あの頃(現場)8

2020-05-16 07:46:28 | 日記
「赤ちゃんになる…っていうレッスンをやったじゃない❗あれをやればいいんだよ。大丈夫だよ❗」

Mちゃんは、額にうっすらと汗をかいているのに、小さく震えている。

…大丈夫だろうか?


「Mさん、監督さんが呼んでます」

助監督さんが、Mちゃんを呼びに来た。

そして、しばらく帰って来ませんでした。


ーー結果から言うと、Mちゃんは、無事に『泣き叫ぶ』を演じきりました。

その日、監督さんに呼ばれて何があったのか…。後からMちゃんに聞いた話しなのですが…、

監督さんは、何も言わず、Mちゃんに撮影風景を見せてくれていたそうです。

…それだけです。

ただ、Mちゃんの側の気持ちの変化としては、

主演の俳優さんのすごい勢い。

出てきてすぐに死んでしまう役の人。

少しのセリフでも、号泣する人。

走り回るスタッフさん。

本当にたくさんの人たちがこの作品を作りあげてるんだ…と、しみじみ感じたとか…。

『やるしかない‼️』

という覚悟みたいなものが湧いて来たそうです。

監督さんはMちゃんを見抜いていたのか…もしくは、一か八か…出来る子か出来ない子なのかを賭けたのか…。

(ちなみに、私は、後半だと思います)

出来上がった作品を見たら、Mちゃんの演技は絶品でした。
しかも、自信満々じゃない演技が、尚一層リアルでそれなりの迫力があるんです。

監督さんは、そこまで見抜いていたのかな…?