私がまだ木工について何も知らない頃、何かの雑誌で見た木の箱がとても気に入り、とにかく作者の名前だけメモしてことがあった。
それが黒田辰秋さん。
あとで、そんなに有名な方だったのかとはじめて知った。
それから美術館などで何度か黒田さんの作品を見たことがあったが、
家具はなかなかお目にかかっていなかった。
そこで、せっかく京都に来たので、進々堂店内にある黒田さんのテーブルとベンチを見に行った。
なんといっても、ここの家具は現役というのがいい。
京都大学の目の前のカフェの店内では、黒田さんのテーブルやベンチでなにやらインテリな学生が静かに読書や談笑をしている。
店内は写真禁止なので、
フランスパンを買って、そっと出た。
私には、ただ「重厚だ」という当たり前の印象しか残らなかったが、本物を見れたことはきっといいことだと思う。