自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「鬼城」の次はデフォルト きしむ中国の成長モデル

2023年08月20日 | ⇒メディア時評

   最近テレビでニュースを視ていて、「鬼城」という言葉がキーワードになっている。中国の不動産危機が現実になってきて、資金繰りの悪化で開発が途中でストップした高層住宅群があちらこちらに。クレーンが屋上に残されたままの未完成の高層マンションが立ち並ぶ様子は、まさにゴーストタウンだ。余計な心配かもしれないが、構造物が朽ち果て、あのクレーンが落ちて来ると、さらに無残な姿になるのではないか。  

   2012年8月に中国の浙江省を訪れたときに、中国人の女性ガイドから聞いた話だ。当時、中国は地方でもマンションの建設ラッシュだった。「なぜ地方でこんなにマンションが建っているのか、ニーズはあるのか」とガイド嬢に尋ねた。すると、「日本でも結婚の3高があるように、中国でも女性の結婚条件があります」と。1つにマンション、2つに乗用車、そして3つ目が礼金、だと。中国ではめでたい「8」の数字でそろえるので、1戸88平方㍍のマンションが人気という話だった。(※写真は、浙江省で撮影したマンション群=2012年8月)

   さらにその3高の背景には中国の「一人っ子政策」(2015年に廃止)があった。中国では、男子を尊ぶ価値観があり、性別判定検査で女子とわかったら人工中絶するケースが横行していた。その結果、出生の男子の比率は女子より高くなる。これが、結婚適齢期を迎えると、女性は引く手あまたとなり、3高をもたらす。一方で、男性は「剰男」(売れ残りの男)と称される結婚難が社会問題にもなっている。

   3高に加えて投機マネーが不動産市場に流れ込み、都市を中心にマンション価格が高騰した。高額なマンションを手に入れても、ローン返済が重石となり、生活が破綻するケースも増えた。さらに、売り主の建設代金未払いで工事が進まず、予定の期限を過ぎても一向に引き渡しされないために、住宅ローンの支払いを拒否する購入者も続出しているようだ。そして、経営危機に陥っている中国の不動産大手「恒大グループ」が17日、アメリカ・ニューヨーク州のマンハッタン地区連邦破産裁判所に連邦破産法15条の適用を申請した。

   「鬼城」の次がデフォルト。中国経済の成長モデルだった不動産業界がきしんでいる。これが、中国の金融業界にどう連鎖していくのか。

⇒20日(日)午後・金沢の天気   はれ時々くもり

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★中国の不動産危機という時限爆弾 日米韓はどう対応

2023年08月18日 | ⇒ニュース走査

    「中国の時限爆弾」が爆発した。メディア各社の報道によると、2年連続の巨額な赤字で経営危機に陥っている中国の不動産大手「恒大グループ」は17日、アメリカ・ニューヨーク州のマンハッタン地区連邦破産裁判所に連邦破産法15条の適用を申請した。連邦破産法15条は、再建をめざす外国籍の企業が申請する条項で、資産の強制的な差し押さえなどを回避でき、難航している外貨建て債務の再編協議の前進を狙っているものと見られる。ロイター通信Web版日本語(18日付)によると、恒大の負債額は先月末基準で3300億㌦(48兆円)にのぼっている。

   バイデン大統領が「中国は時限爆弾だ」と述べてニュース(今月12日付・読売新聞Web版)となっていたが、今回の恒大グループの破産申請を念頭に置いた発言だったのかもしれない。あくまでも憶測だ。恒大グループだけでなく、中国では不動産大手の経営危機が相次いで表面化していて資金繰りが悪化している中国最大級の不動産会社「碧桂園(カントリー・ガーデン)」に対しても市場の不安が高まっている。次なる時限爆弾なのか。

   朝鮮半島のある意味で時限爆弾と言えるのが北朝鮮問題ではないだろうか。読売新聞Web版(18日付)によると、国連安全保障理事会は17日、北朝鮮の人権問題に関する公開会合を開いた。ボルカー・ターク国連人権高等弁務官は会合冒頭に「北朝鮮で数十年にわたって人権侵害が続いている」と指摘し、子供を含む強制労働などが軍事機構と武器製造能力を支えていると強調した。11年に脱北した男性28歳が会合に出席し、「政府は私たちの血と汗を指導者のぜいたくな生活とミサイルに変えてしまう」と語った。日本と米欧各国も核・ミサイル開発を優先する北朝鮮の姿勢を強く非難した。北朝鮮の人権に関する安保理会合が公開で行われたのは2017年以来で6年ぶり。

