アメリカCNNのニュースWeb版(12月11日付)で、覆面のパロディ画家、バンクシーの新作を楽しませてもらった。「Aachoo!! : Banksy confirms new sneezing woman mural as his latest work」と題した話題で、イギリス・イングランドの民家の壁に描かれている。くしゃみをする老婆が顔をゆがめ、手にしていたステッキとポシェットを思わず放り出し、口から噴き出した飛沫の先には入れ歯が飛んでいる=写真・上=。笑える壁画だが、よく考えると、日本でも極たまに街で見かける光景ではある。
話は変わる。けさ金沢では10㌢ほどの積雪になっていた。この時季、さらに積もると近所の人たちがスコップで道路の雪すかし(除雪)を始める。自宅の前の雪は自分たちで除雪する。雪国の住民の「自助・共助」の美しい街の光景ではある。ただ、今日的な問題もはらんでいる。スコップだ。
かつて、鉄製が多かったが、軽量化とともにアルミ製に変化。さらに、最近はプラスチックなど樹脂製が主流だ。除雪する路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとプラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。微細な破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。
粉々に砕けたプラスチックが海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。
この不都合は真実の解決方法はただ一つ。一部には製品化されたものもあるが、スコップのさじ部分の尖端を金属にすることだろう。これを法令で措置すべきではないだろうか。雪国・秋田出身の菅総理ならばこの解決策のイメージはわくかもしれない。「2050年のカーボンニュートラル」宣言の次は、「マイクロプラスチック・ゼロ宣言」を出してほしい。
⇒20日(日)朝・金沢の天気 ゆき
金、ゴールドの価値は世界共通のものだ。そして、金属であり、伸びる特性がある。それを極限まで薄く伸ばしたのが「金箔」である。400年以上の伝統があるとされる縁付(えんづけ)金箔の製法がユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まった。文化財建造物の保存には欠かせない「伝統建築工匠の技」の一つ。金箔のほかに、屋根をふく技術の「ひわだぶき・こけらぶき」、そして「かやぶき」、文化財建造物を装飾する技術の「建造物漆塗」、壁の表面を土やしっくいで仕上げる「左官」や、「畳製作」など17の技術がまとめて登録された(文化庁公式ホームページ)。
縁付金箔の製造現場をこれまで何度か見学する機会があったが、その技と金の耐久性には驚く。柿渋などにつけ込んだ専用の和紙に金をはさんで打ち延ばし、1万分の1㍉の薄さにする。金沢の伝統的な技法だ。こうした職人技は金沢の誇りでもある。そして、建物だけでなく仏像などの国宝の修復にも使われる。文化財は金箔の技術なしでは維持することはできない。まさに、有形と無形の文化遺産は密接に結び付いていると、現場を見て思う。
金沢では金箔は体によいとされ、金箔を入れた日本酒、化粧品、うどんもある。かつて、金沢の子どもたちが頭にたんこぶをつくると、膨らんだ部分に金箔をはっていた。そして、知人からかつて聞いた話。金箔製造業者は潰れない(倒産しない)。なぜなら、金の価格が安いときに材料として仕入れ、高くなれば売って経営を安定させる。「良質な金を見極める目利きであり、金のトレーダーだよ」と知人は妙にほめていたことを覚えている。
今回の登録で国内の無形文化遺産は「和食」や「和紙」などに加えて22件。石川県内では、単独で登録された農耕儀礼「奥能登のあえのこと」を始め、七尾市「青柏祭の曳山」(「山・鉾・屋台行事」の一つ)、輪島市・能登町「能登のアマメハギ」(「来訪神 仮面・仮装の神々」の一つ)に続いて4例目となる。
(※写真は金沢金箔伝統技術保存会ホームページより)
⇒19日(土)夜・金沢の天気 ゆき
強い冬型の気圧配置で北陸には断続的に雪が降ってはいるが、金沢の自宅周辺でも積雪は数㌢だ。気象庁の予報によると、日本海側はこれからも雪が続く見込みで、平地でも大雪のおそれがある。数㌢の積雪でも雪を侮ってはいけない。路面の凍結で転倒したり、交通事故が多発する。そして、樹木にとっても雪は「重荷」となる。とくに、北陸の雪は湿気が多く、いわゆるパウダースノーではない。その分、重いのだ。
