更衣室にのぞき魔が

仕事が終わりました。更衣室で制服から私服に着替えます。

「ちょっと待っててね。今、着替えてくるから」
事務所では、先に着替えを終えた友達が待っています。急がないと。

更衣室の出入り口はカーテンで仕切られています。そのカーテンは生成りのような色で、シャワーカーテンのような素材です。こんなのが更衣室の仕切りだなんて、本当に頼りない。

更衣室に入り、カーテンで出入り口を閉じますが、すき間ができてしまいました。いったん開いて閉じ直してみても、ぴったり閉まりません。どうしよう、と思ってふと見上げると……

すき間から見知らぬ男がのぞいてる！

わざわざ女子更衣室をのぞきに来るとは、この不届き者めっ！

「更衣室をのぞくのはセクハラだよ！ 支店長に訴えるから！」

男に人差し指を突きつけて叫ぶと、男は少し引っ込みました。更衣室から離れた様子ですが、まだ近くにいるようです。カーテンのすき間はなかなか閉じません。カーテンを取り外して掛け直し、ようやくぴったり閉じるようになりました。

私服に着替えて、友達に「お待たせ」。
「更衣室を男がのぞいててさー」

……という夢を見ました。

夢だよ、夢。カーテンで仕切られただけの更衣室なんてあり得ないじゃん。スーパーの試着室じゃあるまいし。

こんな夢を見たのは、きっと元の性別を知られたくない思いが強いからでしょう。決してのぞかれたい願望があるわけではないので、誤解なきよう。

なお、夢の中でセクハラと言っていましたが、更衣室をのぞくのはセクハラというより犯罪です。とっさのときに正確な言葉が出てこないのは夢の中でも同じみたい。