   アメリカのワシントン郊外にあるキャンプ・デービッド山荘で、日本時間のあす19日未明、岸田総理とバイデン大統領、尹大統領との日米韓3か国の首脳会談が行われる(18日付・NHKニュースWeb版)。中国や北朝鮮の動向などを踏まえて、安全保障協力の強化を確認する見通し。また、日米韓国による半導体などのサプライチェーンの強靭化といった経済安全保障分野での連携などでも一致するものとみられる。さらに、時限爆弾となっている中国の不動産危機が3か国や世界に及ぼす影響などについても議論するに違いない。その意味で実にタイムリーな首脳会談なのかもしれない。

(※写真は、ことし5月21日、広島市でのG7サミット後に行われた日米韓首脳間の意見交換=外務省公式サイト「日米韓首脳間の意見交換」より)

⇒18日(金)午後・金沢の天気   くもり時々はれ

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☆「カタサゴユリ」と「ルビーロマン」の話

2023年08月17日 | ⇒トピック往来

   例年は処暑のころに咲くので、ことしは5日ほど早めだろうか、庭にタカサゴユリが咲き始めた=写真・上=。旧盆が過ぎたこの時節は花の少ない季節なので目立つ花だ。「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」。花の美しさは見事だ。ヤマユリのような高貴な香りはないが、人目をひく。この時節には茶花として床の間に飾る花でもある。

   ただ、立場が異なればタカサゴユリは外敵、目の敵だ。国立研究開発法人「国立環境研究所」のホームページには「侵入生物データベース」の中で記載されている。侵入生物、まるでエイリアンのようなイメージだ。確かに、植えた覚えはないので、おそらく種子が風に乗って、庭に落ちて育ったのだろう。外来種だからと言って、すべて駆除すべきなのか、どうか。この花を見るたびにそんなことを思ったりする。

   話は変わる。石川県特産の高級ブドウと言えば、「ルビーロマン」で知られる=写真・下=。先月14日の金沢市中央卸売市場での初競りで、1房(33粒、重さ1㌔)で最高額は160万円で競り落とされた。1粒換算で4万8千円。正直な話、自身はこれまでの人生で1粒しか食べたことがない。知人の結婚式に出席したときに、新郎と新婦からいただいた1粒だった。ルビーロマンは石川県と契約を取り交わした生産農家が10㌶で栽培している。

   石川県が独自に開発した品種であり、品種登録も行っているルビーロマンが韓国にもある。品種登録が韓国では行われていなかったことから、韓国に苗木が流出して栽培されたものと見られている。

   石川県の馳浩知事は今月2日に韓国と訪れた際に、韓国のルビーロマンを食べた。その様子をブログ「はせ日記」(3日付)で述べている。

「〜県庁職員にお願いして手に入れてもらった韓国産ルビーロマン。味わってみたら、期待外れでがっかり😞そもそも当時の石川県の水際作戦が行き届いていなかったが故に、韓国でいつのまにか石川県ブランド規格に合わない商品が勝手に商標登録されてしまった。こんなルビーロマンが流通していること自体が疑問でならない。味は水っぽいし、色は薄く、一体どこがRubyなのか?そして不揃いで、粒と粒の間に隙間があるし、大きさも揃ってなくて、表皮のハリも艶もない。似て非なるシロモノ。こんなブドウ🍇がルビーロマンを名乗っている事が理解できない。石川県産の本物のルビーロマンを、韓国の生産者や消費者に食べさせてあげたい。これが本場のルビーロマンなんだよ、と」

⇒17日(木)夜・金沢の天気   くもり

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★台風一過 隣国の不安材料に漂うキナ臭さ

2023年08月16日 | ⇒メディア時評

   台風7号が日本海を北上している。メディアの報道によると、中国地方や近畿、東海の各地で記録的な大雨となり被害が出たようだ。金沢では、昨夜に最大瞬間風速22㍍を観測したものの、きょうは時折強い風が吹いて断続的に雨となった。能登ではけさ強風にあおられて女性が転倒してケガを負ったとのニュースが流れていた。そして、台風一過、世界ではキナ臭さが漂う。