例年12月中頃に造園業者に「雪吊り」の作業を依頼している。ことしはきのう16日に作業をしてもらった。15日から積雪があり北陸地方は大雪との予報が出ていたので、作業そのものができるのか心配だったが、なんとか冬将軍が来る前に間に合った。
金沢の造園業者は雪吊りにかけてはなかなか「うるさい」(技が優れている)。雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法がある。庭木に雪が積もると、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」と言って、樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。そこで、プロは樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」の雪害対策の判断をする。毎年見慣れている雪吊りの光景だが、縄の結び方などがまったく異なる。
雪吊りで有名なのは「りんご吊り」だ=写真・上=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっていることろが、アートなのだ。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様な手法を用いていたようだ。
低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・下=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。秋ごろには庭木の枝葉を剪定してもらっているが、ベテランの職人は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うという話だった。このために強く刈り込みを施すこともある。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に成長して、雪害の要因にもなる。庭木本来の美しい形状を保つために、常に雪のことが配慮される。「うるさい」理由はここにあるようだ。
この時節、周囲の庭木の雪吊りを眺めながら、スコップで雪すかし(除雪)をする。玄関前の雪を側溝に落とし込む。10分ほどの軽い運動でもある。冒頭で述べたように雪を甘く見てはいけない。一夜にして50㌢を超える積雪だと数時間の重労働となる。(※写真は2019年1月の積雪と雪吊り)
⇒17日(木)午前・金沢の天気 くもり
フジテレビのリアリティ番組『テラスハウス』に出演した女子プロレスラーが自死した問題で新展開があった。読売新聞Web版(12月16日付)が報じている。警視庁は近く、ツイッターで女子プロレスラーを中傷したとして、大阪府の20歳代の男を侮辱容疑で書類送検する方針。女性に匿名の誹謗中傷は数百件に上ったが、中でもこの男が女性のツイッターの投稿に対し、「生きている価値あるのかね」「いつ死ぬの?」などと複数回にわたって返信の書き込みを繰り返し、公の場で侮辱した疑い。警視庁では、摘発して処罰の可否を問う必要があると判断した。
問題のシーンは『テラスハウス』の38話で、同居人の男性が女子プロレスラーが大切にしていたコスチュームを勝手に洗って乾燥機に入れたとして怒鳴り、男性の帽子をはたく場面だ。この38話は3月31 日に動画配信サービス「Netflix」で流され、SNSコメントで批判が殺到した。この日、女子プロレスラーは自傷行為に及び、それをSNSに書き込んだ。フジの番組スタッフがこのSNSを見つけ、本人に電話連絡をとっている。ところが、フジは5月19日未明の放送で、SNSで批判された問題のシーンをカットすることなく、そのまま流した。女子プロレスラーは5月23日に自ら命を絶った。
女性の母親は、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったとBPO(放送倫理・番組向上機構)に申し立てを行った(7月15日)。番組でプロレスのヒール(悪役)のキャラクターを演じるよう指示され、「番組内に映る虚像が本人の人格として結び付けられて誹謗中傷され、精神的苦痛を受けた」として、人格権の侵害を訴えた。併せて、「全ての演出指示に従うなど言動を制限する」などの条項を含む「誓約書兼同意書」によって自己決定権が侵害され、人権侵害に相当すると訴えた。
