エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

蝉時雨

2012年08月21日 | ポエム
時雨るるほどの蝉の声である。

芭蕉翁は、

 閑さや岩にしみ入蝉の声

と蝉時雨を詠んだ。
閑けさに蝉時雨を対比したのである。



だがしかし、ぼくは平凡な感性しか持ち合わせていないからだろうか、煩いとしか感じない。
悲しい!

それにしても万緑は黒い。
おどろおどろしている。







「かくかくと蝉の一生時雨れたる」


「蝉時雨ここぞとばかりの七日間」







昨日、落ち蝉を見た。
もう秋なのである。

前記の芭蕉翁の句は・・・。
「岩に巌を重て山とし、松栢年旧土石老て苔滑に、岩上の院々扉を閉て物の音きこえず。岸をめぐり岩を這て仏閣を拝し、佳景寂寞として心すみ行のみおぼゆ。」

の文に続くのである。



綺麗な・・・綺麗としか言いようのない夕景であった。
こうした秋夕焼けを読みたいものである。



夕焼け雲は、何を語るのか!
じっくりと対話しなければ、イマージュは湧いてこない。
だから、俳句は難しいのである。




    荒 野人