突然ですが、プリンタが壊れました。プリンタに紙をセットしても給紙されず、紙が取り込まれないまま印刷が開始されます。悪いことにインクジェットプリンタ。紙が取り込まれずに印刷が開始されると、噴き出されたインクでプリンタ内部が汚れてしまいます。内部のインクをふき取って再度印刷を試みるものの、また失敗。
この大事なときに、まったくもう……。
メーカーに修理を依頼しましたが、プリンタが古くて既に部品がなくなっており、修理不能と言われてしまいました。このプリンタは父からもらったものです。10年以上前の機種でしょうか。修理すればまだ使えるでしょうが、メーカーは部品の在庫を早々に処分してしまうようです。
仕方ありません。新しいプリンタを求めて電器屋さんへ。
狙うはモノクロのインクジェットプリンタ。私の場合、プリンタで印刷するのは主にモノクロの文書で、カラー印刷はまったくしません。理由はお金がかかるから。
買うのはモノクロのインクジェットだよ。
無駄遣いしないように、自分によく言い聞かせます。
いざ電器屋さんの中に足を踏み入れると、明るい店内に並ぶプリンタ、プリンタ、プリンタ。
今どきのプリンタってすごいんですね。まずデザインがかっこいい。ふたを閉じればきっちりとした四角に収まり、妙な出っ張りもへこみもありません。使うときには給紙口や排紙口を開けますが、そのフタの縁も滑らかな丸いフォルムをしています。
機能も充実しています。カラー印刷が当たり前、店頭に置かれている写真のプリントサンプルを見ると、まるでお店でプリントしたような鮮やかな仕上がりです。さらにスキャナも付いて、コピーもできます。もうコピーのためにコンビニに走る必要もありません。そんな複合プリンタが1万円から2万円で手に入ります。
安っ!
きれいな写真プリントを見せられ、店内に流れるにぎやかな音楽に乗せられて、気分が高揚します。あー、カラープリンタが欲しくなっちゃったよ。
カラープリンタがあれば、一眼レフで撮った写真をプリントして部屋に飾ったり、作品集としてファイルしたりできます。うーん、カラープリンタ、カラープリンタ……。
ちょっと待て。
ここは冷静にカラー印刷のコストを考えましょう。
プリンタで印刷するのは主にモノクロの文書です。もちろん、カラープリンタなら写真をプリントして飾る楽しみも出てくるでしょうが、基本的に写真をプリントするという習性がない私のことですから、写真のプリントもすぐに飽きるでしょう。プリンタはモノクロで十分。たとえカラープリンタでも、主に使うのは黒インクです。
しかし、インクジェットプリンタの場合、印刷ヘッドをきれいに保つために、常に各色のインクを消費します。つまり、使いもしないカラーインクがどんどん消費されてしまうのです。これはインクの無駄使い。
店員さんをつかまえて、聞いてみました。
「インクジェットプリンタって、カラーインクをセットせずに黒インクだけをセットした状態でも印刷できるんですか?」
「そうすると印刷が開始されないか、壊れますよ」
何ですとぉ!? カラーインクなんてまず使わないのに。
「じゃ、カラーインクは空になったまま放置しても構いませんか?」
「それでもダメでしょうね」
「モノクロのプリンタはありませんか」
「今、インクジェットは全部カラーになっちゃってますね。モノクロならレーザープリンタですね」
私がモノクロのプリンタを大事に大事に使っている間に、時代が変わったようです。
レーザープリンタは値段も高いだろうと思っていたら、なんのなんの。レーザーも安いんです。もちろん、本体の値段を比べればインクジェットのカラープリンタより高くなりますが、使われないまま消耗していくカラーインクのコストを考慮に入れれば、すぐに元は引けます。レーザープリンタなら、電源を入れるたびにトナーを浪費することもないでしょうし。
それにしても、レーザープリンタを個人の家に置くことになるなんて思ってもみませんでした。レーザープリンタなんて会社で使うものだと思ってたのに。
感慨にふけるのはまだ早い。機種を決めないと。
自宅で細々と使う程度ですから、値段の安いエントリー機でOKです。よし、これに決めた。いざ価格交渉。
「もう少し安くなりませんか」
「うーん……」
「あとちょっと、ちょっとだけ。ね? ね? もうちょっと引いてくれると嬉しいなぁ」
あごを引いて、顔を斜めに傾けて、緩やかにサイドに流した前髪の下から上目遣い。笑顔、笑顔。運よく、今日の前髪は一番お気に入りのラインを描き、髪全体もまとまっています。ウェーブのかかった毛先が軽やかに跳ねていい感じ。あ、今日は日焼け止めしか塗ってないや。スッピンじゃまずかったかな? ばっちりメイクしてくるべきだったかな? 鎖骨が見える服を着てくるべきだったかな?
……ってゆーかね、そういう値引き交渉の仕方なのか?