これに対し、フジテレビ側は7月31日付で内部調査の検証報告を公式ホームページで掲載した。聞き取りを番組のプロデューサー、ディレクター、制作現場のスタッフ、出演者、女子プロレスラーの所属事務所の関係者ら27人に対して行った。番組について「予め創作した台本は存在せず、番組内のすべての言動は、基本的に出演者の意思に任せることを前提として制作されていた」としたうえで、調査では「制作者が出演者に対して、言動、感情表現、人間関係等について指示、強要したことは確認されなかった」としている。
BPO放送人権委員会は遺族からの申し立てを受け、これまで10月20日と11月17日の2回審理を行っている(BPO公式ホームページ)。今回の警視庁の書類送検によって、今後の審理ではSNS上に批判が殺到した理由、さらに、なぜ5月19日にそのまま放送したのか、フジの姿勢が問われるのではないだろうか。故意に「侮辱」を煽ったのかどうかだ。
(※写真は5月23日付のイギリスBBCニュースWeb版で掲載された女子プロレスラーの死をめぐる記事)
⇒16日(水)夜・金沢の天気 くもり
けさ大学からの一斉メールで、鳥インフルエンザウイルスに関する注意喚起の文書が届いた。この鳥インフルエンザウイルスは新型コロナウイルスと同時に日本で猛威をふるっている。鳥インフルエンザウイルスは、野鳥観察など通常の接し方では、ヒトに感染しないと考えられているが、どのような注意喚起なのか。
「野鳥との接し方について」とPDF文書だ、「○ 死亡した野鳥など野生動物は、素手で触らないでください。また、同じ場所でたくさんの野鳥などが死亡していたら、お近くの都道府県や市町村役場にご連絡ください。」「○ 日常生活において野鳥など野生動物の排泄物等に触れた後には、手洗いとうがいをしていただければ、過度に心配する必要はありません。」「○ 野鳥の糞が靴の裏や車両に付くことにより、鳥インフルエンザウイルスが他の地域へ運ばれるおそれがありますので、野鳥に近づきすぎないようにしてください。 特に、靴で糞を踏まないよう十分注意して、必要に応じて消毒を行ってください。」「○ 不必要に野鳥を追い立てたり、つかまえようとするのは避けてください。」
金沢大学は中山間地、いわゆる里山に位置するため、バードウオッチィングなどには最適だ。双眼鏡を手にして山歩きをする学生たちの姿も見かける。そして、実際に山に入ってみると、鳥の死骸や排せつ物を見かけることがある。ただ、山道に落ちていると、知らぬ間にスニーカーで踏んづけているものだ。そう考えるとこの時季はうかつに山に入れない。そして、駐車場に車を停めておくと、鳥のフンがフロントガラスに落ちていることがある。これもガソリンスタンドで念のために洗車をした方がよさそうだ。あれこれ考えながら文書を読んだ。
さらに鳥インフルエンザウイルスと同時に、シベリアから強烈な寒気団も近づいている。北陸地方はあす15日から16日ごろにかけて大雪となる恐れがあると予報が出ている。ここ数年、大雪になると気象予報士が使う言葉に「JPCZ」がある。日本海寒帯気団収束帯(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)のこと。シベリアからの寒気団が北朝鮮の最高峰である白頭山(標高2744㍍)にぶつかって分断されるが、その南の下で再び寒気団がぶつかって収束することで、帯状の雪雲の列となって日本の本州へ流れ込んでくるそうだ。2017年12月17日に降った大雪では、金沢市内で積雪が30㌢に達した。
今回も大雪となると、つい案じてしまうのが雪道での交通事故だ。12月中頃では、金沢でもスタッドレスタイヤなど雪道用タイヤの取り換えに間に合っていない乗用車やトラックが多い。ましてや、16日に雪マークがついている名古屋では危険だ。凍結路面などでスリップ事故が多発するのだ。新型コロナウイルス感染で病床数にそれほど余裕がないところにきて、さらに交通事故で重傷患者が運ばれてきたら大変だ。「医療崩壊」に拍車をかけることになるのではないか、とさえ思ってしまう。
(※写真は、2017年12月、自宅近くの市道でスリップ事故で電信柱に衝突した貨物トラック)
⇒14日(月)午前・金沢の天気 くもり時々あめ
