自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆盆過ぎても猛烈な残暑 「寝釈迦」の積乱雲に思うこと

2023年08月29日 | ⇒トピック往来

   盆を過ぎても猛烈な残暑が続く。きのう28日、能登半島で一番高い山として知られる宝達山(637㍍)のふもとの国道を走行していると、積乱雲が山を覆っているのが見えた。よく見ると、右腕を腕枕にして寝ている姿のようにも見え、まるで「寝釈迦」だと思い、シャッターを切った=撮影午後3時57分=。

   雲の面白いカタチは想像をたくましくさせてくれるが、積乱雲には気を付けたい。もう15年も前のことだが、「ダウンバースト」という現象が起きた。航空自衛隊がある石川県小松市。2008年7月27日午後3時半ごろ、突風が吹き荒れた。航空自衛隊小松基地が観測した最大風速は35㍍で、「強い台風」の分類だ。このため、神社の高さ4㍍の灯ろうが倒れたり、電柱が倒壊したり、民家70棟の窓ガラスが割れるなど被害が及んだ。このとき、小松基地が発表するのに使った言葉が「ダウンバースト」だった。積乱雲から急激に吹き降ろす下降気流。ダウンバースト、初めて聞いた言葉だった。

  同じ日に積乱雲の「ガストフロント」という現象が起きた。福井県敦賀市や滋賀県彦根市で午後1時ごろ、最大瞬間風速21㍍余り。敦賀では「西の空が急に暗くなって雨が強くなって、突風がきた」。このため、イベントの大型テントが横倒しになった。福井地方気象台では突風の原因を「ガストフロント」と説明した。非常に発達した積乱雲が成熟期から衰退期かけて発生する雨と風の現象。小型の寒冷前線のようなものでその線に沿って突風が吹く。北陸に前線が停滞し積乱雲が発生、ガストフロント現象が起き、その前線となった金沢では豪雨が、小松、敦賀、彦根では風速21㍍から35㍍のダウンバーストが発生した。

   地球環境学者のレスター・ブラウンは著書『プランB3.0』(2008)で述べている。「温暖化がもたらす脅威は何も海面の上昇だけではない。海面温度が上昇すれば、より多くのエネルギーが大気中に広がり、暴風雨の破壊力が増すことになる。破壊力を増した強力な暴風雨と海面の上昇が組み合わされば、大災害につながる恐れがある」と。

   レスター・ブラウンの警鐘が現実になった。異常気象は世界を覆っている。ことしの7月の暑さが記録的だったことから、国連のグレーテス事務総長は「the planet is entering an "era of global boiling"(地球は沸騰化の時代に入った)」と述べた。ことし11月から開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、二酸化炭素を排出するすべての化石燃料の段階的廃止の具体化が決議されるのではないか、と自身は注目している。

⇒29日(火)午前・金沢の天気    はれ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする