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株式投資評論家さん考3

2006-10-29 18:42:52 | 株式投資・資産運用
さてと、評論家さんの挙げる銘柄について、例えばということで具体的に一度見てみましょう。

 実例はマネー・ジャパン誌の2006.12号、77ページからの「プロが厳選!今月の注目株」という欄です。10人以上の方が1つずつ銘柄を挙げておられます。

 まず、前提として、こうした雑誌の原稿は書かれた時点と実際に掲載されて発売された時点ではタイムラグがあります。私自身も、ストックウェザーに素人原稿を書いていますが、これも個別銘柄を挙げているので、書いた時点と掲載時点でのタイムラグというのは気になったりするものです。

 まず、木村佳子氏。6762TDK。

 言わずと知れたTDKですが、確か主要顧客剥落ショックでこの銘柄は一度下げていたはず。そこからまた上昇してきているという形です。まずPER20倍前後というのが割安かどうか?。外国人投資家の比率が高い「国際優良」株としては20倍前後というのは、まあ、普通というか、そんなに割安でもないのではないかなぁという印象が私はあります。

 そもそも、株価は順調に推移している形になっているので、チャートの形は買いに入るようなところには見えません。というか、私はこういうところで買うのは好まないです。

 しかも、100株単元とはいうものの、株価が9500円ぐらいしていますので、最低の1単位で投資額は95万程度になってしまいます。これはちょっと自分としては大きい。ということで、MRヘッド以外の部分が収益源として育ってきているような印象がある点はプラスではありますが、もう、この時点で投資対象としては意識されません。別にTDKがいかんというのではなく、自分は今の投資対象としては意識されないということです。

 なお、この原稿の中で「同社はハイテク銘柄なのにPERが低い。つまり稼ぐ力が強い。」というのは文章としてちょっと流れがおかしいです。「稼ぐ力が強い」ことと「PERが低い」(そんなに低いという認識は私は持たないですが)こととは関係がない。「つまり」でつなぐのは変です。稼ぐ力があるのに市場の評価は低いということでしょう。

 というようにして、個別銘柄についての原稿は見ていきます。まあ、いつもは一つ一つこういう形で考えるようなことはしませんが。

 次。犬丸正寛さんが7575日本ライフラインを挙げています。

 ここはだーっと下げてきてます。PBR0.6倍ですから、ここだけ見れば安いです。単に新興市場の下げに合わせて下げてきただけのことであれば、こういう銘柄の反発を狙うという手法はありえると思います。また、100株単元で株価800円ほどですから、松井を使えば、1単元の売買手数料は無料です。ただ、業績が伸びていません。07.3は売上が減少です、四季報を見ると「公定価格」との言葉があります。「お上」の意向で業績が大きくぶれるような企業というのは、やはりちょっと積極的に投資対象としたいという感じが薄くなりがちです。

 しかし、ここからさらにつっこんだところがあれば、細かい単位で拾っていく、買い下がり、売り上がり的形を取れば、利益は出やすいという気はします。TDKとの比較であればこちらを取るでしょう。ただ、売買が細かくなるということは利益も細かいということです。

 次。天海源一郎さんが5233太平洋セメントを挙げています。

 この銘柄は「普通に動く」という印象しかありません。悪くもないけど、別によくもない。意識の範疇外です。別にあえてこの銘柄を売買する理由が私には思いつきません。そういうものを無理に売買対象とする意味、必然性はまったくないのでパスです。
 あ、この人の本をちょっと読みましたが、私はあまり好きではなかった。

 次。植木靖男さんが7731ニコンをあげています。落ち着いた雰囲気はいいですね、植木さん。
 デジカメ一眼は好調でしょう。私はキヤノンの初心者向け新製品を買いましたが、ちょっと検討はしました。チャートを見て、はい、私的にはダメです。それで終わりです。

 次。里見健一郎さんが6665エルピーダメモリーを挙げています。

 この銘柄はIPOでもらって、ちょっとだけ利益があった銘柄です。まさに半導体そのもの銘柄ですが、チャート的に嫌な形である上に、ここを買うのだったら別の半導体関連銘柄を買うと思います。真ん中すぎです。別に真ん中がいけないということではないのですが、半導体関連については色々と選択の幅が広いと考えます。

 これで半分ぐらいまで来ました。今日はこのぐらいで勘弁しといたろー。また次回。



コメント (4)
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株式投資評論家さん考2

2006-10-29 11:35:49 | 株式投資・資産運用
 木村さんの名前を出したら、ご自身がコメントを入れてくださいました。ありがとうございます。
まあ、こういう個人のblogに実名でひょこひょこと自ら登場する「評論家」さんというのも珍しいでしょう(^_^;)。

 話はちょっと変わりますが、株式投資関連の書籍はなるべく読むようにしています。といっても、実際に自分で購入するものは多くはありません。四季報や中国株二季報は資料としていつも買いますし、日経マネーやマネー・ジャパン誌は週刊誌感覚で読んでいます。

 が、書籍の場合は、一つは図書館で借りる、もうひとつはパン・ローリングさんのモニターでいただくという場合が多いです。図書館では月の初めに新着図書の一覧のプリントが出されます。これをもらってきて、自宅のPCから予約を入れます。予約の本が図書館に戻ったら、図書館から電話が入ります。これ、メールで連絡するようなシステムだといいんですが、そこまではいっていません。毎月、そんなに自分から「読みたい!」と思えるような本が入るわけではないですが、まあ2~3冊程度は広い意味で投資関係の書籍があります。

 パン・ローリングさんの方はメールで希望を伝えると、月に1冊か2冊、送ってくださいます。これはそれなりの感想のコメントを送らないといけません。こちらの方は自分が希望した書籍ですので、読みたい本、といってもいろいろですが、ということになります。

 で、これまで読んだ本の中で印象に残っているものは、実はほとんどが外国、それも米国の書籍なのです。まあ、米国のものが多いというのは、それ以外の国のこうした書籍は翻訳されているものが少ない(ほとんどない?)というのが大きな原因だと思いますが。

 日本のものでよかったという印象が残っているのは、木村剛氏の「投資戦略の発想法」ぐらいです。「あなたも株のプロになれる―成功した男の驚くべき売買記録 」立花 義正も面白かったですが、これは単純に相場関連の本とは言い難い、というか、違う読み方を私の方がしているところがありました。

 逆に、日本のものは「とんでも」本とか「ご都合本」が相当に多い。やれ、億だ、大儲けだ、爆騰だ、と、タイトルはやけに威勢がいいのですが、内容がない。あるいは都合のいいところだけ引っ張ってきて、本質は全然語られていない、そういう本が相当に多い。まあ、「百害あって・・・」と思うものも相当にあります。

 当たり前の事をやけに自慢げに自信たっぷりに書いていたり、都合のいいチャートだけを例として示したり。あと「びびらせ」系というのもありますね。やたらと何か危機感を煽るようなものです。タイトルは、これもまた大抵はセンセーショナルなものが多いです。

 しかし、なんでこういうものがなくならないのかというと、最初に書いた「騰がる銘柄を教えて」的なニーズというのはやはり強くあり、そういうニーズをもっている人に対しては、こういう「ご都合」「とんでも」本も需要があって売れる、売れるから出版社は出す、タイトルはなるべく威勢がいい、目をひく方がいい・・・、ってなことの繰り返し、「まあ、鶏が先か、卵が先か」というところでしょうか。

 出版する側は、それが「とんでも」「ご都合」系の本かどうかということは当然わかっているはずです。目的は本が売れて利益につながればいいわけですから、内容が真面目なよいものであるかどうかというのは実は、どうでもよくはないけれど、二の次の問題です。買う側も、「ためになる論文」を読みたいわけではないですし。

 ここで、本を書く側の立場としては、いったい誰にとって「いい」評論家なのかということが問われます。本の企画をする側、出版する側にとって都合が「いい」のか、あるいは読み手にとって「いい」のか。無論、その両方だといいわけですが、印象としては、前者の都合に合わせたような中味の本というのが数としては随分と多いように思います。

 つまり、本の出版や原稿の執筆ということに関して言うならば、「よい」株式投資評論家とは、企画側から求められた内容について、きちんとそれに沿った中味を書くことができ、同時に最低限の基本的な知識面で誤りがなく、かつ、モラル的にも最低限のところはふまえた内容がきちんと書ける人ということになりましょうか。できれば、単なる「便利屋」さん的でなく、常にその人の考え方の基本的な部分、根幹となる考え方はどこのどんな場であっても貫徹されていることが望ましいです。

まだ続きます。
blogを集約したので、ここのアクセスは以前の倍ぐらいになっています。ありがとうございます。
 


 
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