   読売新聞Web版(今月12日付)によると、アメリカのホワイトハウスは11日、バイデン大統領がユタ州で行った演説(10日)で、回復が鈍い中国経済について「中国は時限爆弾だ。問題を抱えている」と述べたことを明らかにした。バイデン氏は演説で、中国の成長率の鈍化や高い失業率、高齢化の進行などに言及。「悪い人々が問題を抱えると、悪いことをする。良くないことだ」と語った。

   一方、「中国とけんかをしたいわけではない。合理的な関係を求めている」とも述べ、対話を通じて競争関係を「管理」していく考えを強調した。アメリカは9日、中国を安全保障上の「懸念国」に指定し、先端半導体やAIなどを手がける中国企業への投資を規制する大統領令を公表している(同)。この時限爆弾発言で米中の緊張がさらに高まるのではないか、キナ臭さが漂う。

   きょうの日経平均株価の終値は前日(15日)より472円安い3万1766円と大幅に反落した。共同通信Web版(16日付)によると、格付け会社フィッチ・レーティングスのアナリストがは15日のアメリカのCNBC番組で、金利高が長引き、銀行の資金調達コストが上がることで収益が悪化するなど銀行業界の経営環境評価が引き下げられた場合、JPモルガン・チェースを含めて70を超える銀行の格付けを引き下げる可能性があると明らかにした。このフィッチのアナリスの発言と中国の急速な経済減速など、海外発の不安材料に押されて日本の株価も売り圧力が強くなったと、メディア各社は分析している。

   そして、円安・ドル高が進んでいる。きょうはニューヨーク外国為替市場で円相場が下落し、一時1㌦=145円台をつけた。去年9月22日、政府・日銀はおよそ24年ぶりとなる為替介入を実施した。介入直前に円相場は145円90銭をつけていた。政府・日銀は再び円買い介入に動くのか。

⇒16日(水)夜・金沢の天気    くもり時々はれ

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☆フィリピンの戦争モニュメントと「終戦の日」

2023年08月15日 | ⇒ドキュメント回廊

   きょう「8月15日」は終戦の日である。政府主催の全国戦没者追悼式(東京・日本武道館)をNHKで視聴していた。岸田総理は「いまだ争いが絶えることのない世界にあって、わが国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携え、世界が直面するさまざまな課題の解決に、全力で取り組んでまいります」と式辞を述べた。いまだに続くロシアによるウクライナ侵攻を意識したような言葉だった。

   正午の時報とともに1分間の黙とうが捧げられた。その後、天皇陛下は「過去を顧み、深い反省の上に立って再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と述べられた。全国戦没者追悼式は、日本国が不戦の誓いを確認する恒例の行事でもある。

   「8月15日」の現場を訪れたことがある。2012年1月に金沢大学の交流事業でフィリピン・ルソン島イフガオ州のキアンガンを訪れた。山中に壮大な棚田が広がる絶景と同時に、人類の米づくりの歴史を感じさせる。土地の識者の人たちから日本との関わりの話を聴いた。当地では9月2日は「勝利と解放の日」として日本軍との戦いに勝利したことを祝い、10年に一度は大規模な式典が開催されている。本来ならば1945年8月15日が終戦の日だが、ルソン島で最後まで抵抗を続けていた日本軍の山下奉文陸軍大将が降伏を表明したのは9月2日だった。

   土地の人たちの話は辛辣だった。アメリカ軍の進行に押された日本軍はマニラから北上してバギオを経由して経て、さらに奥深いキアンガンに最後の拠点を構えた。山中で孤立した日本兵の多くは飢餓や戦病で倒れ、「今でも骨はいたることろで見つかる」と話していた。そして、古老は「日本兵は怖かった。あいさつをしなかったというだけで殴られた。なので、山に逃げて、夜になると食料を探しに村に降りるという生活を続けていた。ヤマシタが降伏したと聞き、走って山から村の家に帰った」と話した。

   キアンガンの村で山下は降伏の意思を表明し、翌9月3日にバギオに連行され、そこで降伏文書に署名してフィリピンでの戦闘は最終的に終了した。戦時中フィリピンでは日本兵51万人が戦死しているが、フィリピン人は110万人が命を落としている。別の古老は「戦争当時は日本と日本人を憎んだ。しかし今は平和の時代、日本人とは仲良くやっていきたい」と話し、握手を求めてきたのを覚えている。11年も前の話だ。

(※写真は、キアンガンにある「戦争モニュメント」の塔。激しい戦闘を物語るレリーフがある。この公園では10年に一度、「山下降伏記念式典」が開催される。直近では2015年9月2日に行われた)

