6488ブラザー工業 IRセミナー 「ホールド」
本日、ブラザー工業のIRセミナーに行ってきました。
株価はこちら。
証券会社支店の会議室で、参加者は50-60人程度というところだったでしょうか。
台風の影響もあり、昼前からは少し雨の降りが強くなっていたこともあり、
欠席の人もかなりあったかと思います。
これはクリアファイル。内部がキラキラしてきれいです。
これは錠剤などを入れるような厚みのあるケース。帰りにくれました。
「at Your Side」というコピー、どこかで聞いたことがあるような・・・と思ったら
地元の金融機関、 京都中央信用金庫が「On Your Side 一緒がうれしい 」というのを使ってました。
それはいいとして、肝心の内容の方ですが、結論から言うと、株の方は「ホールド」ですね。
文字通り、持っているのであれば、そのまま保有でいいのではないかという印象でした。
逆に言えば、「新規にbuyでカバレッジ」とはなりません。
様々な努力をし、相応に確固たる位置を築き、注力している新規分野もあるという点は素晴らしい
と思いますが、それらはごく当たり前に株価におりこまれているという印象でした。
ます、ブラザーというと何を連想しますか。
それなりに年配の方はやはりミシンでしょうね。今もミシンは製造していますが、
主力はプリンターやFAX、その複合機等の機器になっています。
海外売上の比率が高くて80%。
逆に国内では、ブラザーのプリンターというのは存在感がやや希薄です。
キヤノン、エプソンはもちろん、hp以下という感じもします。
そこそこの規模の店ならおいてはありますけどね。
これらは個人の印象、家電量販店とかで見る印象なので、ビジネスの視点からはちょっと違うの
かもしれません。
逆にアメリカではシェアトップの製品もあり、ヨーロッパでのシェアも概して高いようです。
ということで、為替感応度について質問。紙の資料にはなかったですが、ちゃんとパワポの画面
は準備されていました。
米ドルについては変動の影響は、ドルは売り買いともにあるので、軽微。
逆にユーロは受け取る部分が多いので影響大。つまりはユーロ高円安の方が企業の利益としては
いいということです。
このため、ユーロ関連銘柄という言われ方をすることもあるようです。
欧州でのシェアが高いマツダなんかもうかなと思います。
プリンターの方ですが、いわゆる消耗品ビジネス、インクやトナーなどで利益を出すというのはどうなの
かという点ですね、疑問は。
最近、家電量販店へ行ってみると、プリンター本体はA4の複合機であれば、必要充分の機能があるもの
が1万円以下で売っています。ところがこういう安い機器は、最初から「お試しインク」しか
入っていない。いきなりインク買ってということですかという感じですが、ちょっと商売として露骨とい
うか、最初からちゃんとしたインクが入ってないのはどうかと思いますね。
逆に、インクの容量が大きくて、頻回に交換等が必要ないモデルというのも、主力ではないですが、
売っています。量販店ではエプソンのものよく見ますが、ブラザーも同様だそうです。
こちらは、価格は1万以下というようなことはありません。3万とかからかな?。
大量に印刷するのであれば、この方がランニングコストが安くなるというわけです。
ここは質問もしてみたのですが、やはり純正でない、他社の汎用品のインク販売の影響というのは、
かなりあるようです。
日本はまだ純正品を買ってくれる比率も高いようですが、アジアなどはかなり汎用品を使われると。
そりゃそうでしょう、インクの市販の価格差は10b倍ぐらいあったりしますからね。
で、企業としてはどうするかというと、汎用品のプリンターではなくて、
産業用の印刷機とか、繊維製品への印刷プリンターとか、つまりはメンテや純正品の消耗品を使わざる
を得ないような独自性のある製品を伸ばしていきたいということでした。
あと、強調されていたのが、買収したイギリスの会社を中心にして展開をすすめていこうとしているデジタル
印刷事業。イギリスの企業といえば、ソフトバンクが巨額で買収した会社もイギリスでしたね。
これは欧米ではシェアは高い会社ですが、日本のシェアはほとんどないそうです、現状は。
逆に日本市場に食い込めれば、そこは伸びしろにはなるわけですね。
あと、方向としては今後は産業用機器の領域の比率を高めていきたいとのことでした。
スマホ関連の機器なんかも手がけています。
それから、ずっとほどんど利益貢献に至ってないのが、いわゆるカラオケ事業、通信カラオケです。
自社の子会社でカラオケの店舗も100店とかあるそうです。
が、売上500億以上で赤字。ここ10年では利益が出た年の方が少ないです。
これ、率直に言って継続していっていいか疑問です。
ということで、このプリンター等の領域というのは、ライバル各社がしのぎを削るなかなかの激戦の
市場です。国内市場はともかく、世界的に見れば、ブラザーはここで相応のポジジョンにはあります。
事業には一定の着実さがあり、利益も出ています。
が、極めて高い成長性というのは望むべくもなく、ここのところ株価は戻しているということもあり、
顕著な割安感もないです。配当利回りならキヤノンの方がいいでしょう。
質問してみましたが、株主優待も設定する予定はなく、還元は配当でするということです。
これはこれで一つの見識ですが、魅力とか注目度という点では見劣りします。
優待として適当な中味が見いだせないというようなコメントがありましたが、そうでしょうか。
個人投資家を重視する姿勢を明らかにするのであれば、工夫の余地があるところだと思います。
産業用機器や買収した企業を中心として新規の事業の伸びには注目していいかもしれませんが、
現在の株価は「普通」で、強い魅力は感じませんでした。
プレゼンテーションも、話の内容はわかりやすいのですが、
個人向けのIRセミナーの内容として、どこに力点をおいてアピールするのかという視点がやや弱い
ようにも感じました。