先月(2月)10日、宮城県気仙沼市に、畠山重篤氏を訪ねた。畠山氏といえば、あの「森は海の恋人」の提唱者だ。NPO法人「森は海の恋人」理事長。気仙沼の舞根(もうね)湾において今も家業のカキ・ホタテの養殖に従事している。畠山氏を訪ねたこの日、湾内は青空が映えて、なんとも静寂で、まるで鏡のようだった=写真=。
畠山氏は、この海を守ろうと、1989年より環境が悪化した湾内に注ぐ大川上流の室根山で、「森は海の恋人」をキャッチフレーズに植樹活動を始める。子どもたちへの環境教育も積極的に行い、その活動は国際的にも評価されている。2011年の国際森林年で国連森林フォーラム(UNFF)よりフォレストヒーローを受賞、2015年のことし2月、地球環境の保全に貢献した人を顕彰する「KYOTO地球環境の殿堂」の殿堂入り者に選ばれている。
これまで5度直接お会いしてお話をさせていただいた。最近では、2012年2月2日、仙台市で開催された、三井物産環境基金シンポジウム「東日本大震震災からの復興戦略を考える創造と連携」だった。パネル討論で畠山氏が熱弁をふるった。以下、話はちょっと長くなる(畠山氏の要旨)。
総合地球環境学研究所(京都)のプロジェクトチームが7年かけて調べた結果は驚くものだった。ロシアと中国の国境を流れる世界8番目の大河、全長4500kmのアムール川の両側にある大森林で作られるフルボ酸鉄がオホーツク海に流れて、千島列島にあるブソール海峡の間を通る潮流が太平洋まで来ていることが分かった。つまり、アムール川沿いの栄養塩で三陸のわれわれも恩恵を受けている。森は海の恋人は世界に広がっているのです。では、三陸沖の魚を将来とも捕っていくにはどうしたらいいか。それは、アムール川の流域の環境をどう保全していくかにかかっています。相手は中国とロシアですから、容易ではありません。私は、教育しかないと思いました。つまり、ロシアと中国の子供たちの教科書にどうやって「森は海の恋人」の思想を入れていくか。日本海側に住んでいるわれわれは、目の前のことだけを見ているだけではなく、揚子江も見ないといけないのだと思っています、と。
熱弁の後の懇親会の立ち話で、「いよいよ森は海の恋人を世界に向けて発信ですね」と水を向けると、畠山氏は「川の流域に住んでいる世界の人の心に木を植える運動が始まればと願っているのです」と嬉しそうだった。ニューヨークの国連本部で、国連森林フォーラム(UNFF)よりフォレストヒーローを受賞したのはその7日後のことだった。
今回、畠山氏を訪ねたのは講演の依頼だった。70歳を過ぎてもツヤツヤとした髪と髭をしておられるので、「カキの栄養分が行き届いていますね」と切り出すと、「ことしのカキは最高によかった。(震災後)海は再生しているよ」と。2015年3月15日午後1時30分から、石川県珠洲市で金沢大学主催フォーラム「世界農業遺産『能登の里山里海』のこれから」で、「森里海の復興から地域再生へ」と題して講演いただくことになった。この講演はユーストリームで配信予定だ。
⇒7日(土)午後・金沢の天気 くもり
畠山氏は、この海を守ろうと、1989年より環境が悪化した湾内に注ぐ大川上流の室根山で、「森は海の恋人」をキャッチフレーズに植樹活動を始める。子どもたちへの環境教育も積極的に行い、その活動は国際的にも評価されている。2011年の国際森林年で国連森林フォーラム(UNFF)よりフォレストヒーローを受賞、2015年のことし2月、地球環境の保全に貢献した人を顕彰する「KYOTO地球環境の殿堂」の殿堂入り者に選ばれている。
これまで5度直接お会いしてお話をさせていただいた。最近では、2012年2月2日、仙台市で開催された、三井物産環境基金シンポジウム「東日本大震震災からの復興戦略を考える創造と連携」だった。パネル討論で畠山氏が熱弁をふるった。以下、話はちょっと長くなる(畠山氏の要旨)。
総合地球環境学研究所(京都)のプロジェクトチームが7年かけて調べた結果は驚くものだった。ロシアと中国の国境を流れる世界8番目の大河、全長4500kmのアムール川の両側にある大森林で作られるフルボ酸鉄がオホーツク海に流れて、千島列島にあるブソール海峡の間を通る潮流が太平洋まで来ていることが分かった。つまり、アムール川沿いの栄養塩で三陸のわれわれも恩恵を受けている。森は海の恋人は世界に広がっているのです。では、三陸沖の魚を将来とも捕っていくにはどうしたらいいか。それは、アムール川の流域の環境をどう保全していくかにかかっています。相手は中国とロシアですから、容易ではありません。私は、教育しかないと思いました。つまり、ロシアと中国の子供たちの教科書にどうやって「森は海の恋人」の思想を入れていくか。日本海側に住んでいるわれわれは、目の前のことだけを見ているだけではなく、揚子江も見ないといけないのだと思っています、と。
熱弁の後の懇親会の立ち話で、「いよいよ森は海の恋人を世界に向けて発信ですね」と水を向けると、畠山氏は「川の流域に住んでいる世界の人の心に木を植える運動が始まればと願っているのです」と嬉しそうだった。ニューヨークの国連本部で、国連森林フォーラム(UNFF)よりフォレストヒーローを受賞したのはその7日後のことだった。
今回、畠山氏を訪ねたのは講演の依頼だった。70歳を過ぎてもツヤツヤとした髪と髭をしておられるので、「カキの栄養分が行き届いていますね」と切り出すと、「ことしのカキは最高によかった。(震災後)海は再生しているよ」と。2015年3月15日午後1時30分から、石川県珠洲市で金沢大学主催フォーラム「世界農業遺産『能登の里山里海』のこれから」で、「森里海の復興から地域再生へ」と題して講演いただくことになった。この講演はユーストリームで配信予定だ。
⇒7日(土)午後・金沢の天気 くもり