自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登半島地震 再生への希望の光を「現代集落」に見る

2024年02月22日 | ⇒ドキュメント回廊

  前回のブログで述べた「現代集落」について。この言葉を初めて聞いたのは2021年3月だった。能登半島の尖端、珠洲市で開催された「能登SDGsラボ2021シンポジウム」に参加し、金沢市内で貸切宿「旅音/TABI-NE」を手広く経営する林俊吾氏が「なぜ珠洲がこれからの世界の最先端になると思うのか」と題して講演した。能登半島には「限界集落」が存在すると言われているが、むしろ「現代集落」になる可能性があるのと能登での自らの取り組み紹介した。

   その取り組みとして、同市真浦(まうら)地区=写真=で限界集落を現代集落へと再生するプロジェクトへを立ち上げたと説明していた。水や電気や食を自給自足でつくる集落をつくり、自然のなかで楽しむ生活を「ビレッジDX」と位置付けていた。そのキーワードが「シコウ」だった。「思考」を凝らし、「試行」錯誤し、自らの手で「施工」もする、そして「至高」の現代集落を創るとのことだった。同地区の空き家を活用して手造りで改装し、風力発電や有機農業、そしてリモートワークを手掛ける、そんな生活を目指す、と。

   このプロジェクトにはその後、建築家や大学の研究者なども加わり盛り上がっていると耳にした。その年の9月に初めて見に行った。休日を利用して若い人たち10人余りが空き家の改装作業をしていた。海が見える「納屋カフェ」に入った。農家の納屋を小ぎれいに改装した喫茶店。当時、同市では「奥能登国際芸術祭」が開催されていて、期間限定でカフェを営業ということだった。そう言われると、納屋カフェもアートのように思えるから不思議だった。2階はリモートワークで仕事をする若者たちのワークスペースになっていた。

   先日(2月16日)のシンポジウム「能登半島地震を考える-現地からの声-」で建築家の小津誠一氏が「現代集落」再生プロジェクトは30年計画だが、それを10年に早めて若者たちが集う集落にしたいとコメントしていた。能登にとっての希望の光にもなる。ぜひ実現してほしいと願う。

⇒22日(木)夜・金沢の天気   くもり


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