⇒15日(火)夕・金沢の天気   くもり

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★「コロッセオ」のような石川県立図書館 地域のシンボル

2023年08月13日 | ⇒ドキュメント回廊

           何かと石川県立図書館が話題になっている。先日も関西に在住する大学時代の友人が金沢にやってきて、リクエストで図書館を案内した。広い吹き抜けの空間に、何重にも円を描くように本棚が配置されている光景を見た友人の第一声が「古代ローマのコロッセオの雰囲気だね」と。コロッセオは円形格闘場と呼ばれ、自身もその言葉を聞いて、高校時代に学んだ「パンとサーカス」という言葉を思い出した。ローマ皇帝は、民衆から支持を得るため小麦を無料配り、演劇や格闘技を盛んに開いた。そのシンボルがコロッセオだった。

           図書館というとこれまで地味なイメージだったが、石川県立図書館のように地域のシンボルのような存在になるかもしれない。

   面白いのは形状だけでなく、従来の図書分類の枠を超えたコンセプトだ。吹き抜けに面して1階から上へと続く360度の円形書架には、12のテーマで7万冊の本が手に取りやすい形で並べられている。たとえば、「自分を表現する」という書架には、絵を描く、音楽を奏でる、写真を撮る、演じるといった芸術関連の本が並ぶ。それは芸術論ではなく、本を手に取って読むことで自らも表現してみたくなるような内容の本だ。司書が選りすぐった本なのだろう。ほかにも「暮らしを広げる」「文学にふれる」「仕事を考える」「体を動かす」などのテーマで本が並ぶ。また、分類別図書の本棚には30万冊が並ぶ。

   それにしても、これまでの県立図書館のイメージとはがらりと変わって「会話ができる図書館」で、おしゃべりができてスマホも使え、場所によっては飲食もできる空間だ。子どもエリアにアスレチック施設も併設されていて、休日には子ども連れの若いカップルの姿もよく見かける。

   円形劇場のような吹き抜け造りなので、東西を結ぶブリッジが閲覧席にもなっている。ここからは館内全体を見渡すことができ、書棚とイスはまるでアート空間だ。そして、館内のいたるところで、石川県内の著名な陶芸家や漆芸家か描いた作品がさりげなく展示されている。

   友人と訪れた日は、夏休みとあって館内に並ぶ閲覧席は宿題に取り組む小中学生や受験勉強の高校生らでいっぱいだった。そして驚いたことに観光バスできた団体客もいた。観光なので滞在時間は短いかもしれないが、図書館に観光客が訪れるという光景には友人だけでなく、自身もある意味で感動だった。 

⇒13日(日)夜・金沢の天気     はれ

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☆旧盆墓参りとブッダのインド料理の話

2023年08月12日 | ⇒ドキュメント回廊

   旧盆入りのきょう金沢市の南隣の野々市市と北隣の津幡町へ親戚の墓参に行ってきた=写真・上=。近隣であってもお盆の風習に違いがある。金沢市は7月中旬の新盆、野々市市と津幡町は旧盆での墓参りが多い。

   この時節いつも思うことだが、同じ墓参りでも金沢と能登・加賀では参り方に違いがある。金沢の場合は、墓所にキリコをつり下げる棒か紐がかけてあり、墓参した人は札キリコをかける。札キリコには浄土真宗の墓所ならば「南無阿弥陀仏」、曹洞宗ならば「南無釈迦牟尼仏」と書いて、裏の「進上」に墓参した人の名前を記す。この札キリコをつるすことで、その墓の持ち主は誰が墓参に訪れたのか分かる仕組みになっている。

    これに対し能登・加賀では、札キリコを持参する風習はないが、墓参りの後にその家を訪ねて仏壇にも合掌をする。直接顔を見せる能登・加賀と、名前を札キリコに書き置きする金沢の違いがある。むしろ、札キリコを持参する風習の金沢の方が独特のようだ。金沢での言い伝えでは、代々の加賀藩主の墓地に年寄衆や家老・若年寄らが札キリコを献上したことが、年月を経て庶民にも広まったとする説もある。武家文化の名残りなのだろうか。

   墓参りの帰り、インド料理の店に入った。初めての店だった。店内で流れるBGMはまるでお経の合唱のような、ゆったりとして荘厳な響きで、インドの民謡のような雰囲気だ。マトンカレーとプレーンナン、タドリーエビを注文。

