あらためて深呼吸すると、着替えをはじめようとした…。
……あれ?
一番上に入れて置いたのに無い💦
例の手作りパンツです。
時代劇に男の人が『けつ捲り』をした時に、履いていた…と思われる、白のトランクスのような太ももにピチッとしたやつです。
あれが無いと、けつ捲りが出来ない💦
何を恥ずかしがってしるんだ‼
誰もお前のパンツなんて見たいと思って来てないから大丈夫だ‼️
…と、天の声が聞こえた気がしましたが、私のこだわりは、そこじゃないんです。
しっかりと、時代を感じさせる世界観を大切に作って来たのに、そこだけ、『現代にしか無いもの』を出すのが嫌だったんです。
ましてや、芸術性の高い舞台セットを見たあとです。
どうにも『それでいいよ‼️』と思えないんです。
…どこへやったんだろう?
荷造りの時、なんとなく、うっかり忘れてしまいそうな小道具だったので、パンツには特に意識をしていた。
確かに一番最後に荷物の一番上に入れた記憶がある…。
ここへ着いてからは開けていない…。
…どうしよう…。
悩んでる暇は無い。
とりあえず私は、外へ飛び出した。
そして劇場付近の衣料品の店を探した。
和装小物の店は無いだろうか…。
運よく、時間にはまだ余裕があった。
劇場の裏の裏…、3本ほど裏道に入ると、小さな商店街らしきものがあった。
…だけど、あるのは飲食店ばかりで、和装小物どころか、衣料品店もない。