この連載の目次
(前回から続く)
金融商品に投資する場合は、不動産と違って投資元本の減価償却をしませんが、決して元本の価値が下落しないわけではありません。
一般に、経済成長に伴って物の値段 (物価) は上昇します。経済が急激に成長するときには物価も急上昇し、経済が落ち着いているときには緩やかに上昇します。今の日本ではデフレ (デフレーション) が進行していますが、これはやや特異な状況です。
物価が上昇するということは、お金の価値が下落するということです。例えば、
という場合、お茶そのものは以前と同じですが、お茶の値段 (買うために必要な金額) が上昇しています。
つまり、120円というお金の価値が落ちたわけです。お茶が120円から150円に値上がりしたということは、別の見方をすると、
ことと実質的に同じです。
物価は、長期的には上昇の傾向をたどります。そのため、お金を持っていても、その価値 (貨幣価値) は時間とともに減少していきます。
いったい貨幣価値はどの程度下落するものでしょうか。
ここでは、消費者物価指数で比較してみます。
ただし、日本の経済は、ここ20年ほどバブル崩壊やらデフレやら波乱ばかりで、とても指標を比較できそうな状態ではありません。かと言って、バブル期以前の高度経済成長の時代を引き合いに出しても、現在の日本経済の実情にはそぐわないでしょう。
経済が十分に発展し、低成長期に入ったと考えられる国をいくつかピックアップして、消費者物価指数を調べてみました。PIGSのメンバーであるイタリアとスペインにもご登場願いました。各国の消費者物価指数は以下のように推移しています (2000年が100になっています)。
表1: 先進各国の消費者物価指数の推移
出典: 国際労働機関 (ILO) LABORSTAデータベース
各国とも経済は安定していますが、物価は緩やかに上昇しています。つまり、これらの国々では緩やかにインフレ (インフレーション) が進行しています。
消費者物価指数の推移から毎年の物価上昇率を計算すると、以下のようになります。
図1: 先進各国の物価上昇率
1990年代後半からは、おおむね5%以下で推移していることが分かります。
(次回に続く)
(前回から続く)
金融商品に投資する場合は、不動産と違って投資元本の減価償却をしませんが、決して元本の価値が下落しないわけではありません。
一般に、経済成長に伴って物の値段 (物価) は上昇します。経済が急激に成長するときには物価も急上昇し、経済が落ち着いているときには緩やかに上昇します。今の日本ではデフレ (デフレーション) が進行していますが、これはやや特異な状況です。
物価が上昇するということは、お金の価値が下落するということです。例えば、
以前はペットボトル入りのお茶を120円で買えたのに、今は150円出さないと買えない
という場合、お茶そのものは以前と同じですが、お茶の値段 (買うために必要な金額) が上昇しています。
以前は、120円でお茶を買えた
↓
今は、120円より多く出さないとお茶を買えない
つまり、120円というお金の価値が落ちたわけです。お茶が120円から150円に値上がりしたということは、別の見方をすると、
お茶の値段は120円のまま、手持ちのお金が120円から96円に目減りした
ことと実質的に同じです。
物価は、長期的には上昇の傾向をたどります。そのため、お金を持っていても、その価値 (貨幣価値) は時間とともに減少していきます。
いったい貨幣価値はどの程度下落するものでしょうか。
ここでは、消費者物価指数で比較してみます。
ただし、日本の経済は、ここ20年ほどバブル崩壊やらデフレやら波乱ばかりで、とても指標を比較できそうな状態ではありません。かと言って、バブル期以前の高度経済成長の時代を引き合いに出しても、現在の日本経済の実情にはそぐわないでしょう。
経済が十分に発展し、低成長期に入ったと考えられる国をいくつかピックアップして、消費者物価指数を調べてみました。PIGSのメンバーであるイタリアとスペインにもご登場願いました。各国の消費者物価指数は以下のように推移しています (2000年が100になっています)。
表1: 先進各国の消費者物価指数の推移
年 | アメリカ | カナダ | イギリス | フランス | イタリア | スペイン | スウェーデン |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1980 | 47.9 | 46.2 | 39.3 | 45.8 | 27.7 | 28.0 | 38.3 |
1985 | 62.5 | 66.1 | 55.6 | 72.4 | 52.7 | 49.9 | 58.9 |
1990 | 75.9 | 82.2 | 74.1 | 84.4 | 69.5 | 68.3 | 79.6 |
1995 | 88.5 | 91.8 | 87.6 | 94.1 | 88.7 | 87.9 | 97.8 |
2000 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100.0 |
2005 | 113.4 | 112.2 | 112.7 | 109.9 | 112.4 | 113.6 | 107.5 |
2009 | 124.6 | 119.9 | 125.5 | 116.7 | 121.6 | 125.5 | 114.9 |
出典: 国際労働機関 (ILO) LABORSTAデータベース
各国とも経済は安定していますが、物価は緩やかに上昇しています。つまり、これらの国々では緩やかにインフレ (インフレーション) が進行しています。
消費者物価指数の推移から毎年の物価上昇率を計算すると、以下のようになります。
図1: 先進各国の物価上昇率
1990年代後半からは、おおむね5%以下で推移していることが分かります。
(次回に続く)