雨の日にハクモクレンの木の下で

白い空を透かすハクモクレンの葉。

春には、白い花が、リボンのように柔らかい花びらをふわりとまとって咲いていました。

あの頃、白い花の先に広がっていたのは、まだ目覚めて間もない寝ぼけ色の青空でした。

今の空は、曇りガラスの白い色。

雨のしずく舞う白い空の下、ハクモクレンがまとっているのは、あの頃の花びらによく似た葉。

緑濃い葉の先にしずくが集まって、しずくがぷっくり膨らんで、ぽっと落ちます。



しっとりと濡れた青い町。

ぽつぽつぽつと傘をたたくのは、雨の粒。

静かな季節です。