ジャーナリストの受難が続く。イギリスBBCのWeb版(12月12日付)は「Ruhollah Zam: Iran executes journalist accused of fanning unrest」と、イランは不安を扇動したとして、ジャーナリストのルホラー・ザム氏を処刑したと報じている=写真・上=。ことし6月にザム氏はデモを扇動したとしたとして、ことし6月に死刑判決を言い渡されていた。
BBCの記事によると、2017年12月に起きたイランの反政府デモは、物価高騰に市民による抗議活動だった。ザム氏はフランスのパリを拠点にして、通信アプリ「テレグラム」のニュースサイトを運営し、フォロワー140万人に向けて、抗議活動の映像などを情報発信していた。去年10月、いわゆる「ハニートラップ」でフランスからイラン入国したところを逮捕された。人権団体アムネスティ・インターナショナルは「抑圧の武器として、死刑が使われている」とイランを非難し、死刑の執行を取りやめるよう訴えていた。
香港では、中国批判で知られる「蘋果日報(アップル・デイリー)」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏に対する詐欺罪での初公判が開かれ、保釈申請を却下して収監を命じた。黎氏は即日収監された。黎氏はことし8月に香港国家安全維持法(国安法)違反と詐欺などの疑いで香港警察に逮捕された後、保釈されていた。今回は逃亡や再犯の恐れを理由に保釈申請が認められず、収監された(12月3日付・BBCニュースWeb版)=写真・下=。
詐欺罪はどのような内容だったのか。蘋果日報を発行する「壱伝媒」の本社があるビルで、不動産の貸借契約に反し、黎氏が別会社に一部を提供して不正に利益を得たとして詐欺罪に問われてた。「また貸し」が詐欺として罪に問われたというのだ。香港の転貸に関する法律を理解してはいないが、日本ならば、無断転貸の場合、ビルのオーナーは賃貸借契約を解除することになるだろう(民法612条「賃借権の譲渡及び転貸の制限」)。民事をあえて刑事事件として問い、収監におよぶところに政治的なむき出しが見て取れる。
⇒13日(日)朝・金沢の天気 くもり時々あめ
元新聞記者、元テレビ番組ディレクターを経験したせいか、地域にこういった事件が起きると、「なぜだ」と妙に血が騒ぐ。きのう10日、石川県七尾市の市会議員が金属バットを持って議会事務局に入り、駆け付けた警察官に現行犯逮捕された。この議員は77歳、10期目のベテランだ。一夜明けて、その「なぜだ」の問いが断片的ながら見えてきた。きのうに引き続き、ブログのネタに。
きのうのブログで「過去に無用にバットを振り回し周囲を威嚇するような行為があったのだろう。市役所の職員の対応はその経験則ではないかと察する」と憶測を述べた。きょうの地元紙によると、やはり、過去にも「金属バット歴」があるようだ。逮捕された市議、杉本忠一容疑者はきのう午前10時半ごろに七尾市役所に金属バットを持って入った際、市役所職員が警察に通報。杉本容疑者が議会議長の杉木勉氏と議会棟のロビーで面談する際、脇にバットを置いたため、議会事務局の職員が隙を見て、バットを取り上げた。駆け付けた警察官は任意同行を求めたが、杉本容疑者は「素振りなどの運動をするために持っていた」と警察の要請を拒否。警察は迷惑防止条例違反で午前11時20分ごろ現行犯逮捕した。市役所職員のこの機敏な行動(警察への通報、バットの取り上げ)は経験則だと直感した。
きょうの地元紙によると1995年に市職員に暴力をふるおうとするなど荒っぽい言動があり、議員辞職勧告を議会から受けたことがある(12月11日付・北國新聞)。また、同僚の議員とトラブルを起こしてバットで殴りかかろうとしたほか、市職員や議員に暴力を振るおうとするなど荒っぽい言動やトラブルが目立つと議会関係者は話している(同・北陸中日新聞)。暴力には至らなかったものの、その寸前での行為が目立った。市職員の経験則にはこうしたリアルな背景があった。
もう一つの疑問だ。なぜ金属バットを持って議長と面談をしに行ったのか。ことし10月に同市の市長が選挙によって交代した。現職を応援したのが杉本容疑者、前職を応援したのが議長だった。今月8日の議会一般質問で、前職を支持した議員が現職の市長に対して、「市長選で用いた討議資料の中で、七尾市のごみ処理施設の予定価格が非公開だったため、談合が行われたとの記載があるが、予定価格は公開されていた。記載が間違っており、市民に謝罪を」と厳しく追及した。これに対し、杉本容疑者は「裁判所の検事のように追及するな」などとやじを繰り返したため、議長から何度も注意を受けた。また、翌日9日は杉本容疑者自身が一般質問をしたが、通告にはない話をしたとした議長から再度注意を受けていた(同・北陸中日新聞)。
