自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登の海 ジンベイザメは悠然と

2022年07月18日 | ⇒トピック往来

   きょうは18日は「海の日」。海の日が制定された1996年は「7月20日」だったが、2003年からは祝日法の改正で「ハッピーマンデー制度」が導入され、「7月の第3月曜日」となった。海の日でぎわっているのは、能登半島の真ん中、七尾市能登島にある「のとじま水族館」ではないだろうか。 

   ことしで開館40年となるのとじま水族館には最近まで毎年のように訪れていた。金沢大学の教員時代に、単位科目として「能登の世界農業遺産を学ぶスタディ・ツアー」(2泊3日)を企画して、学生や留学生を連れて、能登の里山里海の生物多様性や文化多様性を学ぶフィールド実習に出かけていた。その目玉の一つがのとじま水族館だった。

   能登の海にはジンベエザメやクジラ、エイなどが泳いでいて、海の生物多様性に優れているといわれる。のとじま水族館は能登近海に回遊してくる南方海域に生息する温水系の大型魚類などを中心に500種4万点を展示している。その水族館のスターは何と言っても、ジンベエザメだ。水族館のジンベイザメは能登の地元の定置網で捕獲されたもの。

   体の大きさの割には威圧感がない。ジンベエザメは和名だが、模様が着物の甚兵衛に似ているからとの説も。小魚やプランクトンがエサで動きがゆったりしているので、人気があるのだろう。体長が6㍍になると、水槽としては小さくなることから、GPS発信機をつけて再び海に放される。ジンベイザメの回遊経路などがこれによって調査される。東南アジアからの留学生たちは珍しそうに、食い入るように見学していた。

   それにしても、地球規模から見れば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜジンベイザメやクジラ、イルカ、そしてブリやサバ、フグ、イカ、カニなど多様な生き物が生息するのか。一つの説だが、春になると大陸のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠で舞い上がった大量の黄砂が偏西風に乗って日本海に注ぐことになる。3月、4月に「ブルーミング」と呼ばれる、海一面が白くなるほど植物プランクトンが大発生する。黄砂の成分といえるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促される。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという食物連鎖があるとの研究がある。

   話は冒頭に戻るが、海の日の趣旨は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことにある。能登半島から海を眺めると話は尽きない。

⇒18日(月)午後・金沢の天気     くもり


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆警備の死角はどこにあったのか | トップ | ☆この宗教法人はなぜ「治外法... »

コメントを投稿

⇒トピック往来」カテゴリの最新記事