自在コラム

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★一縷の望み託すゼレンスキー、世論調査で高評価、これは「トランプ効果」なのか

2025年03月06日 | ⇒ニュース走査

  これは「トランプ効果」なのか。きょう6日の外国為替市場で対ドルの円相場が一時1㌦が147円台に上昇した。2024年10月上旬以来で、5ヵ月ぶりの円高・ドル安水準をつけた。日銀の追加利上げ観測が高まっていて、日米金利差の縮小を見込んだ円買いが加速したようだ。トランプ大統領は3日にカナダとメキシコに対して25%の関税を予定通り発動すると述べた会見で日本の為替についても言及し、「日本の指導者に電話して『自国通貨の切り下げを続けてはならない』と伝えた」と話していた。現在の円安・ドル高に非常に懸念を抱いていて、「われわれは関税で埋め合わせをする」と意味深なことを発言していた。トランプ発言があった日の終値は1㌦=149円台だったが、その後徐々に円高にぶれていた。

  世論調査にもトランプ効果が見える。あの施政方針演説は、辛口で言えば「自画自賛」の演説だったが、アメリカ国民には好反応だった。アメリカのCNNが演説終了後に実施した緊急世論調査では、演説を「とても前向き」と評価する人が44%、「どちらかといえば前向き」とした人は25%となり、7割近くが内容を支持。また、CBSテレビの調査では、演説に対する評価は「強く支持」が58%で、「どちらかといえば支持」が18%だった。「強く反対」は16%、「どちらかといえば反対」が7%だった。 演説を見た視聴者の割合は共和党支持層が51%、無党派層が27%。民主党支持層は20%だった。トランプ氏が示した政策分野別では、「国境・移民対策」「政府支出の無駄削減」に対して77%が支持。「ウクライナとロシアの紛争」は73%、「関税」は65%が賛成した(6日付・産経新聞Web版)。(※写真は、NHK-BSで中継されたアメリカのトランプ大統領の施政方針演説)

  それにしても、意外だったのは施政方針演説の中で語られたゼレンスキー大統領からの書簡だった。トランプ氏とゼレンスキー氏による首脳会談は口論の末に決裂、その後、アメリカはウクライナへの軍事支援を一時停止という事態に陥っていた。トランプ氏は演説の中で、ゼレンスキー氏から書簡を受け取ったことを明らかにし、「恒久的な平和に近づくためにできるだけ早く交渉の場に着く用意がある」「平和を手に入れるためにトランプ大統領の強い指導力の下で協力する用意がある」と書かれてあったと述べた。さらに、首脳会談の後で署名する予定だった鉱物資源の共同開発をめぐる協定については「いつでも署名する用意がある」と表明があったと語った。

  ゼレンスキー氏からの書簡に対し、トランプ氏は「彼がこの書簡を送ってくれたことに感謝する」と述べていた。現在、実務者レベルで首脳会談を再度設定することで動ているようだ。仲直りはうまくいくのか。この一件で少々辛口の論評もある。イギリス国営放送BBCは「Perhaps Zelensky has run out of political road」とゼレンスキーに皮肉を込めている。ゼレンスキー氏は政治的な選択肢を使い果たしてしまったようだ、と。なので、一縷(いちる)の望みを託してトランプ氏にすがるしかないのではないか、と。

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