自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「易地思之」という言葉

2021年03月01日 | ⇒ニュース走査

   きょうから3月、季節は移ろう。金沢では日中の最高気温が21度まで上がり、春というより5月の初夏を感じさせる暖かさだった。ふと気づくと、すでに樹木の葉が芽生えて、地べたでは雑草が生えている。「草木萌え動く」。冬の間に蓄えていた生命の息吹が一気に現れる季節でもある。さらに、世界も動き出すのか、隣国から強烈なメッセージが届いた。

   読売新聞Web版(3月1日付)によると、中国国防省は1日、沖縄県・尖閣諸島の周辺海域で続いている中国当局による領海侵入について、「中国公船が自国の領海で法執行活動を行うのは正当であり、合法だ。引き続き常態化していく」とする方針をSNS上で発表した。一方、海上保安機関・海警局(海警)などの船が尖閣諸島に上陸する目的で島に接近した場合、日本側は相手を負傷させる可能性のある「危害射撃」を行える場合があるとの見解を日本政府が示したことについて、中国外務省報道官は1日の定例記者会見で「いかなる挑発行為にも断固対応する」と反発を示した。

   脅しの口実とタイミングが巧妙だ。中国は先月、海警局の船に武器の使用を認める「海警法」を施行したことから、日本では懸念が高まり、相手を負傷させる可能性のある「危害射撃」を行える場合があるとの見解を示していた。それを中国は「いかなる挑発行為にも断固対応する」と反発した。中国は明らかに尖閣支配に向けてギアを上げている。

   さらに注目していたのは韓国からのメッセージだった。韓国の中央日報Web版日本語(3月1日付)によると、文在寅大統領は、1919年3月1日に日本の統治下で起きた独立運動を記念する三一節記念式典で演説した。日本と韓国の関係については「韓国政府は常に被害者中心主義の立場で賢い解決策を模索する」と述べ、「わが政府はいつでも日本政府と向き合って対話をする準備ができている」とし「易地思之(相手の立場に立って考える)の姿勢で向き合えば、過去の問題も賢明に解決できると確信している」と強調した。

   さらに、「今年開催される東京オリンピックは韓日間、南北間、日朝間、そして米朝間の対話の機会になる可能性がある。韓国は東京五輪の成功に向けて協力する」と語った(同)。

   文氏のメッセージは強烈かと思ったが、ある意味で肩透かしだった。ただ、「易地思之」という言葉が気になった。自身はこの四字熟語を初めて見た。ネットで調べると韓国の政治家がよく使う言葉のようだ。この言葉は注意する必要がある。自分が相手の立場に立って考えるのか、相手に自分の立場を考えさせるのか、使い方によって二通りある。日本の政治家が真似してヘタに使うと、いわゆる元慰安婦問題や元徴用工問題で日本側が理解を示したと喧伝されるかもしれない。ハニートラップのような政治の言葉かもしれない。

⇒1日(月)夜・金沢の天気     はれ


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