自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆続・地球世直し水戸黄門

2008年07月28日 | ⇒トピック往来

 「地球世直し水戸黄門」、レスター・ブラウン氏にはそんな言葉がふさわしいかもしれない。レスター氏の講演(6月7日・金沢市)で印象に残るフレーズをノートからいくつかピックアップしたい。

  国連世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)は毎年、緊急の食料援助を必要とする国をリストアップしている。2007年5月にリストアップされたのは33カ国。このうち17カ国は内戦と紛争で、食料援助しようにも、その活動が阻まれるところ多い。つまり、援助部隊が襲撃されることもある。そんな国は間違いなく破綻に向かう。

  レスター氏は講演で「これら破綻に向かっている国の中にパキスタンがある」と力を込めたのか。パキスタンは核保有国だからだ。仮に、暴動が蔓延し、無政府状態になった場合、誰がその核兵器を管理するのか、とレスター氏は問題を投げかけたのである。一国のフード・セキュリティーを超えて、アジアの安全保障の問題になりかねない。

  この講演が気になって、レスター氏の近著「プランB 3.0」(ワールドウオッチジャパン)を読み込むと、「平和基金とカーネギー国際平和財団は『”破綻国家”は世界政治の脇役から、まさに主役になった』と指摘している」と記されている。かつての国際政治は核軍縮であったり、デタント(政治的な緊張緩和)がキーワードだった。それが、破綻国家が国際政治の主役に躍り出たとういことだろう。その典型的な例がパキスタンなのである。

  国際政治はイデオロギーや資源戦争、国境紛争を民族紛争、宗教戦争のレベルを超えて、気候変動による食糧不足、食糧高騰、内戦、政情不安、そして破綻国家という図式でもはや国際政治の主流になった。

  ところで、きょう(28日)早朝から金沢はバケツの底が抜けたような大雨に見舞われた。金沢市や白山市付近では1時間に120㍉を超える激しい雨となった。市内を流れる浅野川は数カ所で氾濫し、竹久夢二ゆかりの湯涌(ゆわく)温泉の旅館街でも土砂崩れた起きた。そして、午前8時50分に浅野川流域の2万世帯余りに、市から避難指示が出された。このゲリラ雨はひょっとして気候変動のせいか。

 ⇒28日(月)朝・金沢の天気   雨

コメント (5)
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