とりあえず、千円未満の端数だけカットしてもらいました。
レーザープリンタ1台お買い上げ。スマイル0円。値引き額は普通かな。
この大事なときに、まったくもう……。
メーカーに修理を依頼しましたが、プリンタが古くて既に部品がなくなっており、修理不能と言われてしまいました。このプリンタは父からもらったものです。10年以上前の機種でしょうか。修理すればまだ使えるでしょうが、メーカーは部品の在庫を早々に処分してしまうようです。
仕方ありません。新しいプリンタを求めて電器屋さんへ。
狙うはモノクロのインクジェットプリンタ。私の場合、プリンタで印刷するのは主にモノクロの文書で、カラー印刷はまったくしません。理由はお金がかかるから。
買うのはモノクロのインクジェットだよ。
無駄遣いしないように、自分によく言い聞かせます。
いざ電器屋さんの中に足を踏み入れると、明るい店内に並ぶプリンタ、プリンタ、プリンタ。
今どきのプリンタってすごいんですね。まずデザインがかっこいい。ふたを閉じればきっちりとした四角に収まり、妙な出っ張りもへこみもありません。使うときには給紙口や排紙口を開けますが、そのフタの縁も滑らかな丸いフォルムをしています。
機能も充実しています。カラー印刷が当たり前、店頭に置かれている写真のプリントサンプルを見ると、まるでお店でプリントしたような鮮やかな仕上がりです。さらにスキャナも付いて、コピーもできます。もうコピーのためにコンビニに走る必要もありません。そんな複合プリンタが1万円から2万円で手に入ります。
安っ!
きれいな写真プリントを見せられ、店内に流れるにぎやかな音楽に乗せられて、気分が高揚します。あー、カラープリンタが欲しくなっちゃったよ。
カラープリンタがあれば、一眼レフで撮った写真をプリントして部屋に飾ったり、作品集としてファイルしたりできます。うーん、カラープリンタ、カラープリンタ……。
ちょっと待て。
ここは冷静にカラー印刷のコストを考えましょう。
プリンタで印刷するのは主にモノクロの文書です。もちろん、カラープリンタなら写真をプリントして飾る楽しみも出てくるでしょうが、基本的に写真をプリントするという習性がない私のことですから、写真のプリントもすぐに飽きるでしょう。プリンタはモノクロで十分。たとえカラープリンタでも、主に使うのは黒インクです。
しかし、インクジェットプリンタの場合、印刷ヘッドをきれいに保つために、常に各色のインクを消費します。つまり、使いもしないカラーインクがどんどん消費されてしまうのです。これはインクの無駄使い。
店員さんをつかまえて、聞いてみました。
「インクジェットプリンタって、カラーインクをセットせずに黒インクだけをセットした状態でも印刷できるんですか?」
「そうすると印刷が開始されないか、壊れますよ」
何ですとぉ!? カラーインクなんてまず使わないのに。
「じゃ、カラーインクは空になったまま放置しても構いませんか?」
「それでもダメでしょうね」
「モノクロのプリンタはありませんか」
「今、インクジェットは全部カラーになっちゃってますね。モノクロならレーザープリンタですね」
私がモノクロのプリンタを大事に大事に使っている間に、時代が変わったようです。
レーザープリンタは値段も高いだろうと思っていたら、なんのなんの。レーザーも安いんです。もちろん、本体の値段を比べればインクジェットのカラープリンタより高くなりますが、使われないまま消耗していくカラーインクのコストを考慮に入れれば、すぐに元は引けます。レーザープリンタなら、電源を入れるたびにトナーを浪費することもないでしょうし。
それにしても、レーザープリンタを個人の家に置くことになるなんて思ってもみませんでした。レーザープリンタなんて会社で使うものだと思ってたのに。
感慨にふけるのはまだ早い。機種を決めないと。
自宅で細々と使う程度ですから、値段の安いエントリー機でOKです。よし、これに決めた。いざ価格交渉。
「もう少し安くなりませんか」
「うーん……」
「あとちょっと、ちょっとだけ。ね? ね? もうちょっと引いてくれると嬉しいなぁ」
あごを引いて、顔を斜めに傾けて、緩やかにサイドに流した前髪の下から上目遣い。笑顔、笑顔。運よく、今日の前髪は一番お気に入りのラインを描き、髪全体もまとまっています。ウェーブのかかった毛先が軽やかに跳ねていい感じ。あ、今日は日焼け止めしか塗ってないや。スッピンじゃまずかったかな? ばっちりメイクしてくるべきだったかな? 鎖骨が見える服を着てくるべきだったかな?
……ってゆーかね、そういう値引き交渉の仕方なのか?
とりあえず、千円未満の端数だけカットしてもらいました。
レーザープリンタ1台お買い上げ。スマイル0円。値引き額は普通かな。