かつて、大学の薬学の教授から教わったことだ。酒はビールだけ、あるいは日本酒だけというのは体によくない。なるべくウイスキー、白酒(パイチュウ)、ワイン、ウオッカなど多種類を飲んだ方がよい。つまり、麦だけでなく、米も、モロコシも、ブドウもというわけだ。それを「アルコール多様性」というそうだ。その教授は「常時100種類ほどの酒を自宅にスットクしていて、少しずつ飲んでいる。健康だよ」と笑っていた。それまでどちらかいうと「ビールのち日本酒」だったが、その話を聞いてから、ワインも白酒もウオッカも飲むようになった。今は一巡して、どちらかというと、ワインの量が多くなった。
先日、誘われて金沢のワインバ-が主催する「メドック格付1級 5大シャトーの違いを知る」というワインの講座に出かけた。ワインはまったくの初心者でどちらかというと、イタリヤやチリ、南アフリカといった国別で選んで買っていた。シャトー(ワイナリー)は知っていたが、「5大シャトー」は正直知らなかった。フランスに何度か勉強に行っているソムリエの辻健一さんが解説する。
「5大シャトー」は、1855年のパリ万国博覧会で、皇帝ナポレオン3世は世界中から集まる訪問客に向けて、フランスのボルドーワイン(赤)の展示に格付けが必要だと考えた。 そこで、ボルドー・メドック地区で、ワイン仲買人が評判や市場価格に従って、ワインをランク付けした。その格付けで4つのシャトーに「第一級」の称号を与えられた。それ以来、ボルドーワインの公式格付けとなった。その4つとは「Ch.Lafite-Rothschild(シャトー・ラフィット・ロートシルト)」、「Ch.Margaux(シャトー・マルゴー)」、「Ch.Latour(シャトー・ラトゥール)」、「Ch.Haut Brion(シャトー・オー・ブリオン)」のこと。これに、1973年の格付けで昇格した、「Ch.Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスシルド)」を加え、これら5つが世界トップクラス・シャトーといわれるようになった。インターネットで調べてみても、それぞれ1本5万円は下らない。ちなみの、今回の講座の会費は2万3千円。グラスに1杯ずつ5大シャトーが飲めるのだから。一生に一度のチャンスと思えば、案外お得かも知れない。
問題は味わいの表現力だ。これは、素人ではなかなか出てこない。辻さんはソムリエらしく、ラフィット・ロートシルを「長く残る深みのある味わい。森の中に白いお城のようですね」と。「熟成したときに醸し出す杉の香り」(ムートン・ロスシルド)、「重厚でありながら優雅さを崩さず、複雑極まりない風味の豊かさ」(ラトゥール)、「甘くそして芳ばしい香水のような」(シャトー・マルゴー)、「若い間から楽しめる芳醇でソフトな果実味。スミレとトリュフの香り」(オー・ブリオン)と次々と鼻と舌の感覚を言葉にしてにおい立たせる。ここまでくると、まさに「天上のワイン」のように思える。
各シャトーのデータによると、ブドウの品種はカベルネ・ソービニオンが圧倒的に多い。ブドウの品質管理を徹底するために、どこのシャトーもブドウ畑の面積を100㌶以内にしている。そして、「プルミエ・ド・プルミエ(1級の中の1級)」を維持するために、ブドウのクローン選別や土壌改良、コンピューター制御の発酵管理などのたゆまぬ品質向上に向けた取り組みも紹介された。利より格付けを重んじる風土がワインに沁みこんでいる。
※写真は、コルク栓のついたものが5大シャトーのワイン。ソムリエの辻健一氏。
⇒17日(日)夜・金沢の天気 くもり
先日、誘われて金沢のワインバ-が主催する「メドック格付1級 5大シャトーの違いを知る」というワインの講座に出かけた。ワインはまったくの初心者でどちらかというと、イタリヤやチリ、南アフリカといった国別で選んで買っていた。シャトー(ワイナリー)は知っていたが、「5大シャトー」は正直知らなかった。フランスに何度か勉強に行っているソムリエの辻健一さんが解説する。
「5大シャトー」は、1855年のパリ万国博覧会で、皇帝ナポレオン3世は世界中から集まる訪問客に向けて、フランスのボルドーワイン(赤)の展示に格付けが必要だと考えた。 そこで、ボルドー・メドック地区で、ワイン仲買人が評判や市場価格に従って、ワインをランク付けした。その格付けで4つのシャトーに「第一級」の称号を与えられた。それ以来、ボルドーワインの公式格付けとなった。その4つとは「Ch.Lafite-Rothschild(シャトー・ラフィット・ロートシルト)」、「Ch.Margaux(シャトー・マルゴー)」、「Ch.Latour(シャトー・ラトゥール)」、「Ch.Haut Brion(シャトー・オー・ブリオン)」のこと。これに、1973年の格付けで昇格した、「Ch.Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスシルド)」を加え、これら5つが世界トップクラス・シャトーといわれるようになった。インターネットで調べてみても、それぞれ1本5万円は下らない。ちなみの、今回の講座の会費は2万3千円。グラスに1杯ずつ5大シャトーが飲めるのだから。一生に一度のチャンスと思えば、案外お得かも知れない。
問題は味わいの表現力だ。これは、素人ではなかなか出てこない。辻さんはソムリエらしく、ラフィット・ロートシルを「長く残る深みのある味わい。森の中に白いお城のようですね」と。「熟成したときに醸し出す杉の香り」(ムートン・ロスシルド)、「重厚でありながら優雅さを崩さず、複雑極まりない風味の豊かさ」(ラトゥール)、「甘くそして芳ばしい香水のような」(シャトー・マルゴー)、「若い間から楽しめる芳醇でソフトな果実味。スミレとトリュフの香り」(オー・ブリオン)と次々と鼻と舌の感覚を言葉にしてにおい立たせる。ここまでくると、まさに「天上のワイン」のように思える。
各シャトーのデータによると、ブドウの品種はカベルネ・ソービニオンが圧倒的に多い。ブドウの品質管理を徹底するために、どこのシャトーもブドウ畑の面積を100㌶以内にしている。そして、「プルミエ・ド・プルミエ(1級の中の1級)」を維持するために、ブドウのクローン選別や土壌改良、コンピューター制御の発酵管理などのたゆまぬ品質向上に向けた取り組みも紹介された。利より格付けを重んじる風土がワインに沁みこんでいる。
※写真は、コルク栓のついたものが5大シャトーのワイン。ソムリエの辻健一氏。
⇒17日(日)夜・金沢の天気 くもり