね。
私としては、日本語テキストを売り文句に受講生を急増させたANJOやUS Educationのために、洋書を用いて真っ当な英文経理教育を行っていたアメリカンアカウンティングスクールや虎ノ門アカウンティングスクールが営業譲渡、吸収等で実質閉口に追い込まれてしまったことが残念でなりません。この2校はUS CPAコースを開講するも、それ以前のベーシックな経理英語の教育(外資系企業経理部門で最も必要な能力)を大変重視しておられました。ANJOはある意味これを軽視した報いが回ってきたといっても過言ではないでしょう。正直者が報われるような社会であって欲しいです。
僕は出来が悪かったので、“あなたも簡単に、素晴らしい資格が取れる”式の広告を見る度、これは嘘だ、と思ってしまいます(笑)。
どの学校が良いのかよくわかりませんが、いずれにしろ、目的を明確にし、地道に勉強することが大事ですね。