自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登地震さらなる余波 墓石とジンベエザメのブルーな話

2024年07月20日 | ⇒ドキュメント回廊

  前回ブログでは能登半島地震による損壊家屋の修理についての新たな動きについて述べた。能登を巡っていて、家屋のほかに墓地の損壊も目に付く。写真は今月6日に能登町のある集落を訪ねた折に撮影したものだ。墓石の塔の部分に当たる竿石(さおいし)や墓前の灯篭などが転がって倒れている。骨壺を納める場所(納骨室)がむき出しになっていたのだろうか、ブルーシートが被せてある。20基ほどある墓のほとんどが損壊していた。

  近所の人と話をすると、「石屋に修理を依頼しているが手が回らんようで、墓参りに間に合うかどうかは分からん」とのことだった。能登の墓参りは8月の旧盆が多い。以下は個人的な想いだ。被災した人たちの生活再建が優先で、墓石はその後でも致し方ない。修理の順番待ちで2年かかろうが3年かかろうが、墓参りを絶やさないことが何よりの先祖供養ではないだろうか。

  話は変わる。きょう七尾市能登島にある「のとじま水族館」が半年ぶりにオープンしたと地元メディア各社が伝えている。今回展示されたのは210種7500匹の海の生き物たち。震災前は400種2万2000匹いたが、地震による施設や設備の損壊で90種3400匹が犠牲になった。今回展示されたのは生き残った生き物たちの一部で、これから徐々に展示を増やしていくという。

  犠牲になったなかでスーパースターだったのがジンベエザメの「ハチベエ」と「ハク」だった。4.5㍍を超える大きさだったが、体の大きさの割には威圧感がなかった。動きがゆったりしていて、眺めているだけで癒しを与えてくれた。 ハチベエとハクが死んだ原因は報道によると、水槽が水漏れで水位が半分以下となり、循環ポンプの水没や濾(ろ)過設備が停止。応急措置として水槽に海水を投入して水位を保ったものの、水温が低くなりすぎるなど生育環境が悪化して死に至った。(※写真は、2018年9月に撮影した「のとじま水族館」のジンベエザメ)

  ハチベエとハクは体長が6㍍になると再び海に放される予定だった。以下、素人の勝手な意見だが、そうならば、水槽に水漏れ事故が起こった段階で2匹を海に放出してもよかったのではないだろうか。ハチベエとハクは近くの七尾湾の定置網で捕獲されたジンベエザメなのだ。「地元」に返してやれば生き抜くチャンスはあったのかも知れない。

  季節は夏本番へと移ろう。周りに見える景色も徐々に復旧・復興へと変化してほしい。

⇒20日(土)夜・金沢の天気   くもり


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