自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「加賀百万石」いつまで通用するか

2018年05月13日 | ⇒キャンパス見聞

   先日、大学の留学生たちと話す機会があった。インドネシアからの女性は流ちょうな日本語で「金沢はストーン(石)の王国なんですね」と。「そうだね、石川県というくらいだからね。確かに石の王国だね」と返事をし、「でも、なんでそんなストーン王国なんて言うのか」と逆に尋ねると、「だって加賀百万石って言うでしょう」と。「ええっ」と一瞬言葉に詰まった。

    留学生は以前、兼六園を散策に行き、そのときインバウンド観光客の団体を案内していた日本人のガイドが「カガ・ワン・ミリオン・ストーンズ」と言っていたのを聞いて、「加賀百万石」のことかとガイドの案内に耳をそばだて納得したようだ。そのとき、ガイドは金沢城の石垣を指さして説明していたので、とても腑に落ちたという。「百万個もの石を使って、お城を造り、そして金沢に用水をはりめぐらせた加賀のお殿様はとても有能な方だったのですね」と留学生。

   「加賀百万石」は土木工事のことだと誤解されていると考え、「石(こく)はストーンではなく、昔はコメ(米)の容量のことを意味していて、180㍑分のコメの容量のことを表現しているので、それは誤解だよ」と説明した。留学生はけげんそうな顔つきで質問してきた。「だって石と漢字で書いてあるでしょう。よく分かりません」と。確かにそうだ。今の日本では「石」を容量として教えてはいない。一石や一升といった、いわゆる尺貫法は戦後の計量法により使われなくなった。今一般で使われているのはせいぜいが土地の広さを表す「坪」ぐらいではないだろうか、あるいは、農家が田んぼの面積を「町(ちょう)」「反(たん)」と使うくらいだ。

    「加賀百万石」と聞くと、日本人は「コメの石高が高い、裕福なお殿様」というイメージがなんとなくわくが、「石」が容量なのか重さなのかを説明できる人がどれだけいるだろうか。ましてや海外の人に「石」はコメの容量を表現するものだと説明しても理解されないだろう。さらに「一石は昔の人が1年間に食べるコメの容量の目安」と説明しても、さらに話がややこしくなるだけだ。

    ところが、石川県や金沢市の観光パンフレットには「加賀百万石の歴史と文化」を強調する内容が多々ある。このキャッチフレーズはインバウンド観光には使えないのではないかと、懸念する。日本人であっても、おそらく次の世代には「加賀百万石」の観光キャッチは通用しなくなるのではないか。

⇒13日(日)夜・金沢の天気     あめ

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