自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆イフガオから能登に‐上

2014年09月27日 | ⇒トピック往来
 金沢大学がフィリピン・ルソン島イフガオで実施している国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業「世界農業遺産(GIAHS)イフガオの棚田の持続的発展のための人材養成プログラムの構築支援事業」(通称:イフガオ里山マイスター養成プログラム)の能登研修が9月13日から24日の日程で実施された。プログラム受講20人のうち10人が研修ツアーに参加、学びと 交流の輪を広げた。その様子をリポートする。

    イフガオの民族衣装で輪島・千枚田の稲刈り

 イフガオ里山マイスター養成プログラムでは月1回(1泊2日)、イフガオ州大学を拠点に現地の若者20人がフィリピン大学やイフガオ州大学の教員の指導で地域資源の活用や生物多様性と環境、持続可能な地域づくり、ビジネス創出について学んでいる。能登研修を通じて、GIAHSサイト間の交流を深める。今回参加した受講生10人は教員スタッフ3人とともに12日にイフガオ現地からマニラを経由し、13日深夜金沢に到着した。

 能登入りに先立って、イフガオの受講生たちは16日に谷本正憲知事、17日には山崎光悦金沢大学長を表敬訪問した。知事は「地域活性化のヒントが得られることを期待する」と述べ、輪島の千枚田の取り組みを紹介。山崎学長も「能登での研修が実りあることを期待したい」と、引率のダイナ・リチヤヨ教授(イフガオ州大学)を励ました。このほか、16日にJICA北陸支部を訪ね、堀内好夫支部長に挨拶。また同日、能登GIAHS推進協議会の会長、山辺芳宣羽咋市長を訪問、18日にはイフガオGIAHS支援協議会の会長、泉谷満寿裕珠洲市長を訪ね、世界農業遺産のサイト同士の連携に向けて、行政と草の根レベルでの交流を深めることを話し合った。

 ツアー前半のハイライトは能登見学だった。輪島市の千枚田では、棚田のオーナー田を管理する白米千枚田愛耕会の堂前助之新さんがオーナー制度の仕組みを説明。イフガオ受講生は愛耕会のメンバーの手ほどきで稲刈りを体験した。イフガオの稲は背丈が高く、カミソリのような道具で稲穂の部分のみ刈り取っており、カマを使って根元から刈る伝統的な日本式の稲刈り初めて=写真=、また、はざ掛けも体験した。イフガオの民族衣装を着た受講生たちは、収穫に感謝する歌と踊りを披露した。イフガオで自らも農業を営むマリージェーン・アバガンさんは「能登の棚田はとても手入れが行き届いている」と感想を話した。

 イフガオの受講生の 多くは日本における米の加工品に関心を寄せており、日本酒の造り酒屋も見学コースに組み込まれた(18日)。能登町の松波酒造では、季節的に製造時期ではないももの、女将の金七聖子さんから酒の製造工程を分りやすく説明してもらった。試飲した日本酒がすっかり気に入り、宿泊所で飲みたいとせっせと買い込む姿も。

⇒27日(土)能登の天気   はれ



  
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