   ふと壁を見ると、ブッダ(仏陀)のポスターが飾ってあった=写真・下=。従業員の許可を得て、写真を撮らせてもらった。インドで製作されたポスターで顔は女性のようなふっくらとした笑顔で描かれている。全体に光沢があり、美しく、じつにまばゆいポスターだ。「南無阿弥陀仏」と唱え、墓参りをした後だっただけに、ありがたい思いで料理を食べた。たわいもない話である。

⇒12日(土)午後・金沢の天気    はれ

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★「非常に強い」台風7号 北陸など直撃横断か

2023年08月11日 | ⇒ニュース走査

   台風6号は朝鮮半島に進み、北上している。今月3日時点での進路予報では北陸を直撃かと身構えたが、その後、北西方向に舵を切った。で、台風6号はその後、どうなったのか。共同通信Web版(10日付)によると、北朝鮮の国営朝鮮中央テレビは10日夕、同日午前0時(日本時間同)から午後5時の間に東部の江原道高城で274ミリの降水量を記録するなど、台風の最接近を前に各地で大雨が降っていると報じている。

   また、台風に関連して、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は10日、台風6号の接近に警戒を呼びかける記事で、故金日成主席と故金正日総書記の肖像画や銅像などを守る対策を取ることに「最優先の関心を払わなければならない」と強調した。記事では「わが党にとって人民の生命・安全よりも貴重なものはない」とも書いている(10日付・共同通信Web版)。

   そして、台風7号は北陸を直撃するようだ。「非常に強い」台風7号は、きょう11日午前9時には父島の東南東約90㌔を、ゆっくりした速さで北へ進んでいる。中心の気圧は940ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45㍍、最大瞬間風速は65㍍で、中心から半径130㌔以内では風速25㍍以上の暴風となっている。15日から暴風が吹き、大荒れの天気となる恐れがある。盆休みのUターン移動の時期と重なり、新幹線や在来線、道路、空の便に影響が出る可能性も(11日付・日本気象協会「tenki.jp」)。

   台風と言えば、2019年10月13日、死者・行方不明者100人を出し、北陸新幹線120両を水没させた、あの台風19号が日本に近いづいてきたときが945ヘクトパスカルだった。北陸に住む自身にとっては、千曲川の堤防決壊で長野市にある新幹線車両センターの北陸新幹線の車両が水に浸かった画像はショックだった=写真・下=。

   ヘクトパスカルは気圧の単位で、中心気圧の数字が低くなるほど台風の勢いが強い。気象庁の統計資料によると、上陸時の中心気圧が最も低かったのは、1961年9月に死者・行方不明者200人余りを出した「第二室戸台風」の925ヘクトパスカルだった。ヘクトパスカルは台風の勢いの判断基準でもある。自身も970-960だと気象情報や台風進路が気になり、950を下回ると学校は休校、仕事も休みになるケースがある。今回の台風7号は940ヘクトパスカルで近づいてくる。北陸は直撃コースなのか。

⇒11日(金)午後・金沢の天気    はれ

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☆星稜、逆転ならず 「石川の夏」終わる

2023年08月10日 | ⇒ニュース走査

   きょう午後の予想最高気温は39度、さきほどNHKニュースで報じていた。山越えの風が吹き下ろすフェーン現象の影響で気温が上昇し、能登の羽咋市と加賀の小松市ではすでに午前11時で最高気温が38.7度を観測し、40度に迫っている。金沢では去年9月6日に記録した観測史上1位の38.5度を上回り、まさに経験したことのないような暑さとなる。気象庁は石川県内に10日連続で熱中症警戒アラートを発表している。(※写真はきょう正午過ぎに自宅前で撮影。手前の樹木は五葉松)

   夏の甲子園で熱戦が続いているが、やはり気になるのは酷暑だ。高野連は暑さ対策として今大会から五回終了後に選手が体を冷やしたり、水分を補給する10分間の「クーリングタイム」を導入した。これが禍いとなることもあったようだ。新聞メディアの報道によると、6日の開幕試合で、いきなりのアクシデントがあった。第1試合の土浦日大(茨城)対上田西(長野)。六回裏の上田西の攻撃が終了した直後、土浦日大の選手がグラウンドに倒れ込み、そのまま担架で運ばれた。選手の体温は45度くらいあった。この選手を含め、第2試合までに熱中症の疑いで処置を受けた選手は6選手に上った。六回以降が多く、クーリングタイムで体を冷やして再び灼熱のマウンドに出たタイミングだった。救護室や病院への搬送はなかった。

