きょうは1月23日、東京オリンピックの開会式まであと6ヵ月だ。その開催をめぐって世界にニュースが走っている。イギリスの「タイムズ」紙WEB版(1月21日付)が「Japan looks for a way out of Tokyo Olympics because of Covid」の見出しで、IOCと日本政府との間で、ひそかに東京五輪を中止し、2032年の開催を目指す道を探っていると報じた=写真=。タイムズは1785年創刊の世界最古の日刊紙であり、世論形成の役割を担うメディアの一つだ。ニュースを目にした世界の人々は妙に納得しているかもしれない。
タイムズと同じく世界のメディアとして存在感を示している、イギリスのBBCニュースWeb(20日付)も「Tokyo Olympics 'unlikely to go ahead in 2021'」の見出しで「2021年開催は無理」と、ロンドン五輪(2012年)の元最高責任者の言葉を引用して述べている。この2つのメディアが「開催は無理」とのニュースを流すと、世界のニュースのトレンドが定まってしまうので恐ろしい。
開催は無理なのだろうか。ワクチンが世界に十分に供給されていない状況で、世界中から33競技に出場する1万1000人の選手、加えて審判員が東京に集まる。1万人のランナーが参加する聖火リレーは3月25日に福島県をスタートにゴールの東京都まで121日間かけて行われる。大会では競技場や選手村で活動する「フィールドキャスト」と呼ばれるボランティアが8万人、選手の移動に2190台のバスが用意されるとの報道(1月23日付・NHKニュースWeb版)がある。開催の有無は遅くとも、3月25日の聖火リレーが始まる前に決断しなくては、その途中で開催中止の発表をするわけにもいかないだろう。
東京五輪・パラリンピックの開催都市契約はIOCと東京都、日本オリンピック委員会(JOC)の3者で締結しているので、この際、この3者で「開催条件」を明示すべきではないだろうか。たとえば、選手や審判員のワクチン接種など具体的な条件を明らかにする。その進捗度で開催する、しないを決める。国内でもワクチン接種をすることで観戦が可能などといった条件があれば、分かりやすい。繰り返しになるが、いつまでにどんな基準を満たしていればオリンピックを開催するのかという「開催条件」を明確に示すことだ。そうでなければ、国民の気持ちがまとまらない。もちろん、他の参加国における条件も決めておくべきだろう。
話は前後するが、IOCのバッハ会長は22日、各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)とオンラインで意見交換し、大会開催への固い決意を重ねて示した。バッハ氏はタイムズによる「日本政府が中止せざるを得ないと内々に結論付けた」との報道を「フェイクニュース」と否定した上で、日本の準備状況を高く評価。NOCに対し、大会への準備に関するアンケートを近く行う方針を示した(1月22日付・共同通信Web版)。
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