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「女性画家たちの戦争」

2015年09月26日 22時16分13秒 | 日常のあれこれ
ときは戦前。女性の社会的地位は低く、女性には家庭の中にいることが求められていました。

そんな世相に戦争が割って入ります。戦争が社会をゆがめ、ガチガチに固まっていた社会システムにわずかなひずみが生じます。そこにくさびを打ち込む女性たち。

女性による戦争美術が生まれました。戦時下で資材が不足する中、戦争美術であれば画材を入手しやすかったことが拍車をかけました。

●「女性画家たちの戦争」(吉良 智子 著、平凡社新書)

あとがきが印象的です。

戦争とは意気盛んな人々が巻き起こす「普通ではない」狂信的行為だという、ここにもまた「思い込み」がないだろうか。しかし、女流美術家奉公隊に参加した女性画家の大部分は、意気軒昂というわけではなく、誘われたから何となく加わった者たちであった。このような当時の女性画家と現代の私たちとの間には、大きなへだたりはないのではないだろうか。
 戦争とは、晴天の霹靂 (へきれき) のようにあるとき突然やってくるものではなく、「普通」に暮らしている私たちの生活に少しずつ忍び込み、気がついたときにはもう後戻りできないほど進行しているものである。
(p.197~198)