    甲子園に4度出場、高校通算60本塁打の実績がある松井秀喜氏はスポーツ報知Web版(7月25日付)で、夏の甲子園大会の改革について述べている。以下、引用。「高校野球も時代の変化とともに変わった方が良いと思います。真夏の酷暑の中で連日、試合をやったら体への負担は避けられません」「夏の甲子園は前半、後半のような2部制にすれば負担は軽減されるのではと感じます」「夏休みいっぱいを使って、甲子園大会をやってもいいのではとも思います。高校生の体はまだ成長過程ですから、守ってあげないといけません」

   松井氏の2部制は、酷暑の中での過密日程は選手の大きな負担になっているとして、試合を前半と後半で期間を分ける2部制にしたらどうか、というもの。とくに、負担が大きい投手に配慮しないといけないと述べている。

   また、石川県の馳知事は、7月27日に行われた高校野球石川大会の決勝戦は暑さがピークに達した午後0時半に始まり、最高気温34.8度だったことから、「決勝戦の時間帯はおかしいと思います。午後0時30分にプレイボールというのは、私は健康の観点からやはり配慮があってもよいという意味で、おかしいと思います」と記者会見(同月28日)で苦言を呈した。高野連はことしから「クーリングタイム」の導入など行っているが、まだまだ改革の予知はありそうだ。

   そして、石川代表の金沢星稜高校がきょう午後、長崎の創成館高校と対戦し、NHKで視聴した。星稜は2年連続22回目の出場。星稜は先発した武内投手(3年)が5四球と制球に苦しみ序盤で6失点。九回に武内の2ランで3点差に迫ったが「夢の大逆転」は起こらず。「石川の夏」は終わった。(※写真・下は、九回表で2ランを放った星稜の武内選手=NHK中継番組より)

⇒10日(木)午後・金沢の天気    はれ

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★デフレからインフレへ 日本経済の新たなステージへ

2023年08月09日 | ⇒トレンド探査

    自宅近くのガソリンスタンドの会員価格が1㍑181円(一般価格183円)となった=写真=。これまでの最高価格ではないだろうか。この店では先月31日に会員価格177円だったので、10日間で4円の値上げだ。政府は石油の元売り会社に支給している補助金を徐々にカットしていて、9月には補助金がなくなる言われているので、さらに高くなる。ガソリンだけでなく、物価が全体的に上がり出している。インフレの時代に突入か。

   日銀は先月28日の金融政策決定会合で10年来続けてきた「異次元緩和」を柔軟にすると決めた。長短金利の操作(イールドカーブ・コントロール)で長期金利を「0.5%程度」としてきたが、1.0%へと事実上、引き上げることに修正した。少々、違和感を感じたのが、「消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続します」との発言だった。庶民感覚ではすでに「2%」は超えている。日銀と庶民の物価に関する感じ方に乖離があるのではないか。もちろん、日銀は政策決定会合なので何か政策的な裏読みもあるのではと考えてしまう。

   賃金は今後さらに上がるのか。厚労省の審議会は先月28日に今年度の最低賃金を目安を全国平均で現在の961円から41円上げて、時給1002円にすると決めている。今後は各都道府県の審議会がそれぞれの地域の実額を決めていくことになるが、石川県の場合は42円アップして、最低賃金は933円となる。最低賃金の上昇は喜ばしいことだが、国際的なレベルではどうなのか。

   たとえば隣国の韓国。JETRO公式サイト「韓国の賃金水準、日本並みに」(2022年9月5日付)によると、2023年の韓国の最低賃金は前年比5.0%増の9620ウォン(約1010円)にすることが決定されている。他方、日本の最低賃金時間額は全国加重平均で、2021年度(2021年10月~2022年9月)930円、2022年度は961円で、既に韓国が日本を上回っている。これは、バブル経済の崩壊後に長年に及んだ日本のデフレの後遺症ではないだろうか。

   話は横に逸れたが、内閣府は先月20日、2024年度の名目国内総生産(GDP)の見通しを「601.3兆円」と発表した。物価が上がり出したことで、名目GDPが押し上げられる。日本経済は長期にわたるデフレ不況を克服し、インフレの下で新たな成長に向いつつある。当然、経済活動に伴う賃金も上がる。「600兆円の経済」が動き出す。

⇒9日(水)夜・金沢の天気  はれ

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