自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★中国の不動産危機という時限爆弾 日米韓はどう対応

2023年08月18日 | ⇒ニュース走査

    「中国の時限爆弾」が爆発した。メディア各社の報道によると、2年連続の巨額な赤字で経営危機に陥っている中国の不動産大手「恒大グループ」は17日、アメリカ・ニューヨーク州のマンハッタン地区連邦破産裁判所に連邦破産法15条の適用を申請した。連邦破産法15条は、再建をめざす外国籍の企業が申請する条項で、資産の強制的な差し押さえなどを回避でき、難航している外貨建て債務の再編協議の前進を狙っているものと見られる。ロイター通信Web版日本語(18日付)によると、恒大の負債額は先月末基準で3300億㌦(48兆円)にのぼっている。

   バイデン大統領が「中国は時限爆弾だ」と述べてニュース(今月12日付・読売新聞Web版)となっていたが、今回の恒大グループの破産申請を念頭に置いた発言だったのかもしれない。あくまでも憶測だ。恒大グループだけでなく、中国では不動産大手の経営危機が相次いで表面化していて資金繰りが悪化している中国最大級の不動産会社「碧桂園(カントリー・ガーデン)」に対しても市場の不安が高まっている。次なる時限爆弾なのか。

   朝鮮半島のある意味で時限爆弾と言えるのが北朝鮮問題ではないだろうか。読売新聞Web版(18日付)によると、国連安全保障理事会は17日、北朝鮮の人権問題に関する公開会合を開いた。ボルカー・ターク国連人権高等弁務官は会合冒頭に「北朝鮮で数十年にわたって人権侵害が続いている」と指摘し、子供を含む強制労働などが軍事機構と武器製造能力を支えていると強調した。11年に脱北した男性28歳が会合に出席し、「政府は私たちの血と汗を指導者のぜいたくな生活とミサイルに変えてしまう」と語った。日本と米欧各国も核・ミサイル開発を優先する北朝鮮の姿勢を強く非難した。北朝鮮の人権に関する安保理会合が公開で行われたのは2017年以来で6年ぶり。

   アメリカのワシントン郊外にあるキャンプ・デービッド山荘で、日本時間のあす19日未明、岸田総理とバイデン大統領、尹大統領との日米韓3か国の首脳会談が行われる(18日付・NHKニュースWeb版)。中国や北朝鮮の動向などを踏まえて、安全保障協力の強化を確認する見通し。また、日米韓国による半導体などのサプライチェーンの強靭化といった経済安全保障分野での連携などでも一致するものとみられる。さらに、時限爆弾となっている中国の不動産危機が3か国や世界に及ぼす影響などについても議論するに違いない。その意味で実にタイムリーな首脳会談なのかもしれない。

(※写真は、ことし5月21日、広島市でのG7サミット後に行われた日米韓首脳間の意見交換=外務省公式サイト「日米韓首脳間の意見交換」より)

⇒18日(金)午後・金沢の天気   くもり時々はれ

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