議会で注意を受けたことに逆に遺恨の念をもったようだ。同情の余地がない。
⇒11日(金)夜・金沢の天気 くもり
「地ダネ」だ。石川県警七尾署はきょう10日、七尾市役所に金属バットを持ち込んだとして、県迷惑行為等防止条例違反の疑いで、七尾市議の杉本忠一容疑者(77)=同市=を現行犯逮捕した。署によると「素振りなどの運動をするためだった」と供述している。杉本容疑者はバットを振り回すなどせず、けが人はいなかった。逮捕容疑は、10日午前10時半ごろ、七尾市役所で正当な理由なく、周りに不安を覚えさせる方法で金属バット1本を携帯した疑い(12月10日付・共同通信Web版)。
さらに、ローカル放送のニュースをチェックする。警察などによると、杉本市議は午前10時ごろ、金属バットを持って市役所の議会棟に現れた。駆け付けた警察官が任意同行を求めたものの、杉本市議が抵抗したため、警察がその場で逮捕した。けが人はいなかった。 七尾市議会の杉木勉議長は「キャップを深くかぶって黒いマスクでマフラーをつけていた。全く誰かわからなかった」と証言した。 杉本市議は議会運営に不満を持っていたとみられ、議長に面会を求めていた。同市議会の杉木勉議長によると、一般質問で杉本容疑者がやじを飛ばすなどしたため注意した。杉本容疑者は「議長が議員を公平に扱っていない」と不満を口にしていた(同・北陸放送ニュースWeb版)。
別のローカル放送はこう伝えている。10日午前、七尾市役所の議会事務局に金属バットを持った現職市議が乱入し、駆け付けた警察官に現行犯逮捕された。午前10時半ごろ、市役所3階の議会事務局に金属バットを持った男が突如現れ、議長に面会を求めた。男は通報で駆け付けた警察官の要請を拒否。そのまま現行犯逮捕された。県迷惑防止条例違反で逮捕された現職議員・杉本忠一容疑者は通算10期目のベテラン議員だった(同・石川テレビニュースWeb版)。
それにしても、事件が流れが断片的に記事になっているだけで、全体が理解できない。地元紙の関連ニュースをネットでチェックしたが掲載されていない。そこで、上記の3つのニュースを総合すると、以下だ。市議会の杉木勉議長によると、一般質問で杉本議員はやじを飛ばすなどしたため注意した。すると、杉本氏は「議長が議員を公平に扱っていない」と不満を口にしていた。そしてきょう、「キャップを深くかぶって黒いマスクでマフラーをつけていた」杉本氏が金属バットを持って議会事務局に現れ、議長に面会を求めた。ただならぬ気配を察した議会事務局は警察に通報した。議会棟のロビーで杉木議長と杉本氏は10分ほど面会。その際に脇にバットを置いたため、市職員が隙を見てバットを取り上げた。駆け付けた警察官は任意同行を求めたが、杉本氏は「素振りなどの運動をするために持っていた」と警察の要請を拒否。警察は迷惑防止条例違反で午前11時20分ごろ現行犯逮捕した。
確かに、キャップを深くかぶって黒いマスクでマフラーした男が金属バットを持っていれば、市議と分かっていても、周囲を不安に陥れる。おそらく、過去に無用にバットを振り回し周囲を威嚇するような行為があったのだろう。市役所の職員の対応はその経験則ではないかと察する。50分の出来事だった。
(※写真は、七尾市議会がある七尾市役所庁舎)
⇒10日(木)夜・金沢の天気 くもり
まもなく冬将軍が到来する季節。海も荒れると必ずニュースになっていた日本海沿岸への北朝鮮からの漂着船の記事を今季はまだ見ていない。今年は何かが起きているのか。上の写真は2018年1月16日に金沢市下安原町の海岸に打ち上げられた北の木造船だ。この目で確かめようと、現場に赴いたのは同17日午前。現場は防風林を抜けて100㍍ほど歩くと砂浜が広がり、警察の捜査で青いビニールシートが覆いかぶさっていたので、現物と分かった。
全長16㍍、幅3㍍ほど。このような小さな船で日本海のイカの好漁場である大和堆(日本のEEZ内)に繰り出し、違法操業をしてたのか。船内をのぞくことができた。ハングル文字で書かれた菓子袋などが散乱し、迷彩服もあった。ひょっとして軍人が乗っていたのではないかと勘ぐった。警察発表によると、この船の中から7人の遺体が見つかり、さらに漂着船から15㍍ほど離れたところにさらに1人の遺体があった。もし、同じ乗組員なら計8人となる。冬の日本海は荒れやすい。命がけで、なぜそこまでして漁に固執する必要があったのだろうか。上からの命令だったのか、など当時は思った。
