自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登の震度6強 避難所に「バンさんのマジキリ」

2023年05月17日 | ⇒ドキュメント回廊

   前回ブログの続き。今回の地震6強の揺れで家屋などの被害が大きかった珠洲市正院町を歩いていると、横から声をかけられた。市長の泉谷満寿裕氏だった。金沢大学が2006年に開設した、生物多様性の学び舎「能登半島 里山里海自然学校」は泉谷市長との協働作業で同市で実現したプロジェクトだった。その経緯から、これまで何かと声をかけていただいている。

   立ち話で、「バンさんのマジキリがすごいので見に行かれたらいい」と。「バンさんのマジキリ」の意味が分からなかったが、「それはどこにありますか」と尋ねると、「大通りを右にまわって、駐在所の後ろにある正院公民館にある」とのことだった。

   さっそく行ってみると、公民館は避難所だった。玄関でスタッフに「バンさんのマジキリはどこにありますか」と尋ねると、案内してくれた。正直な話、珠洲市は国際芸術祭を開催しているので、泉谷市長から「バンさんのマジキリ」と聞いて、芸術作品かとも思っていた。ところが、実際に見てみると、避難所のパーテーションだった=写真・上=。

   スタッフの説明によると、建築家の坂茂(ばん・しげる)氏は、被災した人々にプライバシーを確保する避難所用の「間仕切り」の支援活動を行っていて、同市にもその間仕切りが寄贈された、とのこと。間仕切りは木製やプラスティックなどではなく、ダンボール製の簡単な仕組み。カーテン布が張られているが、プライバシー確保のために透けない。中にあるベッドもダンボールだ=写真・下=。坂氏は1995年の阪神大震災を契機に災害支援活動に取り組んでいて、このような「バンさんのマジキリ」を開発したようだ。

   それにしても、泉谷市長からいきなり「バンさんのマジキリ」とは別の意味があるのではと考えてしまった。そこで、「珠洲市」「坂茂」でネット検索すると、ことし9月に開催を予定している「奥能登国際芸術祭2023」に向けて、日本海が見える丘にある劇場型民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」の隣接地でカフェがオープンすることになっている。その建築設計を担当しているのが坂氏だった。おそらく、泉谷市長は坂氏とこれまで面談を重ねている。なので、「バンさん」と親し気な表現なのだと理解できた次第。

⇒17日(水)午後・金沢の天気   はれ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆能登の震度6強 目にした崩... | トップ | ☆ラッピング紙面の発信効果を... »

コメントを投稿

⇒ドキュメント回廊」カテゴリの最新記事