今季はどうか。第九管区海上保安本部の公式ホームページをチェックしても、北の漂着船はゼロだ。なぜ今年は木造船が漂着しないのか。単純な話で、能登半島沖のEEZ(排他的経済水域)で違法操業を行っているのは北朝鮮の漁船ではなく、中国の漁船なのだ。海上保安庁が監視活動を継続しているが、ことしに入り11月4日時点で、延べ4137隻の中国漁船に退去勧告を発している(11月5日付・NHKニュースWeb版)。
10月6日付のこのブログでも取り上げたが、日本海のスルメイカの漁場、大和堆周辺で大量の中国漁船が違法操業を行っている=写真・下=。去年までは北の漁船による違法操業(2019年の警告数4007隻)が圧倒的に多かったが、今年は中国漁船の違法操業が去年より倍増している。
中国は北朝鮮海域での制裁決議違反が問題視されているにも関わらず、北朝鮮の漁業海域での漁業権を購入し、中国の遠洋漁船全体の3分の1にも相当すると見られる大量の船団を送り込んで漁業資源を漁っている。北朝鮮の漁業海域で漁業資源をほぼ取り尽くし、次に狙ってきたのが日本海のEEZというわけだ。中国の漁船は北の小型と違って大型の鋼船で、釣りではなく、底引き網で漁獲する。そして、北朝鮮から漁業権を買って同国のEEZで操業していると称して、日本のEEZで違法操業をしている(11月24日付・時事通信Web版)。
違法操業の主役が交代し、これから何が起きるのか。水産庁が大和堆西部の特定の海域に入るのを当面、自粛するようイカ釣り漁船側に要請して、「日本のEEZなのになぜだ」と漁業者の反発を買った(10月20日付・朝日新聞Web版)。日本海の荒波が激しくなってきた。
⇒9日(水)夜・金沢の天気 くもり
「アヘン戦争」(1840-42年)は日本の歴史教科書にも出てくるので誰でも知っている。イギリスの貿易商たちがインドで得た麻薬のアヘンを中国で売りさばき、その金で中国で茶葉を買うという「三角貿易」で貿易商たちは莫大を利益を上げていた。そのアヘンの取り締まりを強化した中国に対してイギリスが武力報復をしたのがアヘン戦争だと理解している。
以下は記者時代に警察の担当者から教わった知識だ。アヘンは麻薬の一種で、ケシの実からつくられる。大麻やマリファナはアサの花や茎、葉を乾燥させたもので、細かく切り刻んで燃やして発生した煙を吸引する。薬の作用もあり、医療薬として用いられるケースもある。大麻は麻薬ほど強くないのでタバコと同様に認めるべきだとの声もあるが、大麻を吸う人のほとんどは麻薬や覚醒剤へとはまっていく。
上記の2つのことが知識としてあったので、新聞記事を読んでアメリカは大丈夫かと懸念している。以下は記事内容。大麻の合法化をめぐる住民投票で、ニュージャージー、アリゾナ、サウスダコタ、モンタナのアメリカ各州では合法化が決まった。これで大麻を合法的に使えるアメリカ人は1億900万人に上り、総人口の3人に1人に相当する。合法化の結果、ニュージャージー州はアメリカで最大級の大麻市場になると予想される(12月5日付・日経新聞Web版)。
同州は販売や税収などで年間1億2600万㌦(130億円)の収益を生み出せると計算している。歴史的には大麻合法化に反対してきた共和党支持者の多いサウスダコタとモンタナ州でも合法化が支持され、同党内での意識の変化が起きている。今後、大麻合法化がアメリカ国内で加速する可能性が高くなっている(同)。
このアメリカの大麻をめぐる動きを見て笑っているのは中国ではないだろうか。「バイデンが大統領になれば、さらに加速するだろう。大麻は自由の象徴だと勘違いしているのが民主党だ」と。確かに、税収の確保のため大麻を合法化するというアメリカの動きも、日本人にとっても不可解だ。もし、アメリカでこの動きが全土に広まれば、日本の学生たちにアメリカへの留学を勧められなくなる。最近、アメリカから帰国後に自宅で大麻栽培をして使っていたというニュースも目につくようなってきた。
無害というのであれば、堂々とカミングアウトして大麻解禁の運動を展開し、できれば選挙の争点としてほしい。日本でも、きっちりとした議論をするべき時が来ているのではないだろうか。自身は禁煙論者であり、タバコも吸わない。
⇒6日(日)夜・金沢の天気 はれ